社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「緩和医療 痛みの理解から心のケアまで」小川節郎ら(2010)東京大学出版会

2010-12-08 15:30:21 | 医学
 主に「がん」を対象とした「痛み」痛みについて概説している。執筆者は全員医師であるため、特に身体的な痛みの緩和、使われている薬の説明については詳しい。

引用
スピリチュアルな苦痛の表現(参考文献からの引用「恒藤暁、岡本禎晃 『臨床緩和医薬学』p16-21、日本緩和医療薬学会編」(2008))
①不公平感「なぜ私が?」
②軽価値観「家族や他人の負担になりたくない」
③絶望感「そんなことをしても意味がない」
④罪責感「ばちが当たった」
⑤孤独感「誰も私のことを本当には分かってくれない」
⑥脆弱感「私はだめな人間である」
⑦遺棄感「神様も救ってくれない」
⑧刑罰感「正しく人生を送ってきたのに」
⑨困惑感「もし神様がいるのならば、なぜ苦しみが存在するのか」
⑩無意味感「私の人生は無駄だった」

がん患者のストレス-6つのD(参考文献からの引用「筒井末春・監修『がん患者の心身医療』p.16-17、新興医学出版社(1999))
①死(Death)
②家族や医療者への依存(Dependency)
③人生目標の中断(Disability)
④人間関係の途絶(Disruption)
⑤容姿の変貌(Disfigurement)
⑥疼痛などによる不快感(Discomfort)


症状の出現によって様々な痛みが生じるのは、がん患者に限らない。それは本書でも指摘しているように、諸外国では当たり前の認識となっている
日本では現時点で、問題が浮上し、その解決として理論を組み立て、さらに実践で立証する…この焦点が「がん」に定まっているのだと思う。他の疾患、そして疾患や年齢を問わず、痛みを感じている多くの人たちに、きちんとケアが行き届くように、粘り強くそして早急に、取り組んでいかねばならないと痛感する。
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