社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「重症心身障害児とその母親のショートステイ利用に関する一考察-母親の語りからみえた子育ての困難さ-」千葉伸彦

2018-10-22 05:32:29 | 社会福祉学
 『東北福祉大学研究紀要 第39巻』

 重症児を対象としたショートステイサービスについて、主たる介護者である母親へのグループインタビューを通して、その現状と課題を整理している。少し前の論文ではあるが、母親の切実なる願いは、今も変わらぬ課題であろう。

引用
・(2011年に発行されて本によると)全国には約39,500人の重症心身障害児者はがいると推測されており、在宅で生活する重症心身障害児は約27,000人と、約7割が在宅で生活を送っている現状がある。
・精神的負担の解消として、介護者である母親らへの丁寧な相談支援、カウンセリングが求められると言えるだろう。
・(インタビュー調査結果より、)サービス事情所不足に関する困りごととして、7点が整理された。①事業所の増数 ②利用時期の不明確さ ③予約でいっぱい、キャンセル待ち ④新規利用不可 ⑤利用する子ども、家族が多い ⑥医療的ケ 
  アを実施できる事業所がない ⑦緊急時に利用できない
・常時利用できる社会資源の存在が母親への安心できる材料になっていることも事実であると考える。



 「録画したドラマをコールに気にせず、一気に観たい!」。これは以前私が関わった、在宅で神経難病の母親を介護していた娘さん(当時30代)の言葉である。在宅で要介護者とともに生活するしんどさは、当時独身であった私にはピンと来なかった。しかし子どもを産み、昼寝をしている間だけが自分の時間であることを痛感し、先の彼女の言葉はその壮絶さをとても分かりやすく表現していたのだと実感した。
 高齢者のショートステイの受け皿は、現政権の賜物か?!増加傾向にある。しかし医療的ケアを必要とする人のショートステイ先は、高齢者も子どもも、まだまだ十分ではない。ひとつひとつの声を大きなものに変え、サービスの改善につなげていかなければいけないと、あらためて考えさせられた。
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