社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「納棺・湯灌における死別ケアの探索的研究-湯灌士への質的調査からー」永山彩花

2015-10-01 14:13:38 | 社会福祉学
『Human Welfare』第7巻第1号 2015

湯灌サービス会社に勤務する湯灌士に対するインタビュー調査をまとめている。死別ケアに焦点をあてているというよりもむしろ、湯灌士の職業観が主軸になっている印象。
湯灌士の業務内容を知る手がかりになった。

引用
・湯灌士という職業に就くにあたって、家族・知人などからどのような反応があったか?という問いに対し…
 「親戚に絶縁された」「身内の反発は大きかった」など
・エンバーミングについての考えは?という問いに対し…
 「湯灌とは別物と考えている。需要もあるし、必要だと思う人がすればいいと思う。(中略)湯灌とは違う送り方だと思う」
 「必要なご遺体にとっては大変有効な処置だと思うが、日本の現状の葬儀・火葬の流れでは必要とされる状態ではないのが大多数にもかかわらず、葬儀社の利益追求のためエンバーミングを施行されている残念な状況だと認識している。」


 インタビュー対象者の多くは、映画「おくりびと」の公開前に職に就いていることもあり、周囲から否定的な反応を受けていたようだ。医療者でない者がご遺体に接触することへの非難も多くあったと予想される。今でこそ、湯灌はサービスのひとつとして定着しつつあるようだが、その本来の目的はどの程度浸透しているのか?という疑問が少し湧いた。
 逝った人のため?残された家族のため?時代によってそれは変化しているが、その軸をきちんと持たないと意味がないと考える。
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