社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

東京のドヤ街 山谷でホスピス始めました。 山本雅基(2006) 実業之日本社

2008-08-21 15:33:44 | その他
題名通り、山谷でホスピスを行っている「宿泊所」の紹介。
先日、NHKでもこの宿泊所のドキュメンタリーが放送されていた。

ここは医療機関ではなく、あくまでも「宿泊所」。「在宅」というカテゴリーに入るとこのこと。対象者は「身寄りのない人、行き場のない人」で、財源は入居者にとっての収入源でもある「生活保護費」と、有志からの「寄付」など…。
この宿泊所のスタッフは「家族」の立場で生活を支え、医療や訪問介護なども、重複して利用している人が多いとのこと。
決して財源が豊かではない中で、スタッフの方は、なぜここまでできるのか?と感心させられる(もはや、感心という言葉では足りない気もする)。


山谷のみならず、今後高齢者が増えていくと、「家族がいない」「同居する人がいない」という人は、今よりも多くなるだろう。この人たちをどうやって支えていくのか。

「病院は治療や手術はできるけど、こころのケアまではできない。これは病院批判ではなく、役割分担の話です」という筆者の言葉が重たい。

民間人の「熱意」におんぶに抱っこではなく、政策としてどう支えていくのか、向き合っていく時期にあるだろう。

病院や施設は、「いつかは出ていく場所」である。「最期までここにいてもいいんだ」という思いは、人に穏やかな気持ちをもたらすであろうし、強さももたらすだそう。そのことを、入居者の表情から考えさせられた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする