市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…トーセンの前橋バイオマス燃料㈱が発電用木材集荷整備をなぜか中止!?

2017-03-10 00:23:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■東電グループの関電工が主体となり赤城山南麓で進めている前橋バイオマス発電施設建設事業は、東電福島原発事故により飛来した放射能に広範囲に汚染された群馬県の森林を伐採して一か所に集積し、毎年8万トンもの汚染木材を20年間にわたり、プレスでセシウムを含む水分をある程度絞った後、燃焼させることにより、地下水や焼却灰、そして排ガスを介して群馬県土に放射性物質を拡散させるものです。当会は建設地に隣接する地区の住民のかたがたで構成する赤城山の自然と環境を守る会(以下「守る会」)の活動を支援しています。そうした最中、守る会のメンバーのかたが2月20日付けで「平成28年度主要事業で予算立てした、前橋バイオマス燃料の低質材集荷システム構築(新規)の執行状況及び届出書類一式」を群馬県に公文書開示請求を行ったところ、3月6日付で公文書不存在決定通知が、群馬県環境森林部林業振興課県産木材振興係(TEL027-226-3241)から到来しました。


 この書類の中で「公文書が存在しない理由」として、「前橋バイオマス燃料㈱による低質材集荷施設整備については、事業中止となり、当該請求にかかる公文書は取得していないため」と記されていました。

 昨年7月、大手紙がこのトーセンの計画を報じました。その時の記事を見てみましょう。

**********日本経済新聞 電子版 2016/7/28 7:00
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB27H32_X20C16A7L60000/
群馬で木質バイオマス発電燃料収集 トーセン、関電工向け
 製材大手のトーセン(栃木県矢板市)は、群馬県内で木質バイオマス発電の燃料となる木材の収集を始める。燃料は関電工が前橋市で2017年秋に稼働を予定する発電所向けに供給。年間8万トンの木材が必要で、集積基地の一つを17年初めにみなかみ町に設ける。面積で県内の約3分の2を占める豊富な森林資源を有効活用し、山間地の活性化にもつなげる。
 関電工が前橋市郊外の広さ約4ヘクタールの敷地に建設予定の木質バイオマス発電所の発電規模は6700キロワット。発電所の運転効率を高めるには木材の安定供給がカギで、トーセンは主に群馬県内で確保を急ぐ。藤岡市や渋川市にグループや提携先の製材工場があり、製材過程で生じた端材や木くずを活用。さらに供給を増やすため、山林に近接した場所に木材の集積基地を新設する
 みなかみ町で約6千平方メートルの土地を賃借して集積基地を年末までに完成し、来年1月にも木材の受け入れを始める方向だ。約8000万円を投じ、木材を買い取る際に運搬車両ごと計量できる設備や、約600平方メートルの貯木場などを設ける。
 民間所有の山林や国有林から出る間伐材、建築用材には品質的に向かない木材、製材業で出た端材を持ち込んでもらい、買い取って貯木、脱水が進んだ後にチップに加工し、発電所へと送る。林業家や製材業者は産地から前橋の発電所に直接持ち込むよりも輸送距離が短くコストが少なくて済む。月最大約1500トンの供給を見込む
 こうした集積基地は木材利用が盛んなオーストリアで「ホフ」と呼ばれ、地域住民に燃料のまき用丸太やチップを販売する拠点にもなっている。トーセンは地元・栃木県の那珂川町で手掛ける木質バイオマス発電所の近隣にホフを設け、買い取り・販売の実績がある。
 群馬の森林面積は42万5000ヘクタールと関東一の規模だ。トーセンは木質バイオマス発電や集積基地を核に群馬の豊富な木材を無駄なく活用し、森林の整備保全や山間部の活性化にもつなげる考え
 トーセンの15年度のグループ売上高は単純合算で約90億円。栃木や山形県鶴岡市で運営する木質バイオマス発電所が本格稼働したことによる売電収入などの増加で、前年度に比べ1割強伸びた。
 前橋市の木質バイオマス発電所を巡っては環境や景観への影響、福島の原子力発電所事故による燃料木材の汚染懸念などから住民による反対運動が起きている。関電工などは集じん装置を施すといった環境対策を取るとして理解を求めている。
**********

■守る会によると、トーセンが約8000万円を投じるはずの、この低質材集荷システム構築事業に対する群馬県の補助金支出概要は次のとおりです。

*****県予算*****
【県予算】
 (新規)
低質材集荷システム構築(林業振興課)
45,000千円
・バイオマス発電用のチップ製造施設へ供綸する低質材を、効率良く輸送・集荷するための集荷施設整備に対して補助。
集荷施設2か所
事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
補助率:国1/2
補助額:45,000千円
**********

 この低質材集荷システム構築事業のことは、平成28年2月4日付:とりまとめ担当課 林政課・林業振興課の「政策11ぐんまの産業の強みを活かす戦略」関連事業として、「『林業県ぐんま』の実現を加速」と銘打って予算額 12,096,120千円を掲げ、その中で、「加工流通体制の強化と県産材の需要拡大を図ります」と称して、
  ●加工流通体制の整備に支援します。
  ○林業県ぐんま確立対策(高品質化) 1,700千円
  ○低質材集荷システム構築 45,000千円
  ○木質バイオマス利用施設等の整備 432,412千円 ほか
などと謳われていました。
※PDF ⇒ 2016020411qnyau.pdf

 実際には、関電工の前橋バイオマス発電計画のための支援事業だったわけです。

■この事業の補助理と補助額から推算すると、約9000万円の事業となる勘定でしたが、冒頭の公文書不存在決定通知書の不存在理由からすれば、「前橋バイオマス燃料㈱による低質材集荷施設整備については、事業中止となった」のだそうです。

 日経の記事には、「みなかみ町で約6千平方メートルの土地を賃借して集積基地を年末までに完成し、来年1月にも木材の受け入れを始める方向だ。約8000万円を投じ、木材を買い取る際に運搬車両ごと計量できる設備や、約600平方メートルの貯木場などを設ける。
 民間所有の山林や国有林から出る間伐材、建築用材には品質的に向かない木材、製材業で出た端材を持ち込んでもらい、買い取って貯木、脱水が進んだ後にチップに加工し、発電所へと送る。林業家や製材業者は産地から前橋の発電所に直接持ち込むよりも輸送距離が短くコストが少なくて済む。月最大約1500トンの供給を見込む」とあります。

 ということは、トーセンは別名「ホフ」と呼ばれる木材集積基地構想を捨てるとともに、「群馬の豊富な木材を無駄なく活用し、森林の整備保全や山間部の活性化にもつなげる考え」と放棄したことになります。

■この不可思議な出来事の背景や理由について、さっそく守る会のメンバーが群馬県の担当部署に電話で確認したところ、「当初予定は県内に二箇所4500万円の予算を確保したが、予定していた(トーセン)事業者が、その事業(貯木場建設)を中止した」と言うだけで、県担当者は、中止の理由は教えませんでした。

 これでは、公僕としての務めが果たせていません。守る会ではさっそく新たに情報公開請求を公僕に行うことにしています。

■これに関連して気になることがあります。それは、3月15日に第1回口頭弁論期日が開かれる平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件で、被告の群馬県が3月3日付の答弁書の中で、原告の訴状に対して次のとおり反論の答弁をしていることです。

**********
【原告の訴状】
(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること」について、
 事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、今だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の生活環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。
 これまで関係機関に再三火事の対策を訴えてきたが、ついに、群馬県において、平成28年12月14日の午前6時に近隣住民が出火していることを発見し、119番通報し、事務所と作業棟を全焼させてしまった(甲第35号証)。


【被告の答弁】
 株式会社卜-センが事業主体であることは否認し,その余は認否の必要性を認めない

**********

■もしかしたら、関電工は、当初はトーセンのバイオマス発電計画に後乗りした形だったのに、その後関電工が東電の意向を受けて、この事業を遮二無二押し通したために、トーセンの存在をさほど重視しなくなったのかもしれません。

