岩本喜久子『緩和ケア』Vol.19 No.3 MAY 2009
オーストラリアにおける緩和ケアの提供について、金銭的な資源や構成職員、これまでの歴史や今後の課題を報告している。
引用
オーストラリアの緩和ケア団体は、公的援助80%+独自の資金20%で運営されており、20%の部分を賄えている団体は、いわゆる治療以外の援助も充実している。
団体のコメディカルの構成職員は特に定められておらず、管理者に一任されている。そこがアメリカとは違う点である。
・「医師・看護師では賄えないサービス」について、「家族のカウンセリング、死の前後のグリーフケア、子どもの心のケア、介護者のストレスなど」と記述あり。看護師では賄えないという認識があることに驚いた。
・「ホスピス・緩和ケアに関わった人たち(家族など)がサービス提供者たちから離れた時に紹介できる団体、サービスが存在すれば、continuum of care(継続的なケア)として社会にホスピス・緩和ケアの厚いサービスを伝えられるはず」という看護師のコメントあり。
⇒これこそが、わが国における「地域における切れ目のないケアの実現」であろう。わが国の緩和ケアの推進は、「治療の場」を拡大させる段階でとどまっており、諸外国と比べ、まだまだ遅れていると痛感した。