今回から3回に渡ってハワイ4島巡りクルーズの記事をアップします。
私が3月からクルーとして働いていたのがこちらのプライド・オブ・アメリカという船です。
これは大型クルーズ船としては唯一のアメリカ船籍の船だそうで、そのためにクルーはアメリカ市民やグリーンカード保持者でなければならず、世界60か国からクルーが集まる他の大型クルーズ船とはかなり雰囲気の異なる珍しい船です。
しかも航路は同じ航路を毎週毎週ずーっと1年中繰り返します。土曜日の晩にホノルルを出航し、まずはマウイのカフルイハーバーに2泊、そこからハワイ島のヒロに停泊し、その晩に今度は反対側のコナに移動。コナを夕方6時に出航して今度はカウアイ島に1泊半してホノルルに土曜日の朝に帰ってきます。
ホノルルでは船はダウンタウンのすぐ手前、ピア2に毎週土曜日に停泊しています。見かけた事のあるオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか?アロハタワーのちょっと手前あたりです。毎週土曜日に忽然と巨大なホテルが現れる感じで、夜のクルーズ船の景色は圧巻です。
いつもは陸側から船を眺めていましたが、船のデッキからホノルルの街を見るとこんな感じです。この船のいいところは今まで見たことがなかった角度でハワイを眺められるところ。「ハワイにはもう何十回も来てるよ」というベテランオーナー様でも新鮮な感じがすると思います。
午後7時にホノルルハーバーを出航。一路マウイのカフルイハーバーを目指します。と言っても大して遠くない距離を一晩かけて移動するので、船はゆっくりゆっくり進みます。ちなみにこの船は8万トン。20万トンを超える最近のクルーズ船と比べると小さい方ですが、穏やかなハワイの海のおかげで全然揺れないので、「船酔いが心配」という方にもおすすめできるクルーズです。
こちらは沖合から見るホノルルを夜景。ダイヤモンドヘッドも見えます。
でも実はホノルル出航日が一番忙しく、土曜日は朝6時半から午後10時近くまでぶっ通しの勤務。こうやって夜景を見られるのは仕事が終わる10時以降。もうへろへろです。
そしてヘロヘロに着かれて帰る我が家がこちら。クルーの部屋は船底の1階から4階のフロアにあり、船長とか一部の操船にかかわる偉い人達だけ12階に部屋があります。私は3階の御部屋で、廊下は細く迷路のように入り組んでいます。自分の部屋までの道を覚えるのに最初は随分時間がかかりました。
こちらが船の我が家です。3人部屋で2段ベッドとシングルベッド(シングルベッドはちょっといい待遇なのでプリンセスベッドと呼ばれています)です。大きさ的には4畳半よりももっと狭いところに3人で暮らします。ただラッキーな事にコロナ後の好景気でアメリカ中が人出不足なため、クルーが予定の半分位しか確保できず、最初は一人でこの部屋を使う事ができました。1か月くらして、途中から新しく入ってきた同じ部署の同僚と二人暮らしになったのですが、その同僚が脱走(笑)してしまったので、それからはまた一人部屋でした。
2段ベッドはシンプルな作りですが、意外や意外、凄く寝心地の良いベッドで毎日ぐっすり眠れました(疲れてたから?)でもさすがアメリカの船、冷房が効きすぎで凄く寒く、夜はヒートテックにスエットの上下をパジャマ替わりに来て寝ていました。
一人に一つ、こんなクローゼットが与えられます。持ってきていい荷物はスーツケース1つなので、これで十分。実際、生活の殆どはユニフォームか寝間着で過ごすので、荷物は本当に要らなかったです。
こちらがバスルーム。究極に狭いトイレとシャワー。外に水をこぼさないようにシャワーを浴びるにはシャワーヘッドを壁に向けて使うなどコツが要ります。タオルとかは全部支給してくれるので、週に2回くらい自分でランドリーに交換に行きました。
このあたりもちょっと上の役職になると、掃除の人が入って掃除からタオルの交換等、全部やってくれます。
船の中は物凄い階級社会で、ちょっと軍隊に近い感じがしました。
そしてこちらが私がプライベートの時間の大半を過ごしたクルーメス(クルー用の食堂)です。部屋にいると息が詰まるので、部屋は寝るだけ。起きていて仕事をしていない時は殆どここで過ごしました。1日4回食事の時間があるので、ここに来ると色々食べてしまうのが問題。ここの他にクルー用のバーもあったのですが、これはコロナにかかるクルーが増えてしまい、途中からクローズになりました。
