社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

地域ケアシステムにおける地域包括支援センターの機能に関する研究 鳥羽美香(2007)

2009-02-12 14:05:16 | 社会福祉学
副題:ソーシャルワーカーの役割と職種間協働を中心に
『文京学院大学人間学部研究紀要』Vol.9,No.1 

地域包括支援センターのことを知っているつもりではいたが、その現状をきちんと把握していないことに気づき、本論文を手にした。
東京都及びその近郊にある地域包括支援センターのソーシャルワーカー(社会福祉士)に対する面接調査を通じて、その実態を把握している。

地域包括支援センターとは…
『高齢者が住み慣れた地域で、尊厳のある生活を継続することができる、包括的かつ継続的なサービス体制を目指す、「地域包括ケア体制」を支える地域の中核機関としての役割を期待されている。』

実際には…
・期待されている役割に対して、それを充足できるほどの人員配置が敷かれていないため、ケアプランの作成に終始しがちなセンターもある。
・3職種協働の理念が掲げられているが、顔を合わせる時間が少なく、必要最低限の申し送りにとどまり、センター内のみであっても、定期的なカンファレンスの開催は難しいという声もある。

そんななかでも…
・地域の福祉保健医療の一番最前線のインテーク機関にならなければいけない、という声もあった。


地域において、「医療難民」「福祉難民」が生じないよう、そのセーフティーネットとしての役割を求められ、機能を果たしているのが地域包括支援センターであろう。
しかし実態にはバラつきがあり、個人の努力で業務改善が見込まれるものもあれば、地域をフィールドとした看護診断やソーシャルワーク診断、ネットワーキングのスキルなど…きちんと教育・サポートをしなければならないものもあるのでは?と感じた。

在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション等は、地域のある一定の住民(患者)しか援助対象とならない。
自分たちが関わっていない住民(患者)を、どこかが何らかの形でサポートし続け、そしてある段階になったら、自身の組織に介入依頼がくる…そういった意識を持てば、自ずと「地域で見守る」ことができるのではないだろうか。

コメント
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