 いずれにしても、最も重要な木質資源の集荷という分野で、集荷システムが不要になったということになると、やはり関電工のバイオマス発電施設に直接産地から木質燃料を持ち込むことになり、輸送コストを度外視した事業ということになります。となれば、やはり東電による原発事故で流れ出た放射能に汚染された木材を燃やすことが主眼のプロジェクトの可能性がますます高まってきます。

それにしても群馬県は、なぜこんなにも関電工の事業に対して補助金を惜しげもなくばらまくのでしょうか。それらは我々県民が納めた血税を原資としていることを、群馬県の公僕の諸君は、一時たりとも忘れてはならないのです。

■なお、当会が守る会とともに群馬県を相手取って係争中の事件番号・事件名:平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件については、本日3月10日(金)午前10時に前橋地裁第21号法廷で第4回口頭弁論が開かれます。

 今回の弁論では、我々原告らの出訴期間について、被告群馬県が裁判所に提出した調査嘱託申立の結果が判明することになっています。すでに、原告らの提訴は期限徒過にはなっていないことが地裁書記官から通知されています。しかし、未だに被告からは調査嘱託の結果が書証として裁判所に提出されていないらしく、原告の我々にも当該文書の送達がありません。

 本日の裁判でどのような事態が起こるのか、それとも新たなステージに入るのか、予断は許されませんが、群馬県民の皆様がひとりでも多く裁判所に傍聴に来ていただけると幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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ウェルライフ三愛・利用料金減額事件に関する高崎市行政の対応と問題点

2017-03-09 22:15:00 | 高崎市の行政問題
■高崎市在住の市民オンブズマン群馬の会員が、現在、「若宮苑を巡る高崎市不正給付」及び「若宮苑を巡るケアプラン偽造」等絡みの事で前橋地方裁判所において、被告高崎市を相手取って、訴訟を係争中であることは、これまでにも同会員の報告をお伝えしているとおりです。

高崎市金古町1758にある三愛会(医療法人社団)介護老人保健施設ウェルライフ三愛の写真(同HPから)

 この事件では、「ケアプラン未作成」という重大な運営基準違反をはじめ、「私文書偽造・同行使」という刑事事件の犯罪行益に対して、給付策定を行う高崎市介護保険運営については、業常な危険性と違法性を感じていることは、平成28年8月2日に、市民オンブズマン群馬の代表同席の上、県庁5日の記者クラブで記者発表をした経緯があります。

 この「若宮苑事件」 については、同会員の尽力により、現在では、全国の首長らをはじめ、群馬県国民健康保険団体連合会、 更には、本件所管官庁である厚生労働大臣からも、違法行為である旨の回答をいただいています。

 同会員によれば、「若宮苑不正給付事件」に続き「ウェルライフ三愛」においても利用料金減額にともなう不明朗な会計処理が行われたとして、このたび、こちらの事件についての報告がありました。

■この事件は、同会員の父親が、高崎市指定・介護老人保健施設ウェルライフ三愛に入所した際に、平成26年度、5月度利用料金として 「24,495円」を請求されたことに起因します。ところが、同会員の理解の範囲を担えて、どういう訳か「5,000円」を減額するとして、5月度の利用料金に ついては、「19,495円」を銀行ATMで、お支払い下さいという電話連絡があったそうです。

 同会員は、指示通りに「19,495円」を支払いました。すると、なぜか「24,495円」の領収証が同会員の自宅に郵送されました。

 この利用料減額については、「厚生省令第40号」及び 「老企第44号」の規定によれば、「介護保健施設サービスの提供に際して入所者が負担すべき額の支払いを適正に受けなかったとき」には、基準省令に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに取り消すことができるものであること」と、明確に規定されています。

 しかし、当該苦情についての受理は、平成26年7月29日に行われたのですが、高崎市の長寿社会課の小野里清職員は、同会員の公開質問に対して、調査結果の回答発表を、なんと2年後の平成28年7月29日に行ったのでした。

 当会員によれば、この回答発表の内容として、ウェルライフ三愛の「利用料金の減額」について調査を実施した高崎市の長寿社会課の小野里職員は、「若宮苑事件」と同じく、「不正を隠蔽しようとする事実とは全く異なった発表」を行ったということです。

■こうした高崎市の一連の不明朗な行為について、同会員は、高崎市に対してこれまで何通もの公開質問状を提出してきました。しかし、高崎市からは全く回答が来ないそうです。

 このような高崎市の対応について、同会員は、「高崎市は、不正行為が発生して、それを指摘されても、何ら問題視しようとはせずに、要介護者への適正なサービス提供よりも、高崎市は自ら犯した違法性を殊更に隠蔽しようとしている。これは自治体としての公明公平公正の説明責任を蔑ろにしたものである」と報告してきています。

 この証拠として、同会員は、高崎市が発出した「第106-19号」と「第 272-5号」の2つの文書があり、前者の回答書で高崎市は、「施設サービス費の請求は適正に行われており、自己負担額の減額には当たらない」としていたのにもかかわらず、後者での回答では、「関係機関等の確認が終了次第、回答させていただきます」とあり、これら2通の内容が180度異なっていることを問題視しています。

 同会員によれば、すでに関係者の間で「高崎市から立て続けに介護老人保健施設が指定取消しになるのではないか」と危惧する声が高まっているとのことです。

 この件について、当会員は、その後も各方面に公開質問状や公開書簡を送り続けていますが、肝心の高崎市からはなしのつぶてだということです。

●やり取りを示す文書
1.「苦情申立についての確認事項について」と題する平成28年7月29日付第106-19号高崎市役所長寿社会課からの文書 PDF ⇒ 20160729s19619.pdf
2.公開質問状「苦情処理の報告について」と題する平成28年12月20日付高崎市役所長寿社会課施設担当係長あての文書 PDF ⇒ 20161220sj.pdf
3.「公開質問状の回答について」と題する平成8年12月28日付第272-5号高崎市長からの文書 PDF ⇒ 20161228sj.pdf
4.「利用料領収書」と「利用料請求書」の写し PDF ⇒ 20140717efctosm.pdf
5.当会員から高崎市長寿社会課あて平成29年3月5日付公開書簡(みのわ:おむつ交換について) PDF ⇒ 20170305epoupx.pdf
6.当会員から高崎市長寿社会課あて平成29年3月5日付公開書簡(ウェルライフ三愛:利用料減額について) PDF ⇒ 20170305eo.pdf

■高崎市では、当会員からの問い合わせに対して一切返事をしない理由として「現在裁判で係争中だから」との一点張りです。これでは市民からの信頼が損なわれるだけです。

 高崎市は市民と係争中だからこそ、丁寧に市民からの質問に答える義務があるはずです。

 この件は、今後も逐次報告してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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大同スラグ訴訟・・・4.14第9回口頭弁論を来月に控え被告群馬県が早くも出してきた第9準備書面の中身

2017-03-08 23:35:00 | スラグ不法投棄問題
■東吾妻町の農業地帯における区画整理事業で農道にサンパイである鉱滓=有毒スラグ入りの“再生砕石”が敷砂利として多量に不法投棄された事件で、当会は有害物質を原因者に撤去させず公金で舗装による蓋をしてしまった群馬県吾妻農業事務所長に、無駄な舗装工事費を支払わせるべく、群馬県を相手取り住民訴訟を係争中です。前回1月20日に行われた第8回口頭弁論期日に基づき、次回4月14日(金)の第9回口頭弁論に向けて訴訟資料を準備しているところですが、3月7日付で被告から第9準備書面が送られてきました。

おなじみの「石原・関・猿谷法律事務所」の黄色い封筒。石原弁護士は副団長(団長代行)として、関弁護士は事務局長として原子力損害賠償群馬弁護団に関与し、福島第一原発事故の放射能被害から群馬県に避難してきた住民らが国と東電を相手取り地裁に提訴した事件を支援しているが、他方では行政側に立って、今回の大同スラグ問題や関電工バイオマス発電問題などで住民側の訴えをはねつけている。これが弁護士の実態であり、行政への配慮は常に潜在化していることに留意しなければならない。

 前回の第8回口頭弁論の様子は当会の次のブログを参照ください。
〇2017年1月29日:大同スラグ訴訟・・・第8回口頭弁論が前橋地裁で開廷。風向きに変化の兆しは前橋地検の不起訴処分のせい?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2222.html#readmore

