社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅医療におけるホスピスケア-実現に向けての教育とシステム構築の提案-」大西奈保子(2010)

2010-09-13 19:30:05 | 看護学
『死別の悲しみかた立ち直るために』聖学院出版会

在宅ケア、在宅医療、在宅ホスピス緩和ケアの歴史的経緯を盛り込みながら、今後の発展に向けての課題提示をしている。
目新しい視点や論点は見当たらないが、これまでの歴史的経過については、分かりやすく頭の整理に大変役に立った。

引用
在宅で生活を支えるためのケア(先行研究を引用している)
デイリーケア:毎日数回日常生活上で必要なケアであり、モーニングケア、食事ケア、排泄ケア、移動ケアなど
ウイークリーケア:週単位で必要にあるケアであり、洗濯、掃除、買い物、生活習慣の違いにもよるが入や清拭などの清潔ケアなど
クオリティーケア:遊びや生きがいを保障するケアであり、具体的には散歩や趣味や旅行などへの援助


現代は、死が医療のなかで行われており、生活のなかで「看取り」を経験する人が激減している。それは福祉従事者にも言えることで、在宅ケアには不可欠である介護職員にも「看取り」に関する教育が不可欠であると指摘している。
この指摘はもっともである。こういった場面にも携わり、そして不可欠構成員であるという認識がもっともっと浸透すれば、介護職員の待遇も良くなるのかもしれない。
お金がすべてではないが、「緩和ケア」をプロの仕事としてシステム化していくのであれば、それ相応の保障が必要である。
「家族介護の社会化」という認識から脱却し、専門職としての地位の向上とそれに伴ったプロとしての意識・技術向上が、在宅ケアを推進するための不可欠要因であると考える。

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「闘病記とグリーフワーク-遺族が書くことの意味-」門林道子(2010)

2010-09-13 11:32:58 | 看護学
『死別の悲しみから立ち直るために』平山正実/編著 聖学院大学出版会

遺族が書く闘病記を通して、グリーフワークとはなにかを分かりやすく言及している。
多くの遺族が闘病記を書き始める時期は、グリーフワークの「再生」の時期と一致する…など、興味深い分析が多くあった。

引用
・悲嘆作業すなわちグリーフワークとは、故人の死を再確認し、追悼する作業である。そして、同時に遺されたものが、再生し、また新たな人生に向かって一歩を踏み出すための心理的成長の変容過程だといえる。
・「遺志の社会化」…故人の残された意志を聞きとって、それを社会にいこうとする遺族の行為。


書くこと、描くことは、遺されたものの感情表出の大切な一方法であると、ある洋書で読んだことがある。
健康なときでも、悩みやストレスがたまったときに、書きなぐったり、喋りたおすことは、頭の整理につながることもある。
遺されたものにとって、書く/描く行為は、頭の整理にとどまらず、感情の整理にもつながるのだろう。
援助者には、書かれた/描かれたものは何を意味するのか。それを追求できる、それに寄り添う技術が求められるのだと思う。




死別の悲しみから立ち直るために (臨床死生学研究叢書 2)

聖学院大学出版会

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