Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

北鎌倉

2007年08月16日 | 
 月曜日に休暇をとって鎌倉へ行った。先週の奈良、京都に続いて鎌倉と、まさに三古都巡りである。私の中では、鎌倉といえば、鳩サブレー、鶴岡八幡宮、小町通り、江ノ電と続くが、今回は35度近い猛暑の中、北鎌倉から鎌倉へ徒歩で向かおうという無謀な計画を実行した。涼しい時期であれば、どうということもないコースで、徒歩でもせいぜい40、50分程度で鎌倉駅に到着する。しかし、とんでもない暑さの中である。ある種、マゾ的な行為ともいえる。
 まずは北鎌倉駅から徒歩2分の円覚寺である。ブログの写真は円覚寺山門だ。ここが元寇との関わりで北条時宗によって建立されたこと知っている観光客はどれほどいるだろう?暑さのせいで文字を読む気力がないのか、そんな寺の歴史について書かれたボードの前に立ち止まるものはいない。円覚寺と彫られた石碑の前で写真を撮るだけで、境内を眺めるだけで入らない人たちもいる。なんだか境内に続く階段を上がりたくない気持ちは理解できるが、古都にきて寺院の境内に入らないなんて理解しがたい。
 さて北鎌倉の定番の一つといえば、東慶寺、通称「縁切寺」、「駆け込み寺」である。だいたい北鎌倉といえば、「源氏山から北鎌倉へ・・・」の歌詞で有名なグレープの《縁切寺》である。中学生の頃は、古都鎌倉を歌った美しい歌くらいにしか思っていなかったが、今聞くと、とんでもなく女々しい男の歌に聞こえてくる。だいたい別れた女と撮った写真をわざわざ、この寺に納めに来る必要なんかあるのか!と激高してしまう始末である。
 東慶寺の前にくれば、そんなことをきっと考えて不愉快になるんだろうと思っていたのだが、真昼の太陽の光の下で、緑の葉が青々と茂る花の終わったアジサイの木々を眺めるうちに《縁切寺》のことなんてどうでもよくなってしまった。
「お父さん、ここは男と女だけじゃなくて、男と男でも縁が切れるのかなあ?」と突然、子どもが言い出した。
「切れるわけないじゃん」と言い返すつもりが、なんだか自信がなくなってしまった。親子の縁なんてそんな簡単に切れるわけがないじゃないか。でも待てよ・・・。結局、私たち二人は、門の前から境内を眺めただけで、古都を訪れておきながら、中には入らなかったのである。すべてはあの《縁切寺》の歌が悪い!