 前回期日では、裁判長が次の訴訟指揮を被告・原告双方にしました。

1 被告に対して、平成29年3月31日までに、被告準備書面(平成26年12月27日付け)の第1の2(2)(4頁)の裁判所からの求釈明事項に対する回答に関し、以下の点について補充されたい。
(1) 風評被害を避けるために工事をすれば環境上周辺住民の生活の安全が図られることになるのか。
(2) 土壌汚染対策法により行う舗装工事と、本件舗装工事が同等あるいは同一の工事内容なのか。

2 原告らに対し、
(1) 甲53及び54の証拠説明書を提出されたい。
(2) 平成29年3月31日までに、被告準備書面(平成28年12月27日付け)の第2(4頁)に対して認否反論されたい。
(3) 平成29年3月31日までに、原告らの鑑定申立書(平成28年11月30日付け)について、被告の鑑定申立に対する意見書(平成29年1月13日付け)を踏まえ、以下の2点を検討の上、「鑑定申立書の補充書」と題する書面及び鑑定の必要性を裏付ける資料を提出されたい。
ア 裁判所における鑑定とはどのようなことを行うものか。
イ 化学的知見を専門家に相談し、原告らが希望する鑑定結果を得るために、どのような申立てをし、どのような事項を鑑定すればよいか。


■今回、被告は上記1の裁判所からの求釈明事項に対する回答を送ってきたことになります。さっそく内容を見てみましょう。

*****送付書兼領収書*****PDF ⇒ 20170308t.pdf
前橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 清宮書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
原 告 鈴木 庸 殿
                   平成29年3月7日
                 前橋市大手町3丁目4番16号
                 被告訴訟代理人
                 石原・関・猿谷法律事務所
                 弁護士 関  夕 三 郎
                 電話027-235-2040
           送  付  書
 事件の表示 : 前橋地方裁判所
        平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
 当 事 者 : 原 告: 小川賢外1名
        被 告: 群 馬 県
 次回期日 : 平成29年4月14日午前10時00分

 下記書類を送付致します。
   1 第9準備書面               1通(4枚)
   2 書証乙第24号証             1通(6枚)
   3 証拠説明書                1通(1枚)
                    本書含み 12枚
                             以上
---------------切らずにこのままでお送り下さい---------------

           受  領  書

上記書類、本日受領致しました。
                     平成29年3月8日

     原告  小 川   賢

前橋地方裁判所(清宮書記官)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所  御中 :FAX 027-230-9622


*****被告第9準備書面*****PDF ⇒ 201703089.pdf
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告  小川賢,外1名
被 告  群馬県知事 大澤正明

          第9準備書面

                    平成29年3月7日

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中

         被告訴訟代理人弁護士  関  夕  三  郎
         同      弁護士  笠  本  秀  一
         同    指定代理人  福  島  計  之
         同    指定代理人  松  井  秀  夫
         同    指定代理人  阿  野  光  志
         同    指定代理人  篠  原  孝  幸
         同    指定代理人  油  井  祐  紀
         同    指定代理人  安  藤     敏

<P2>
 平成29年1月20日の第8回口頭弁論調書の別紙1項の御庁からの求釈明につ
いて,下記のとおり回答する。

                  記

第1 求釈明(1)
 風評被害を避けるために工事をすれば環境上周辺住民の生活の安全が図られることになるのか。
 (回 答)
1 被告が本件農道舗装工事を施工した5か所の農道(乙19に①ないし⑤の番号を付しか5路線)は,舗装工事施工前は,鉄鋼スラブが含まれたブレンド骨材が露出した状態であった。
  そして,本件農道舗装工事の目的は,本件圃場整備事業の目的,すなわち,農業生産性の向上による農業振興と地域住民等の便益の増進であったが,これと共に,未舗装のままにしておくことによる地域住民等の不安や農作物の風評被害に波及することを未然に防ぐ目的も併有していた(被告の平成28年3月15日付け第3準備書面6ないし7頁)。
2 上記で防止を図った風評被害等は,具体的には,大同特殊鋼に由来する鉄鋼スラブが含まれているブレンド骨材が露出した状態になっているという噂により,萩生川西地区の農作物のイメージが傷付き,売上に悪影響が生ずるのではないかというものであった。
 上記の懸念を払拭し,風評被害等を避けるためには,ブレンド骨材を被覆すれば必要かつ十分であったことから,時期を早めて本件農道舗装工事を施工したものである。
3 本件農道に敷設されたブレンド骨材は環境基準(なお,土壌汚染対策法所定の基準も同一)を超えていないので,もともと周辺住民の生活の安全が害されるものではないが,本件農道舗装工事により,周辺住民の生活の安全はより十全に図られることになったものといえ,また,仮に下層路盤材から基準値を超

<P3>
えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても,環境上周辺住民の生活の安全は図られたものといえる。
  なぜなら,一般に土壌が有害物質により汚染された場合,これが人の健康に影響を及ぼすリスクとしては,①土壌に含まれる有害物質が地下水に溶出し,その有害物質を含んだ地下水を経口摂取するリスクと,②有害物質を含む土壌を直接的に経口で摂取し,又は,その土壌が皮膚に接触することで皮膚から有害物質を摂取するリスクがあるところ(被告の平成28年12月27日付け第8準備書面4ないし5頁参照),本件農道舗装工事によってブレンド骨材を被覆することにより,上記②のリスクを除去することができたからである。
  ただし,本件農道舗装工事では,上記①のリスクを除去することはできないから,地下水の汚染に関しては別途の考慮が必要ではあるが,被告の平成28年12月27日付け第8準備書面・7頁で述べたとおり,これまで,大同特殊鋼株式会社から排出された鉄鋼スラブが混合されているブレンド骨材が使用された群馬県内の場所に関し,地下水汚染が確認された地点はない。

第2 求釈明(2)
 土壌汚染対策法により行う舗装工事と,本件舗装工事が同等あるいは同一の工事内容なのか。
 (回 答)
1 被告の平成28年12月27日付け第8準備書面7頁で述べたとおり,仮に本件下層路盤材が直接摂取のリスクの点,すなわち,土壌含有量の点て基準に適合していなかった場合は,土壌汚染対策法により,盛土や舗装が求められる(土壌汚染対策法施行規則別表5・9項)。
  そして,ここにいう「舗装」の仕様については,同規則別表6・8項により,「イ 当該土地のうち基準不適合土壌のある範囲を,厚さが10センチメートル以上のコンクリート若しくは厚さが3センチメートル以上のアスファルト又はこれと同等以上の耐久性及び遮断の効力を有するもの・・・・により覆うこと。」,「ロ イにより設けられた覆いの損壊を防止するための措置を講ずるこ

<P4>
と。」が必要とされる。
  上記の仕様の更に具体的な説明は,乙22号証として一部抜粋部分を提出済みの「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」の舗装の項(乙24)で明らかにされている。そこでは,アスファルト舗装については,最低3センチメートルの肩厚とされ(乙24・403頁),更にその下の路盤については,歩道程度の用途であれば最低10センチメートルの肩厚とされる(乙24・405頁)。
2 他方,本件農道舗装工事の仕様は,アスファルト舗装厚は3センチメートルであり,その下の下層路盤は,既設の下層路盤材(鉄鋼スラブを含んだもの)5センチメートル厚の上に補足材として下層路盤材(鉄鋼スラブを含まないもの)を10センチメートル厚で敷設しており,合算して15センチメートル厚となっている。
  一般的に農道のうち支道と耕道については,アスファルト舗装厚3センチメートル,下層路盤材厚15センチメートルで設計されており,舗装の強度としてはこれで十分である。
3 したがって,本件農道舗装工事の仕様は,土壌汚染対策法及び同法施行規則により求められる舗装の仕様を充たしており,仮に本件下層路盤材が土壌含有量の点て基準に適合していなかったとしても,本件農道舗装工事をもって土壌汚染対策法により求められる措置と同等の措置が講じられたものとみなされる。
                        以上

*****証拠説明書(乙24)*****PDF ⇒
2017030800i24j.pdf
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告  小川賢,外1名
被 告  群馬県知事 大澤正明

