社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「地域診療所医師の在宅緩和ケアに関する意識調査」 秋山美紀、的場元弘、武林亨ら (2009)

2011-11-12 21:54:15 | 医学
「Palliative Care Research 2009;4 (2)」

 緩和ケア資源が十分でないと考えられる山形県鶴岡地区の診療所医師を対象とした、郵送調査及びインタビュー調査。
知識がない、知識として学習はしたけど実践はない等、医師への教育のあり方等が明らかになっている。
おそらくこの地域だけではないであろう、開業医の苦悩を把握することができると感じた。

引用
・がん患者の精神的サポート、家族の精神的サポートに関して(今後行うことは)「不可能」と回答した施設が半数以上あった。
・在宅での看取りについて、現在「行なっていない」と回答した施設のうち、今後も「不可能」と回答した施設は80%であった。
・(インタビュー調査の回答から)地域の患者家族は、病院の手術をした先生を上にみて、地域の開業医を低くみる…患者・家族との信頼関係をつくるのが難しい
・(インタビュー調査の回答から)困るのは、無くなる直前に家族が動揺して病院に入れたがること。こちらは最期まで診たくても、家族が病院に入れたがることがものすごく多い


地域性の問題なのか、退院調整の問題なのか…。病院と診療所の役割が「分担」ではなく「分断」されている印象を受けた。
開業医は医師と看護師の体制で看取りを支援することが多い。それゆえに、診療行為以外のケアには手が行きにくいのが現状であり、それが明らかになっている。
全国どこにいても、同じ水準で在宅緩和ケアを受けられるようにするには、相当の時間を掛け、その地域に合った方法を見つけ出し根付かせねばならないだろう。
どのくらいかかるんだろうか…。

コメント
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