Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

学生から社会人になるということ

2013年04月16日 | 家・わたくしごと

 「あいつ、まだ学生気分が残ってんだよな。もう社会人なんだから、それらしくして欲しいよ。」
 ずっと昔のことだが、若い時働いた会社でよく聞くセリフだった。考えても見れば当たり前だ。3月まで学生だった人間が、新しい組織に属し、学生から社会人になったからといって、心の中はそんなに簡単に変われるもんじゃない。でも新社会人は、学生を引きずっていたばかりではない。
 「ぼくは社会人なのだから、見たくたって、夜中にテレビなんて見れるわけないじゃん。もう学生じゃないんだよ。」
 そんな風に多くの新社会人は社会人を自覚しているものだ。早く「社会人」にならなくちゃいけないと、とずっと焦り続けているんだよ。気持ちは痛いほどわかる。ただ社会人としての「振る舞い」をうまく演じきれないだけなのだ。
 しかし心配はいらない。いつかそんな新社会人の君たちだって「あいつ、まだ学生気分が残ってんだよな。」と笑う時がきっと来るんだ。そして「学生が羨ましい」なんて微塵にも思わなくなり、学生と自分を比較しなくなるんだよ。そう、学生なんて眼中になくなっちゃうのさ。学生としてつるんでいた頃が遠い彼方の出来事のように思えて、墨汁が半紙にポタポタ落ちる不規則な黒い点みたいに、ポツリポツリと記憶域の中に、記憶の断片として残るに過ぎないのだ。もちろんその記憶は鮮烈なものばかりなんだろうけど。
 社会人へのイニシエーションを終えた者たちの社会人化は、めまぐるしく急速に進むのが常なのだ。だから、前を向いて歩むしかないんだよ。もう「学生」は過去と、記憶の中に置いてくればいいんだ。過去に手を伸ばして、そんな時代に繋がり続けようとするより、前に手を伸ばせ! 


サヌールの朝焼けを見ながら散歩をする~ミッションその4

2013年04月16日 | バリ

 大人の修学旅行の宿泊先はなぜかサヌールと決まっているのである。これまでもサヌールのホテルを転々としたのだが、やっぱり今回もサヌールになった。この町の魅力は何なのか、と聞かれても即座には答えられないのだが、きっと、あの「寂れ感」がいいのだと思う。だからといって「寂れている」ということではない。サヌールは周辺の観光地にくらべれば「寂れ感」がずっと維持され続けているのである。そして、あの絵に描いたようなお土産屋の長屋が、やっぱり今だに存在しているからである。
 サヌールに宿泊して朝焼けを見ることは、Pのミッションだった。前日は結構遅くまで「ミーティング」をしたのだが、僕は目覚ましもかけずにちゃんと朝6時にはスッキリと目が覚めた。少し明るいくなった時間に一人で海岸へ散歩に出たのだが、残念ながら曇り空。素敵な朝焼けとまではいかなかったが、海岸沿いの散歩道をゆっくり歩きながら、時々顔を出すまんまるの太陽のさまざまな色模様を楽しむ。
 ちょっど一時、黄白色の太陽の見えた景色がこれ。遠くにはバリのおじさんが海岸に座って、ぼんやり朝焼けを眺めていたのが印象的だった。ちょっとホテルのプライベートビーチの傘が開かれる時間。ぼんやり朝焼けを見ながら、「フーッ」と大きく息をはいたら、なんだか悩んでいた面倒なことすべてが、どうでもよくなった気がした。そんな至福のひとときは刹那的で、一時だけってわかっているのだけれど、それでもそんな瞬間が人間には必要なんだと思う。