            証拠説明書(乙24)

                        平成29年3月7日

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中

            被告訴訟代理人弁護士  関  夕  三  郎
            同      弁護士  笠  本  秀  一

●号証:乙24
〇標目:土壌対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(抜粋)
〇原本・写しの別:写し
〇作成年月日:H24.8月
〇作成者:環境省 水・大気環境局 土壌環境課
〇立証趣旨:乙22として抜粋を提出したガイドラインのうち,舗装の仕様について説明した部分。土壌汚染対策法が求めるアスファルトの厚さは,表層のアスファルトの厚さは最低3センチメートル,その下の路盤の厚さは最低10センチメートルとされている。
                     以 上

*****書証目録(乙24)*****PDF ⇒20170308i24j.pdf
前橋地方裁判所
平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件

          書 証 目 録

           乙第24号証

      上記正写致しました
      弁護士   関    夕  三  郎

*****乙第24号証*****PDF ⇒ 2017030801i24j.pdf
2017030802i24j.pdf
<P402>

6)措置の完了の報告

 性状の変更を行った基準不適合土壌のある場所について、100 m2ごとに任意の地点において深さ1mから基準不適合土壌のある深さまでの1mごとの土壌を採取し、当該土壌について特定有害物質の量を環境大臣が定める方法(規則第6条第3項第4号)により測定し、土壌溶出量基準に適合することを確認する必要がある。さらに性状の変更を行った基準不適合土壌のある範囲において、地下水流向の下流側に1以上の観測井を設け、1年に4回以上定期的に地下水を採取し、当該地下水に含まれる特定有害物質の景を環境大臣が定める方法(規則第6条第3項第4号)により測定し、地下水汚染が生じていない状態が2年間継続することにより本措置が適正に実施されたかどうかを判断する。

 措置実施者は工事状況の写真、工事終了報告書とあわせ、途中の段誓で立入検査を行った場合にはその報告書も参考にし措置の完了を都道府県知事に申請する。工事記録は都道府県知事に提出するとともに、土地の所有者等も保管し、将来土地の所有者等の変更等が生じる場合にそれを承継できるようにする。

7)措置の完了後の留意事項について

 措置の実施後は、措置の効果の維持として土地の所有者等において不溶化した基準不適合土壌の飛散等がないことを定期的に点検するとともに、適切な頻度で地下水の水質の測定を行い、措置の効果が維持されていることを確認する。測定の頻度については、「地下水の水質の測定」を参照するものとする。また、地下水の水質の測定の結果、地下水基準に適合せず、あるいは地下水濃度上昇傾向を示す等の現象があった場合には、速やかに都道府県知事に報告するとともに適切な地下水汚染の拡大の防止を実施する必要がある。

5.4.4 直接摂取によるリスクに係る各措置の実施

(1)舗装

 舗装については、厚さ10 cm以上のコンクリート若しくは厚さ3㎝以上のアスファルト又はこれと同等以上の耐久性及び遮断の効力を有するものにより覆うこととされている。これらの厚さは十分な耐久性及び遮断の効力を得るための最低限の厚さであり、措置実施後の上部の利用用途により破損しないような十分な強度を保つよう、必要に応じて覆いの厚さを増すことや路盤材により補強することが必要である。
 なお、土壌含有量某準を超える要措置区域において封じ込め措置(原位置、遮水工、遮断工)を行い、その上面を本措置と同等の効力を有するものにより覆う場合も、舗装として位置づけられることとなる(規則別表第6の8の項、通知の記の第4の1(6)④イ(チ))。

<P403>


          図5.4.4-1 舗装措置(一例) 概念図

1)舗装の種類

 舗装の種類を表5.4.4-1にまとめ、表5.4.4-2に各種舗装による基準不適合土壌の人ヘの暴露面からの長所・短所についてまとめる。

          表5.4.4-1 舗装の種類

●舗装の種類の名称:コンクリート舗装
〇内容:堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するコンクリートにより覆うことにより基準不適合土壌の人への暴露を防止する。最低10 cmの層厚とする。
●舗装の種類の名称:アスファルト舗装
〇内容:堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するアスファルトにより覆うことにより基準不適合土壌の人への暴露を防止する。最低3cmの層厚とする。
●舗装の種類の名称:その他(ブロック舗装等)
〇内容:ブロックやタイルであってもコンクリート舗装やアスファルト舗装と同等以上の耐久性及び遮断の効力を有すれば問題なく使用することができる。
   ブロック舗装は堅牢、かつ、基準不適合土壌の飛散等の防止及び雨水浸入の抑制の効力を有するコンクリートの二次製品であるインターロッキングブロック等を利用する。施行に当たっては、目地等からの雨水の流入も抑制できるように配慮する。

<P404>
 表5.4.4-2 各種舗装による基準不適合土壌の人への暴露面からの長所・短所
●コンクリート舗装
〇長所:①路面が波打ったり、変形したりしない
    ②盤として耐力が期待できるため、接地圧が大きい集中荷重に強い
    ③耐用年数が良い(参考:20年以上)
    ④路面の耐摩耗性が大きく、ひっかきに対して強い
〇短所:①気温の影響による伸縮膨張影響を受けやすい、そのため目地を設ける必要があり、そこをはじめとする破損に注意が必要
    ②措置の実施後、コンクリートの養生期間として設計強度の発現までに28日程度かかる
    ③補修に手間がかかる
    ④不同沈下に追随性がなく破損することが多い
●アスファルト舗装
〇長所:①可塑性があり、不同沈下にある程度順応できる
    ②措置の実施後の養生期間が短く、すぐ使用ができる
    ③補修が容易である
〇短所:①利用の方法や維持管理の程度により異なるが寿命が比較的短い(参考:10年程度)
    ②接地圧の大きい静止荷重や同一地点の繰返し荷重で、へこみやわだち掘れができやすい
    ③油に弱く、気温の影響も受ける
    ④下地の裁根が不十分な場合は根の成長で破壊される
●ブロック舗装
〇長所:①不同沈下にある程度順応できる
    ②補修が容易である
    ③措置の実施後直ちに供用できる
    ④耐用年数が長い(参考:20年以上)
    ⑤路面の耐摩耗性が大きい
〇短所:①目地からの土壌の露出がないように維持する必要がある。
    ②措置の実施が手作業であり、措置の実施期間が長い

2) モルタル吹き付け等

 当該土地の傾斜が著しいことその他の理由によりこれらを用いることが困難であると認められる場合には、モルタルその他の土壌以外のものであって、容易に取り外すことができないもの(以下「モルタル等」という。)により覆う(規則別表6の8の項の下欄のイ)。

 急傾斜地、あるいは非常に細い土地(家屋と弊との間)等であって、通常の舗装等が困難な場合はモルタル等の吹き付けや、シートで傾斜面を被覆することで、舗装と同じ効果を得ることができる。ただし、モルタル吹き付け等は路盤を形成できないという前提であるため、モルタル吹き付けを行う要措置区域は上部の利用がないこと、通常は人が立ち入ることがない場所に適用する。急傾斜地等に用いられるモルタル吹付工等の種類としては表5.4.4-3に示すものが考えられる。

          表5.4.4-3 吹付工等の例一覧表
●分類:構造物による法面保護工
〇工種:・モルタル吹付工
    ・コンクリート吹付工
〇目的・特徴:風化、浸食防止
〇選定に当たっての留意点:
    ・安定勾配よりも急な法面の場合に利用することが多い。
    ・割れ目の多い軟岩の場合に適しているが、湧水がある場合は注意を要する(基本的には実施すべきではない。)。
●分類:その他
〇工種:・合成樹脂シートを用いた被覆
〇選定に当たっての留意点:
    ・法面の凹凸で破損するおそれがあるので下地処理に注意を要する。

