社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「高齢者が生活上経験するスピリチュアルなテーマに関する研究」岡本宣雄(2015)

2020-09-27 17:10:46 | 社会福祉学

サブタイトル:生きる意味に焦点をあてた質的研究

「川崎医療福祉学会誌 Vol.25 No.1 」

 介護を必要としている高齢者がどのようなスピリチュアルなテーマに直面しているのかについて、質的研究を行っている。

 逐語録を通して、高齢者の声に触れることができ、ハッとさせられる部分があった。

 

引用

・「生きる意味に関する質的研究の結果、6つのカテゴリーが抽出された。

[人生の出来事を乗り越えてきた][ただ平凡に人間らしく生きる][超越的なものとつながる]

[死に思いを馳せる][有限な存在として生きる][責任を果たして生きる]

・高齢者は、有限な存在として全人的な痛み(中略)を負っている。高齢者は日常生活を[有限な存在として生きる]。そこで病気や苦しみの意味を問い。過去の出来事への悔い、親しいもの(家族)との死別([死に思いを馳せる])などの様々な喪失体験は、主に創造価値の喪失による内的な痛みとなり、人生が意味で充足できないとき空虚感を覚える。これらは経験の次元で経験するスピリチュアルペインである。

 

ケアの質の向上が言われるとき、必ずと言っていいほど、「ニーズの充足」という言葉が付いてくる。

それはもちろん大切なキーワードであるが、

ではニーズは誰がどのように汲み取るのか。

という問いが十分になされてないことを感じる。

歩行困難だから、車椅子が必要=ニーズは車椅子貸与→貸与の契約完了→ニーズ充足・・・

こういった短絡的な解釈が蔓延していないか?と時々怖くなる。

「対人援助職は、まずはその人を立体的に理解することが必要。」

学部時代にそのように叩き込まれたことを思い出した。

 

#スピリチュアルペイン #高齢者支援 #ソーシャルワーク #対人援助職 #質的研究

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