社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「スピリチュアルケアの本質-死生学の視点から-」藤井美和 『老年社会科学』31(4)2010

2010-11-11 21:00:38 | 社会福祉学
 スピリチュアルケアの意味することを、諸外国の先行研究や日本の宗教観等を踏まえて論じている。
スピリチュアルの定義は、未だに確立したものだとは言い難いが、自身の理解を深めるために役に立つと感じた。

引用
・スピリチュアリティは、人間存在の根源を支える領域と考えられ、どのような状態であっても自分の存在をよしとできる、生きることに根拠を与える根源的領域だと理解することができる。
・生きる意味や関係性が見いだせない苦しみがスピリチュアルケアペインということになる。
・(スピリチュアルペインに)どのようなケアが可能となるだろうか。もしなにかできることがあるとすれば、それが「寄り添い」であると考える。
・寄り添いは目の前の人を丸ごと受け止めることができるかという(援助者への)問いかけを受けることである。


「寄り添い」は物理的な行為にとどまらず、援助者への投げかけである…という論点は、非常に興味深い。
「あなたは何ができるか?」と、ソーシャルワーカーを経験した人であれば、必ず一度は聞かれたであろう。
これはそれよりももっと奥深く、職業としての専門性にとどまらず、人間としての「わたし」も試されるであろう。
人間性の成長は年齢を重ねるだけで得られるものではなく、人間としての体験をどう感じ、どう活かしていくかにもあると、とても考えさせられた。
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