<P405>

   図 5.4.4-2 モルタル吹き付け等舗装措置(一例) 概念図

3) 路盤の作成

 コンクリートやアスファルトの舗装は、措置実施後の上部の利用用途に応じた外力等に耐えるため、表面を被覆したコンクリートやアスファルトとそれを支える路盤や路床等が複合構造として成り立っている。
 道路等に利用される場合は、道路としてその交通量と路床の支持力により構造を別途算定し計画する必要があるが、車の走行による影響(活荷重)がほとんどない場合の舗装による被覆の目安は表5.4.4-4のとおりである。コンクリートとアスファルトの厚さは歩道程度のものとして使用した接合の最低限の厚さを例示したものであり、実際の採用に当たっては、下地の路盤、路床の耐力等を考慮して、予測される外力等に対し安全な計画・設計を行い設置する必要がある。

        表5、4.4-4 舗装による被覆の厚さの目安
●舗装の種類:コンクリート舗装
〇舗装仕様:10㎝
〇路盤仕様:10㎝ (砕石、砂利、砂等)
〇一般での用途:歩道程度
●舗装の種類:アスファルト舗装
〇舗装仕様:3㎝
〇路盤仕様:10㎝ (砕石、砂利、砂等)
〇一般での用途:歩道程度

<P406>

    図5.4.4-3舗装・路盤材と基準不適合土壌との関係

4)措置の実施範囲

 措置の実施範囲は、基本的には当該措置の対象となる要措置区域の範囲とするが、境界面からの基準不適合士壌の露出を考慮して、舗装端部の覆い(コンクリート、アスファルト)が基準不適合土壌の存在する平面範囲より50㎝以上は余裕を持って囲むことが望ましい。また、付近に覆いと同様の構造である道路や建屋の基礎等がある場合にはできる限り接続し、土壌の露出部分を少なくすることで飛散等が生じない状況とすることが望ましい。
 なお、敷地境界等が接近しており工事が両難な場所に措置を行う場合は、事前に都道府県知事とその措置実施範囲、工法について協議して実施するごとが望ましい。

5)措置に伴う工事実施時、特に留意すべき汚染拡散防止措置

 汚染土壌又は特定有害物質の飛散、揮散又は流出を防止するために必要な措置を講じなければならない(規則別表第6備考)。

6)措置の完了の報告

 措置実貧者は、工事状況の写真、工事終了報告書等を都道府県知事に提出し、その内容をもって措置の完了の確認を得る。

7)措置の完了後の留意事項

 土壌汚染の除去以外の汚染の除去等の措置については、土壌中に特定有害物質が残ることから、実施後もその効果が適切に維持される必要がある。
 このため、措置の完了後は、土地の所有者等がその効果が持続しているかどうかを定期的に点検し、措置に係る構造物の損壊のおそれがあると認められる場合には速やかに損壊を防止するために必要な措置を講ずるなど、汚染の除去等の措置の効果の維持に努めることが望ましい(通知の記の第4の1(6)④ウ)。

 措置の完了後は、土地の所有者等が舗装排置を定期的に点検し、舗装の損壊があると認められる場合には、速やかに覆いの損壊(舗装のひび割れ、めくれ、陥没、下部の土の噴出等)を補修し、必要であれば損壊の防止を講ずることが望ましい。また、大雨や台風等の直前・直後、地震の直後はその都度点検することが望ましい。

<P407>
 舗装措置の定期的な点揆とは、基本的に目視確認であり、基準不適合土壌が直接露出するようなひび割れや崩壊がないこと、雨水の浸入がないこと及び飛散等がないことを確認することである。また、モルタル・コンタタート吹き付けは湧水が認められた場合に損壊の可能性があることから、土地の所有者等は定期的に措置を実施した場所を点検し、覆いの損壊、特定有害物質を含む土壌粒子の飛散や流出のおそれがあると認められる場合には、速やかに必要な覆いの修復又はほかの指示措置等を講ずるごとが必要となる。
 工事記録は都道府県知事に提出するとともに土地の所有者等も保管し、将来、土地の所有者等の変更等が生じる場合にそれを承継できるようにする。

(2)立入禁止
 立入禁止は、当該土地のうち基準不適合土壌のある場所の周囲に、人が当該場所に立ち入ることを防止するための囲いを設ける。当該土地の区域外への基準不適合土壌又は特定有害物質の飛散等を防止するため、シートにより覆うことその他の措置を講じ、設けられた囲いの出入口(出入口がない場合にあっては、囲いの周囲のいずれかの場所)の見やすい部分に、関係者以外の立入りを禁止する旨を表示する立札その他の設備を設置する(規則別表第6の9の項)。
 立入禁止は、当該土地を全く利用しない場合の一時的な措置であり、本措置が行われている間に人が立ち入ることがなく適正に管理する必要がある(通知の記の第4の1(6)④イ(リ))。


          図 5.4.4-4 立入禁止(一例)概念図

1) 立入禁止で行われる工事等の種類

ア.囲い
 人が立ち入らないことを目的として設置されるものであり、塀、フェンス、柵、ロープ等がある。
 具体的には、塀、フェンス等物理的に人の立入りを制限することを基本とし、工場又は事業場の中にある場所で、人的に管理できる場合であれば、立入禁止区画を明確にし、進入禁止を喚起できれば柵、ロープ、有刺鉄線等でもかまわない。
 表5.4.4-5に本措置の例をまとめる。
**********

■以上のとおり、健全な土壌だった農業地帯に、わざわざ有害物質を含んだスラグ=鉱滓を下層路盤材と称して不法投棄したにもかかわらず、群馬県は、当会の追及に対して当初は「ステージコンストラクションであるから施工上は問題ない」などと主張していました。

 ところが大同スラグ問題で、群馬県の告発により群馬県警の捜査の結果、廃棄物処理法違反に問われた大同特殊鋼、大同エコメット、佐藤建設工業が前橋地検に送検された事件で、昨年12月22日、前橋地検は不起訴処分としたことを契機に、群馬県は「舗装で蓋をしたのは風評被害を防止するための土壌汚染対策法による対策だ」と主張し始めたのです。

 自分で有毒スラグを敷砂利として撒いておきながら、今度はその上に舗装で蓋をしたのは、土壌汚染対策法による措置だと主張をあっさりと変えたわけです。なぜこれほど大同特殊鋼や大同エコメット、佐藤建設工業を庇おうとするのでしょうか。

 現在マスコミを賑わせている大阪の森友学園への国有地格安払下げ問題で、地下からさまざまな生活ゴミが出てきたとして格安で払い下げをしてやったり、補助金のずさんな査定や、行政における諸手続での破格の扱いをしてやったり、などなど、通常では到底ありえないことが次々に起きていたことが発覚しつつあります。この大同スラグ事件も、根っこは同じではないのか、と私たちに連想させる不可思議な事件です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「石原・関・猿谷法律事務所」所属弁護士紹介
**********
http://ishihara.gr.jp/
●弁護士 石原 栄一
昭和31年4月、前橋市生まれ。前橋高校、東北大学法学部卒業
趣味はゴルフ、スキー、音楽鑑賞など
昭和61年4月、山岡法律事務所に「イソ弁」として入所し弁護士としてスタートしました。事務所所長の山岡正明弁護士が私のボス弁であり弁護士としての師匠にもなります。
ボスの山岡弁護士は「何事にも全力で取り組む」という姿勢でした。仕事に熱心で面倒見のいい先生でしたが、平成15年9月、多くの方に惜しまれながら他界しました。
山岡事務所で勤務するなかで、民事介入暴力(いわゆる「民暴」)という事件に出遭いました。民暴事件とは「暴力団員等からの不当な要求により損害を受けた被害者を救済する」という仕事です。民暴事件は、山岡弁護士が精魂を傾けて取り組んできた仕事のひとつでしたが、以来、私の弁護士としてのライフワークのひとつにもなりました。
現在、民暴事件のみならず様々な事件や相談に関与していますが、弁護士登録したときの初心を忘れず仕事に取り組んでいきたいと考えております。
●弁護士 関 夕三郎
昭和46年、新潟県生まれ。中央大学大学院法学研究科を卒業。
平成12年4月に検事任官。平成16年4月に弁護士登録。 趣味はゴルフ。
私は、法律家としての人生を検事としてスタートさせ、札幌地検、大阪地検などに勤務しました。検事時代に身に付けた事件に対する取り組み方、証拠の見方が、今の私の基礎になっています 。
依頼者の声に誠実に耳を傾けることを常に心掛けています。それによって、紛争の解決を目指すのはもちろんですが、依頼者の悩みをいくらかでも和らげることに繋げたいと思っています。また、依頼者の話を聞きながら、想像力を駆使し、依頼者が忘れていた記憶を換起したり、思わぬ証拠に繋がる糸口を見つけたりすることは、法曹に関わる者にとっての醍醐味であるとも思っています。
●弁護士 猿谷 直樹
昭和50年高崎市生まれ。高崎高校卒。東京大学法学部卒。
平成13年弁護士登録。
趣味はゴルフ。
●弁護士 笠本 秀一
昭和57年,埼玉県本庄市生まれ。慶應義塾大学理工学部,法政大学法科大学院卒。
平成20年群馬弁護士会に弁護士登録。公害・環境対策委員会,消費者問題対策委員会,法教育委員会等に所属。 趣味はラーメン店巡り。
私は元々環境問題に関心があり,大学時代は理工学部で環境問題を研究していました。
しかし,環境問題に携わるには,法律の知識も必要なのだと実感し,法律の世界に飛び込みました。
実際に法律の世界に飛び込んでみると,交通事故や建築紛争,知的財産権訴訟等,自然科学の知識が必要な業務は意外に多いです。 そうでない業務であっても,理工学部で学んだ論理的思考が非常に役に立っています。
皆様の悩みに寄り添って,最善の解決を図っていく。そのような弁護士でありたいと思っております。
よろしくお願いします。
●弁護士 織田 直樹
昭和61年、前橋市生まれ。前橋高校,中央大学法学部卒業,慶應義塾大学法科大学院修了。
趣味はスキーなど。
●弁護士 舩戸 いずみ
ただいま執筆中です。
●弁護士 徳島 里絵
ただいま執筆中です。
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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス発電補助金差止の出直し裁判で被告群馬県から仰天の答弁書

