社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「障碍児への組織的対応としての地域支援のあり方についての一考察」 榊原 剛(2018) 『名古屋女子大学紀要64』

2018-10-17 10:13:34 | その他
 地域包括ケアシステムの構築がすすめられているなかで、児童への対応は充実しているのか?という点から、筆者の専門である教育学の視点から考察をしている。

引用
・小児等は成長・発達していく存在であり、ライフステージに応じてかかわる施設・機関や職種が異なる。したがって、施設・機関間を調整するコーディネーターが必要不可欠であるが、今もってその存在が不明瞭である。
・地域包括ケアシステムは高齢者の医療と介護、認知症対策などを目的に推進されてきた取り組みであり、現時点では小児等についての枠組みがない。
・(吸引等が必要な児童への保護者への)付き添い要請については「障害者差別解消法」に違反しているとの見方もあり、学校等における医療的ケアを誰がどのように実施するのかについては、小児等に対応する地域包括ケアシステムのあり方 
 のなかで、今後十分に議論していく必要があるだろう。


 医療的ケア児と呼ばれるこどもたちが年々増えていくなかで、その子供と家族を支援する取り組みが急務の課題となっている。しかし筆者も指摘しているように、高齢者は身近な存在であるがゆえに課題に着手されやすく、医療的ケア児はまだまだ「他人事」の域にある。
 介護保険制度下の介護支援専門員のように、医療的ケア児とその家族をサポートするためには、コーディネーターは必須である。その担い手をどこに配置するのか。特別支援学校か、役所か、地域の子育て支援センターか…。まだまだ課題が山積みのこの領域に、少しでも陽が当たればと切に願う。
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