社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「重い障害を生きるということ」谷清

2011-11-01 15:30:19 | 医学
重症心身障害児施設に長年従事してきた医師による書。
後半は、重度の障害を抱えたひとたちの支援に奮闘した小林提樹、草野熊吉、糸賀一雄についても紹介している。
特に後半部分は、先駆者たちの働きについて、教科書で「点」として覚えていたことが「線」となってつながり、障害者福祉の発展について再考できた。

引用
・医療処置でも介護でも、「する人」が「される人」に一方的におこなうということではなく、「する人」「される人」が協力しあって、関係しあって成り立っていくものであろう。
・(医療が)「健康管理」の名目で生活を制限し、その結果「健康増進」が妨げられている。


障害の重いひとたちは、「理解する」ということは困難であっても、「感じている」。-本書ではそのようなメッセージが根本にある印象を受けた。

理解しているからウンヌンではなく、人の感情は「快」か「不快」。それをできる限り「快」にしていくことが専門的なケアであると、あらためて考えさせられた。
筆者も説いているが、「生きているのが辛くないのか」と「生」の存在そのものに着眼するのではなく、より快適に「生」を育めるサポートが必要なのである。


重い障害を生きるということ (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店
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