2017-03-07 23:48:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■東電福島第1原発事故で放射能汚染された間伐材や廃材を群馬県内外から赤城山南麓に集積し、木質チップにした後、高圧プレスにかけて水分を絞り出し、その後ボイラーに投入して燃焼させ、蒸気タービンを介して発電機を駆動するという亡国事業を、あろうことか東電グループの関電工が進めています。そのため、当会では地元市民団体とともにこの事業に支出される補助金の交付差止のための行政訴訟を提起しています。最初に提起した事件では、住民監査結果通知が原告に届いてから30日を過ぎているのではないか、とか、まだ補助金は交付されていないから原告資格に疑義がある、などとする被告群馬県のいやがらせのため、第3回口頭弁論を経た今でも、本案に入れないままの状態が続いています。

バイオマス補助金支払差止請求事件の出直し裁判で、被告群馬県から原告らに、3月6日(月)に配達されてきた答弁書が同封された封筒。

 このため裁判所の民事第2部の裁判長の訴訟指揮により、あらためて補助金の一部支払いが確認できた時点で行った住民監査請求を経て住民訴訟に持ち込んでいたところ、2月6日に第1回口頭弁論期日に関する呼出通知が原告に届きました。

 これに関連して2月2日の午後4時ごろ前橋地裁民事第1部から電話があり、「3月15日に別件の裁判があるようなので、同じ日ではどうか?」との打診があったので、「配慮くださりありがとうございます。ぜひその日でお願いします」と当会からお願いした経緯があります。

■そうした最中、3月15日の第1回口頭弁論を間近に控えた3月6日に、被告の群馬県の訴訟代理人の弁護士事務所から答弁書を同封した封筒が郵送されてきました。

 早速、中身をチェックしたところ次の内容の書類が入っていました。

 送付書兼受領書については、さっそくFAXで受領通知を発信しておきました。ご覧のように前橋地裁のFAX番号が間違っていたので、正しいFAX番号に訂正しました。かなりズボラな担当弁護士のようです。

*****送付書兼受領書*****PDF ⇒ 20170306tij.pdf

前橋地方裁判所民事第1部合議係(本多書記官殿)御中
原告
小 川   賢  殿
原告
羽 鳥 昌 行  殿

                     平成29年3月3日
                  前橋市大手町3丁目4番16号
                   被告訴訟代理人
                   弁護士  織 田 直 樹
                  TEL027-235-2040/FAX027-230-9622

           送  付  書

 事件の表示 : 御 庁 平成28年(行ウ)第27号
 当 事 者 : 原 告 小川 賢 外1名
         被 告 群馬県知事 大海正明
 次 回 期 日 : 平成29年3月15日 午前10時30分

   下記書類を送付致します。宜しくお願い致します。
    1 答弁書          1通
                       以上

---------------切らずにこのままでお送り下さい--------------
           受  領  書

上記書類、本日受領致しました。
                       平成29年3月6日

         原告  小 川   賢    印

前橋地方裁判所民事第1部合議係御中(本多書記官殿):FAX 027-233-0901
弁護士 織 田 直 樹    様         :FAX 027-230-9622
**********

■答弁書の内容は次のとおりです。

*****答弁書*****PDF ⇒ 20170306ocix2pdf.pdf
<P1>

平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件
原 告 小川賢 外1名
被 告 群馬県知事 大澤 正明

           答 弁 書

                     平成29年3月3日

前橋地方裁判所民事第1部合議係 御中

          〒371-0026
           前橋市大手町三丁目4番16号
           石原・関・猿谷法律事務所(送達場所)
           TEL 027-235-2040 / FAX 027-230-9622
           被告訴訟代理人弁護士 石  原  栄  一
           同          関  夕  三  郎
           同          織  田  直  樹
           同指定代理人     栗  原  紀  喜
           同          多  胡  正  洋
           同          折  田  知  徳
           同          武  藤     淳

<P2>

           同          鈴  木  利  光
           同          石  井  米  吉

第1 請求の要旨(趣旨)に対する答弁
1 本案前の答弁
 (1)原告の本件訴えを却下する。
 (2)訴訟費用は原告の負担とする。

2 本案の答弁
 (1)原告の請求を棄却する。
 (2)訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。

第2 本案前の主張
  原告らは,平成28年7月15日に,本訴と同一の被告に対し,本訴と同一の請求の趣旨により訴訟を提起し,現在,御庁民事第2部合議係に係属している(平成28年(行ウ)第12号 住民訴訟によるバイオマス補助金取消し請求訴訟。以下「別件訴訟」という。)。
  したがって,本訴と別件訴訟とは,二重起訴禁止(民事訴訟法142条)に該当し,本訴は不適法却下されるべきである。

第3 請求の原因(訴状「第2」乃至「第6」)に対する認否
1 「第2 当事者」について
  認める。
2 「第3 住民監査請求」について
(1)(1)について

<P3>

  認める。
(2)(2)及び(3)について
  不知。
(2)(4)について
  監査結果(群監第202-86)が平成28年11月28日付であることは認め,その余は不知。
3 「第4 監査請求と監査結果に対する不服」
(1)(1)について
  認める。
(2)(2)について
  群馬県監査委員会による監査結果通知(甲34)の引用部分は認め,その余は否認ないし争う。
4 「第5 群馬県の損失」について
  否認する。
5 「第6 本件請求の要旨」について
(1)第1段落乃至第4段落について
  認める。
(2)第5段落について
  前橋バイオマス燃料が平成28年6月28日に渋川森林事務所長に対して本件補助金交付申請書を提出し,同所長が前橋バイオマス燃料に対して,同年7月4日,本件補助金交付決定を行ったことは認め,その余は否認ないし争う。
(3)第6段落について
  認める。
(4)第7段落及び第8段落について
  否認ないし争う。
(5)第9段落について
 ア(1)「補助事業の目的から逸脱していること」について

