Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

故マンダラ翁を称える公演にて

2007年08月28日 | バリ
 26日からプリアタン村で始まった故マンダラ翁をたたえる公演の初日に出かける。マンダラ氏は、プリアタン村の著名なガムラン奏者であり、1931年のヨーロッパ公演、1952年のアメリカ、ヨーロッパ公演などの中心人物として、またバリ芸能の偉大な継承者として有名である。1986年に亡くなったとき、留学中だった私は、火葬の何日も前からプリアタン村に滞在して、バリ各地からやってくるガムランの公演を見た。
 踊り手は皆、マンダラの教えを受けた人々で、その年齢もまちまちである。70歳近いレゴンの踊り手もいる。どうみても上手な踊りとはいえない。しかし、演奏者たちの表情は真剣である。どうみても、演奏者の脳裏には、週十年以上前の踊り手の華麗な姿がよみがえって見えたのだろう。
 私も同様に、20年前に見た踊り手たちのことを思う。そうしているうちに、舞台の踊り手たちが昔の容姿に見え、私自身も若かった頃にタイムトリップしてしまったようだ。演奏がよかったとか、踊りが美しかったとか、そんな感想は超越してしまって、公演終了後、私は不思議な感動で満ち溢れた。そんな気持ちは、バイクに乗って一人でデンパサールに戻る間もずっと続いていた。