社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅医療の現状と課題」川越正平 『日本内科学会雑誌』第103巻 第12号 平成26年12月10日

2017-03-03 13:33:44 | 医学
 現職の在宅医による論文。在宅医療の歴史的背景が丁寧に整理され、現状を踏まえた課題についてもわかりやすく論じている。

引用
・何らかの重大疾病を発症した患者が、死を避けることはできたものの完治には至らなかった場合、後遺症を残す、慢性化する、その後急性増悪を繰り返す恐れがある、合併症を併発する恐れがあるなどの条件を有しつつ、その後の生活を継続することになる。そのような状況下で長期にわたり必要となる医療やケアのことをlong term careという。
・(在宅医療は)患者背景を踏まえ、生活の様子や価値観をも理解し、その患者にとってふさわしい医療をともに考えて提供する。
・在宅医療とは、患者の尊厳を重視し取り巻く家庭背景や環境を踏まえつつ、生命のみならず生活を支えるために、医療ケアを提供する営みである。


 在宅医が病棟勤務の医師に向け、在宅医療を理解してもらおうという姿勢で書いていると予想される。
そのため、ソーシャルワーカーの立場から見ると、「それは在宅に限らず、病院であろうが施設であろうが、必要な視点では?」という部分も多少なりともあると感じた。
 在宅医療が推奨され、在宅療養支援診療所が創設され、10年が過ぎた。それでもなお、「在宅医療とは」「家族支援とは」という説明が不可欠である現状に、個人的には一番の課題があると感じた。
そして何よりも、多職種連携、チーム医療の記述にソーシャルワーカー(社会福祉士)が登場しないことが残念であり、まだまだ頑張り続ける必要が大いにあると反省させられた。
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