<P4>

(ア)第1段落及び第2段落について
   認める。
 (イ)第3段落について
   否認ないし争う。
 (ウ)第4段落について
   認める。
 (エ)第5段落及び第6段落について
   否認ないし争う。
 イ(2)「補助金交付を受ける資格がないこと」について
 (ア)第1段落について
   株式会社松井田バイオマスが平成26年10月27日に「株式会社前橋バイオマス」に商号を変更したこと,及び,同社がさらに平成27年9月25日に「前橋バイオマス燃料株式会社」に商号を変更したことは認め,株式会社関電工のグループ関係,及び,株式会社松井田バイオマスの資本関係は不知,その余は認否の必要性を認めない。
 (イ)第2段落について
   被告が平成27年度9月補正予算案として本補助金を計上したこと,同月14日から群馬県議会の定例会が開催されたこと,同月25剛こ県議会本会議で一般質問が行われたことは認め,その余は認否の必要性を認めない。
 (ウ)第3段落乃至第5段落について
   否認ないし争う。
ウ(3)「地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること」について
 (ア)第1段落乃至第4段落について
   不知。
   被告は,個別の説明会における具体的な様子について関知するものでは

<P5>

  ない。
 (イ)第5段落について
   否認ないし争う。
エ(4)「事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと」について
  認否の必要性を認めない。
  本訴訟は補助金交付決定の違法性を争うものであるところ,事業主体の出資者の社是や環境方針との不一致は,これ自体,同決定の違法性を根拠づけるものではないため,主張自体失当である。
オ(5)「安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること」について
 (ア)第1段落について
   関電工が事業主体であることは否認し,その余は不知。
   事業主体は前橋バイオマス燃料である。
   また,被告は,関電工による個別的発言について関知するものではない。
 (イ)第2段落について
   否認ないし争う。
 (ウ)第3段落乃至第5段落について
   原告らの本事業に対する評価や原告らの推測する事業主体らの主観については不知,その余は否認ないし争う。
 (エ)第6段落について
   否認ないし争う。
 (オ)第7段落について
   前橋バイオマス燃料及び同発電の恩恵を受ける地域住民は殆どいないに等しいことは否認ないし争い,その余は認める。
 (カ)第8段落について
   否認ないし争う。

<P6>

 カ(6)「事業主体の信頼性に瑕疵があること」
 (ア)第1段落について
   近隣住民への説明経過(甲8)の中に「反対意見は無し」と記載された箇所があることは認め,その余は不知。
 (イ)第2段落について
   否認ないし争う。
 (ウ)第3段落及び第4段落について
   『森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領』の引用部分については認め,その余は否認ないし争う。
 キ(7)「放射能汚染対策に重大な不備があること」
   否認ないし争う。
 ク(8)「本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること」について
   株式会社卜-センが事業主体であることは否認し,その余は認否の必要性を認めない。
 ケ(9)「環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること」
   否認ないし争う。
(6)第10段落(12頁)について
  否認ないし争う。
                      以 上
**********

■これでは訴状のどこに対してどのような答弁をしているのかわかりにくいので、訴状と対比させてみましょう。

*****訴状との対比*****
            訴    状

                        平成29年12月26日

前橋地方裁判所 御中

         原告 〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地
                  小  川     賢
                  電話090-5302-8312
         同  〒371-0244 群馬県前橋市鼻毛石町1991-42
                  羽  鳥  昌  行
                  電話090-1657-5358
         被告 〒371-8570 群馬県前橋市大手町一丁目1番1号
                  群馬県知事 大澤 正明

住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求事件

訴訟物の価格   160万円(算定不能)
貼用印紙額    13,000円

第1 請求の要旨
1. 被告群馬県知事大澤正明は、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として計上した「事業名 木質バイオマス発電燃料製造施設等整備」に係る補助金480,000,000円を支出してはならない。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

【被告の答弁】
1 本案前の答弁
 (1)原告の本件訴えを却下する。
 (2)訴訟費用は原告の負担とする。
2 本案の答弁
 (1)原告の請求を棄却する。
 (2)訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
【被告の本案前の主張】
  原告らは,平成28年7月15日に,本訴と同一の被告に対し,本訴と同一の請求の趣旨により訴訟を提起し,現在,御庁民事第2部合議係に係属している(平成28年(行ウ)第12号 住民訴訟によるバイオマス補助金取消し請求訴訟。以下「別件訴訟」という。)。
  したがって,本訴と別件訴訟とは,二重起訴禁止(民事訴訟法142条)に該当し,本訴は不適法却下されるべきである。

↑当会コメント:被告が自ら本案前の疑義として期間徒過を理由に裁判所に原告の提訴を無効だとねじ込んだくせに、よくもまあこんな主張ができるものだ。この件は3月10日の前橋地裁で民事第2部の裁判長から訴訟指揮が示されると考えられる。

第2 当事者
(1)原告らは群馬県の住民であり納税者である。
(2)被告は、群馬県知事であり、上記補助金を計上した者である。
(3)訴外 前橋バイオマス発電㈱、㈱前橋バイオマス燃料㈱、㈱トーセン、㈱関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合

【被告の答弁】認める。

第3 住民監査請求
(1)平成28年9月23日、原告らは群馬県監査委員に、地方自治法第242条第1項により、「事業名 木質バイオマス発電燃料製造施設等整備」(以下、「本事業」という。)にかかる補助金(以下、「本補助金」という。)について措置請求(甲第1~9及び21~23号証)を行った。

【被告の答弁】認める。

(2)平成28年10月20日、原告らは群馬県監査委員に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、意見の陳述と証拠の提出(甲第24・25号証)を行った。

【被告の答弁】不知。

(3)平成28年11月30日、原告らは、請求棄却の監査結果(平成28年11月28日付、群監第202-86号)(甲第34号証)を受け取ったが不服である。

【被告の答弁】
 監査結果(群監第202-86)が平成28年11月28日付であることは認め,その余は不知。


第4 監査請求と監査結果に対する不服
(1)原告らは、群馬県監査委員に対し、「知事大澤に対し、本事業は補助金交付事業として不適格であるため、群馬県知事においては、本事業に対する補助金の交付を直ちに取り下げることが必要である。」との趣旨で、監査請求を申し立てた。(甲第1号証)

【被告の答弁】認める。

(2)ところが、監査委員が判断した結果は「本件措置請求において、請求人は、本件補助金の交付を含む平成27年度9月補正予算案を決定した群馬県議会平成27年第3回前期定例会における議決の撤回を求めていると解され、議会の行為は、住民監査請求の対象外であり、本件補助金を平成27年度補正予算から支出することを決めた措置の撤回を求めるとする部分は、不適法である」(甲第34号証。上から22~26行目)と勝手に解釈を被告の都合のよいように曲げて解釈し、一方的に論を展開している。
   さらにこう続く。「請求人は、本件補助金交付申請に基づく本件補助金の交付を差止めるよう求めているものと解される」(甲第34号証。上から27~28行目)と。しかし原告は、補助金交付事業として不適格であるから交付をしないよう求めているだけである。議会の議決云々の小さな議論をしているのではない。
 また、監査委員はこうも主張している。「本件補助金の交付は、県産木材における放射性物質の汚染状況のほか、燃料チップ製造施設に搬入される木材や発電事業によって発生する焼却灰等の管理方法も含めて、県議会において適法な手続のもとに審議され、政策的な判断として可決されたものである以上、財務会計行為の是非を問う住民監査請求においては、所論のような理由によって本件交付決定を違法又は不当とすることはできない」(甲第34号証。上から7~10行目)と。しかし、殆ど何の議論も無いまま、何のチェックも無いまま、書類だけで会計行為が行われたのだから大問題である。ここでの政策的判断とは何なのか。大企業優位の、経済優先の、現政権の人権無視の判断としか言いようがなく、その議論からは住民や環境問題などは全て蚊帳の外とされてしまっている。
 さらに、「被告は、本件発電事業に係る環境アセスメント手続の不備を主張するが、本件発電事業は、本件補助金の補助対象事業である本件施設整備事業とは別法人が行う事業であって、本件発電事業の実施に係る行政手続は、本件補助金交付決定の要件とは関わりがないから、これによって本件交付決定を違法又は不当とすることはできない」(甲第34号証。上から14~17行目)と、しかし、ここではっきりさせておかなければならないことは、燃料事業と発電事業は同一場所での実施が計画されており一体化としてみなすことができることである。発電事業がなければ燃料工場は成り立たず、その逆もまたしかしである。事実、両法人とも関電工とトーセンが主な出資者となっている。したがって、発電事業に瑕疵があるとしたら交付は許されるものではない。