このクルーメス。予想に反して凄く私の口に合いました。ケーキもお客様用のレストランから毎日・毎食いろんな種類のケーキが降りてくるので、毎回2つづつくらい食べてました。(おかけでだいぶ太ったと思います)
アラスカクルーズの時もケーキを色々食べましたが、その時の船(マジェスティック・プリンセス)のケーキは味がイマイチ。どれを食べてもあまり感動がなかったのですが、このプライド・オブ・アメリカのケーキはお代わりしたい欲望をいかに抑えるかに苦労しました。
クルーメスでは日本食は出ませんが、アメリカンやインド、メキシカンなどいろんな国の料理が出て、しかもどれも美味しいのです。船に乗るまでは「日本食が食べられなくて大丈夫かな~」と心配したのですが、結局一度も日本食が恋しくなりませんでした。今回、上司とうまく行かず船を降りることになったのですが、最後までこのクルーメスの食事は心残りでした。
シェフの中にはインド系の人も何人かいて、本格的なカレーは私の一番の好物でした。仕事以外には食べることしか楽しみがないので、クルーメスの食事には本当に癒されました。
ソフトクリームも癖になってしまって、毎食ケーキとソフトクリームを交互に食べてました(これで太らない方がおかしいですよね~)
こちらは夜食。夜の10時から4回目の食事が始まります。もちろん食べなくても(と言うか食べない方が)いいのですが、部屋に居てもつまらないので、ついついクルーメスに行って食べてしまいます。
こちらは3時のおやつ。ずっと乗ってたら病気になってたかもしれませんね~(笑)
ホノルルを出て、翌朝、日曜日の朝7時にマウイ島のカフルイハーバーに到着します。マウイではまる2日滞在。
こちらは13階のクルー専用のデッキからの景色です。休憩時間はよくここに来て昼寝をしました。周りはインダストリアルエリアで、近場にビーチがないため、お客様はみなさんツアーに出かけます。そのツアーの販売と運営をするのが私の担当していたショア・エクスカーションという仕事です。
船の周りはコンテナだらけ。マウイは本当に風が強く、ウインドサーフィンやカイトサーフィンをよく見かけました。
船に乗る前は「自由時間も結構あるのかな~」なんて思ってましたが、実際は中途半端に2-3時間の休みしかなく、外に出ても近所のスーパーくらいしか行けないので、13階のクルーデッキで寝転がって本を読んだりネットサーフィンしたりしてました。クルー経験者のブログやYoutubeでは寄港地での観光や船の中の施設やアクティビティの様子が紹介されていますが、あれは特別に許可をもらっているのでしょうか。。。。基本的にお客様がいる所には行ってはいけなかったので、私は一度もshowも観る事なく地味に過ごしてました(泣)
毎日ハワイの景色が唯一の癒し
到着して、出航して、また翌週に帰ってきてをずーっと繰り返します。
海から眺めるカフルイハーバー
夜6時に出航して次の寄港地ハワイ島のヒロに向かいます。
次回はヒロ、コナ、カウアイのハーバー周辺の様子をご紹介します。もっと華やかなクルーズライフの記事を期待されていた方には申し訳ありません。船内でお客様の施設の写真を撮ることができなかったので、残念ながら次回も地味目な内容です。ただ写真はないものの、色々話しはできますので、ハワイ4島巡りにご興味のあるオーナー様は是非ハワイにお越しになった時にお声かけください。
私は30数年前2週間の船旅(研修)を経験してから、クルーズに憧れています。
斉藤さんの目から見て感じた乗船記は貴重で興味深いです。ブログを楽しみにしているとともに、直接お話を聞きたいですね🚢 よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
他のクルーはみんなどうやってモチベーション保ってるのかなあ?と不思議でした。これが世界中を色々回る船なら楽しみもありそうなんですが、ずーっと同じところをグルグル回るのが、この船のクルーの厳しいところかもしれません。でも余裕のあるお客様は一気に3週間乗船される方もいて、本当に皆さんハワイが大好きで来てるんだなあとヒシヒシと感じました。