社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「ホスピスで家族を亡くした遺族の心残りに関する探索的検討」坂口幸弘、池永昌之、田村恵子、恒藤暁

2012-11-02 14:08:46 | その他
『死の臨床』Vol.No.1 2008

ホスピスにてがんで家族を亡くした人たちは、どのような心残りを抱いているのかについて、郵送による調査を実施。共通項とより個人的な事柄を導き出している。

引用
・心残りとは?⇒(広辞苑で引用)「あとに心に残ること。思いきれないこと。残念に思うこと。未練」
・約9割が何らかの心残りを感じており、遺族にとっては心残りは一般的な心情であることが明確に示された。
・比較的共通した内容として、15のカテゴリーが分類され(中略)そのうちの11カテゴリーは、医療場面に関係する内容であり、終末期医療のありようが遺族の心残りの有無や程度に大きく関係することが推察される。
・(管理人・解釈)自責の念を感じている遺族は少なくない。家族が納得のいく介護ができるよう心理社会的にサポートすることが必要。
・(どのような選択をしたとしても)最終的な選択を支持することが大切。


人は悔いを残す。これが看取りであれば、やり直しがきかない。
医療場面で、少しでも医療者がその悔いを減らせる働きかけができれば…そのような思いが伝わった論文であった。

援助方針になかなか賛同しない家族に対して援助者は、「困難事例」「理解力不足」という烙印を押してしまうことがある。本当にそうなのか?
その人の考える力、思う力を、その人を取り巻く環境が脅かしているのかもしれない。心理社会的なサポートはそういった環境を整えることを指しているのだと痛感した。
コメント
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