(1)外交交渉には「手の内」を見せないのがセオリーだなどと言うのは、「密約」で国益に不利な(あるいは交渉当事者の利益、願望に有利な)条件を隠すための便宜手法だ。本来まっとうな交渉で「隠し事」、機密などあってはならず、相互に条件をオープンにして歩み寄れる接点を協議するのが「交渉力(negotiability)」だ。
隠し事、密約は将来にわたってうわべの交渉利益を、本来の目的、趣旨とは反比例の結果効果に導くだけの非生産的なものだ。沖縄返還交渉での「核の搭載持ち込み」、「基地運営費の負担」の密約は、その後の普天間基地移設先(県外・国外)問題にも重い制約となって国益に不利益な影響力を及ぼしている。
(2)今度は02年にロシアが日本の原発使用済み核燃料の中間貯蔵、再処理化事業を引き受ける提案の外交文書(diplomatic document)が存在していたことが、関係者の話であきらかになった。(報道)
当時は六ヶ所村再処理工場(青森)での処理事故が続き、事業継続にあたって安全性、高額経費が政府委員会で審議されていたが、政府からは関係機関、関係者にこのロシア外交文書は知らされなかった(隠ぺい)と言う。
原発の安全機能性よりは20兆円近い六ヶ所プロジェクトの地元、関係機関の利益供与がまず優先された結果だ。既得権政治の自民党政権時代だ。
今に続く政府、事業者、専門家の利益共存トライアングル(triangle 原子力村)による国民の生命、安全、生活に配慮を欠く原子力行政の独占化へい害だ。
同じような話が今年、使用済み核燃料の再処理工場を米国と共同で第3国のモンゴルに設置する経済協力型計画もあきらかになったが、国際的な原発見直し機運の中でモンゴル国民の反対で取り消しとなった。
結果としては、自国の危険を国レベルの損得だけで第3国に負担させるのは大きな間違いで、いまだ原発事業の入口、中間、出口論がトータルで計画設計されなかった歴代行政の「見通しの欠落」の問題だ。
(3)ロシアの提案(外交文書)の意図は何だったのか。当時のプーチン大統領はロシアの国力(特に経済力)回復に向けて強いリーダーシップを発揮しており、広大な土地を利用した外国投資の誘引、外貨獲得の一環事業と言われている。
しかし、終わりの見えないチェルノブイリ原発事故処理を抱えたロシアだ。自国の危険を外国でいいのかの基本問題とともに、安全を置き去りにした遮二無二のロシア外交では課題があった。それをそのとおり国民に情報開示すべきであった。沖縄密約を引きずった自民党政権時代の国民騙(だま)し手法だ。
(4)ロシアとは北方領土返還問題を抱えて、外交はことに微妙な距離関係にある。情報はすべて開示して、利害関係共有(押し付け)により結果として請求不利益になるようなことがないよう国民の判断データ提供に努めるべきだ。
原発安全問題は、福島原発事故により国際的な関心も高まって国際基準づくりも始まっているが、国の利害関係が錯綜して進展していない、あるいは玉虫色決着だ。
国際赤十字では原発の健康安全レベルの基準化を日本が提案する。IAEAで今からでも原発事業の入口、中間、出口論の計画設計、デザイン(grand design)、未来への責任を協議、構築すべきだ。
隠し事、密約は将来にわたってうわべの交渉利益を、本来の目的、趣旨とは反比例の結果効果に導くだけの非生産的なものだ。沖縄返還交渉での「核の搭載持ち込み」、「基地運営費の負担」の密約は、その後の普天間基地移設先(県外・国外)問題にも重い制約となって国益に不利益な影響力を及ぼしている。
(2)今度は02年にロシアが日本の原発使用済み核燃料の中間貯蔵、再処理化事業を引き受ける提案の外交文書(diplomatic document)が存在していたことが、関係者の話であきらかになった。(報道)
当時は六ヶ所村再処理工場(青森)での処理事故が続き、事業継続にあたって安全性、高額経費が政府委員会で審議されていたが、政府からは関係機関、関係者にこのロシア外交文書は知らされなかった(隠ぺい)と言う。
原発の安全機能性よりは20兆円近い六ヶ所プロジェクトの地元、関係機関の利益供与がまず優先された結果だ。既得権政治の自民党政権時代だ。
今に続く政府、事業者、専門家の利益共存トライアングル(triangle 原子力村)による国民の生命、安全、生活に配慮を欠く原子力行政の独占化へい害だ。
同じような話が今年、使用済み核燃料の再処理工場を米国と共同で第3国のモンゴルに設置する経済協力型計画もあきらかになったが、国際的な原発見直し機運の中でモンゴル国民の反対で取り消しとなった。
結果としては、自国の危険を国レベルの損得だけで第3国に負担させるのは大きな間違いで、いまだ原発事業の入口、中間、出口論がトータルで計画設計されなかった歴代行政の「見通しの欠落」の問題だ。
(3)ロシアの提案(外交文書)の意図は何だったのか。当時のプーチン大統領はロシアの国力(特に経済力)回復に向けて強いリーダーシップを発揮しており、広大な土地を利用した外国投資の誘引、外貨獲得の一環事業と言われている。
しかし、終わりの見えないチェルノブイリ原発事故処理を抱えたロシアだ。自国の危険を外国でいいのかの基本問題とともに、安全を置き去りにした遮二無二のロシア外交では課題があった。それをそのとおり国民に情報開示すべきであった。沖縄密約を引きずった自民党政権時代の国民騙(だま)し手法だ。
(4)ロシアとは北方領土返還問題を抱えて、外交はことに微妙な距離関係にある。情報はすべて開示して、利害関係共有(押し付け)により結果として請求不利益になるようなことがないよう国民の判断データ提供に努めるべきだ。
原発安全問題は、福島原発事故により国際的な関心も高まって国際基準づくりも始まっているが、国の利害関係が錯綜して進展していない、あるいは玉虫色決着だ。
国際赤十字では原発の健康安全レベルの基準化を日本が提案する。IAEAで今からでも原発事業の入口、中間、出口論の計画設計、デザイン(grand design)、未来への責任を協議、構築すべきだ。