【被告の答弁】
 群馬県監査委員会による監査結果通知(甲34)の引用部分は認め,その余は否認ないし争う。


第5 群馬県の損失
(1)本事業にかかる本補助金480,000,000円は、公金で負担すべき理由がなく、群馬県の損失である。

【被告の答弁】否認する。

第6 本件請求の要旨
 甲第2号証によれば、群馬県は、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の本事業を後述する本補助金の対象事業として計上し、本事業は、同年9月14日から10月7日まで開催された群馬県議会第3回前期定例会に上程され承認された。
  事業名:(新規)木質バイオマス発電燃料製造施設等整備〔環境森林部林業振興課〕
  金 額:480,000千円
  説 明;・林業県ぐんまの実現に向け、未利用材の活用を推進するため、木質バイオマス発電燃料(チップ)の製造施設整備に対して補助。
・事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
・補 助 率:6/10以内
 即ち上記の4億8000万円は、本事業費8億円に対する本件補助金で、国は50%、県が10%の補助率とされている。
 本事業は、関電工が、親会社である東京電力を主体とする赤城山麓にある電力中央研究所の敷地内に建設を計画中の木質バイオマス発電施設に併設される、同発電施設専用のチップ破砕施設やチップ加工施設貯蔵庫の整備を行うもので、発電用に使われるチップの年間生産量は7万トン、原料である間伐材等の受入量は8万4100トンであり、補助対象施設設備は、燃料乾燥施設、作業用建物兼燃料貯蔵庫、チップ製造機等とされている。
 また、本事業主体は、㈱トーセン、㈱関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合の共同出資の「前橋バイオマス燃料㈱」とされている。

【被告の答弁】第1段落から第4段落は認める。

 しかし、本補助金が投入されることになる木質バイオマス発電用のチップ燃料の製造施設整備事業、および、同事業と同じ場所に立地される木質バイオマス発電施設は、未だに事業の内容について、不確定な情報が多く、事業者はもとより関連自治体など行政側においても、十分に説明責任が果たされているとは言えない。それにも関わらず、前橋バイオマス燃料株式会社(以下「前橋バイオマス燃料」という)は、平成28年6月28日、渋川森林事務所長に対して本件補助金交付申請書を提出し、同所長は、前橋バイオマス燃料に対して、同年7月4日、本件補助金交付決定を行った。(甲第25号証)

【被告の答弁】第5段落について
  前橋バイオマス燃料が平成28年6月28日に渋川森林事務所長に対して本件補助金交付申請書を提出し,同所長が前橋バイオマス燃料に対して,同年7月4日,本件補助金交付決定を行ったことは認め,その余は否認ないし争う。


 本件補助金交付決定に基いて、前橋バイオマス燃料は、同年8月5日、渋川森林事務所長に対して概算払請求書を提出し、2億2230万円の支払いを請求し、これを受け、同所長は、同月16日、補助金概算払いとして、2億2230万円を支出したことは別訴(御庁事件番号「平成28年(行ウ)第12号」、乙第5号証)で明らかとなっている。同様に、前橋バイオマス燃料は、同月19日、1620万円の概算払い請求を行い(御庁事件番号「平成28年(行ウ)第12号」、乙第6号証)、渋川森林事務所長は、同月26日に、1620万円を概算払いとして支出した(御庁事件番号「平成28年(行ウ)第12号、乙第7号証)。以上のとおり、渋川森林事務所長は、同日までに、本件補助金交付決定額4億8000万円のうち、概算払いにより、合計2億3850万円を支出している。

【被告の答弁】第6段落について認める。

 本事業により燃料の供給を受ける関電工とトーセンが出資する前橋バイオマス発電㈱による木質バイオマス燃焼による発電事業では、放射能汚染された燃料を燃やすことにより、高濃度の放射性物資が濃縮され、それらが排ガスとして、あるいは燃焼灰として、さらには排水として、長年にわたり半恒久的な排出源となることから、その影響は地元及び周辺住民のみならずひろく群馬県に住む多くの県民に及ぶことになる。
 そのような危険性が指摘される中、住民らの不安要素が払しょくされないまま、木質バイオマス発電事業が進められているが、次に示す問題点により、本事業は補助金交付事業として不適格であるため、被告群馬県知事においては、本事業に対する補助金の交付を直ちに取り下げることが必要である。

【被告の答弁】第7段落及び第8段落について
  否認ないし争う。


 次にその理由を述べる。
(1)補助事業の目的から逸脱していること
 本事業は、次の補助事業によるものとされている。
群馬県は、前橋バイオマス燃料に森林整備加速化・林業再生費補助金及び森林整備加速化・林業再生整備費補助金により森林整備加速化・林業再生基金を造成し、4億8000万円を交付を決定し、一部開始しているが、『森林整備加速化・林業再生事業実施要綱』の趣旨によると、森林・林業・木材産業を取り巻く喫緊の課題の解決に向けた地域の創意工夫に基づく総合的な取組を支援するため、森林整備加速化・林業再生事業費補助金及び森林整備加速化・林業再生整備費補助金を都道府県に交付して、森林整備加速化・林業再生基金(以下「基金」という。)を造成し、この基金を財源として事業実施主体(以下「事業主体」という。)が行う事業(以下「基金事業」という。)を実施することにより、東日本大震災からの復興を着実に推進するとともに、森林の多面的機能を発揮しつつ林業の成長産業化を実現することとする。と明記されており、この森林整備加速化・林業再生事業の目的が、東日本大震災からの復興を着実な推進であり、基金事業により復興の推進が図られなければ、補助金の目的に反しており、復興推進に寄与しない事業には、交付してはならない。

【被告の答弁】第1段落及び第2段落について認める。

<森林整備加速化・林業再生総合対策事業>

【被告の答弁】第3段落について否認ないし争う。
↑当会注:段落の数え方がずさん。どこが第3段落なのか?????

 この補助事業は、「森林整備加速化・林業再生計画」と呼ばれており、実施要綱別記1の第1に定める森林整備加速化・林業再生計画(以下「再生計画」という。)は、都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現するために、森林整備加速化・林業再生交付金(以下「交付金」という。)を活用して行う事業(以下「交付金事業」という。)の実施により達成すべき目標及びその達成状況を客観的に評価できる内容並びにそれを実現するために必要となる内容をとりまとめた計画とする、とされている。

【被告の答弁】第4段落について認める。

 本事業は、放射能汚染のリスクがない地域においては有効であるが、東京電力福島第一原発事故により大量に外部に放出された放射性物質が風にのって、隣接の北関東の山間部に降り注いだことによる放射能汚染の被害を受けた群馬県や栃木県、茨城県等においては、リスクの増大に結びつく結果をもたらすことになる。
 よって、放射能の除染対策に手を付けられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは、法令違反行為であり、森林整備や林業再生という次元よりさらに根本的な住民の生命や財産の安全のほうが重要であることから、補助対象事業には当たらないことは明らかである。

【被告の答弁】第5段落及び第6段落について
 否認ないし争う。


(2)補助金交付を受ける資格がないこと
 関電工は、福島第一原発事故の原因者である東京電力のグループ会社であり、本来、放射能汚染に苦しむ住民に対して、謝罪すべき立場にあるはずである。また、甲第3号証によれば、株式会社トーセンが平成26年2月28日に設立した㈱松井田バイオマスという法人が平成26年10月30日に看板を架け替えただけの㈱前橋バイオマスに対して、甲第4号証によれば、関電工は、本件事業で補助金交付に関して群馬県議会の平成27年第3回定例会議の最中の同年9月28日に、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合とともに、104株の出資参加をして、併せて、関電工の戦略事業本部開発事業部長の石塚浩が取締役として役員に就任している。

【被告の答弁】第1段落について
 株式会社松井田バイオマスが平成26年10月27日に「株式会社前橋バイオマス」に商号を変更したこと,及び,同社がさらに平成27年9月25日に「前橋バイオマス燃料株式会社」に商号を変更したことは認め,株式会社関電工のグループ関係,及び,株式会社松井田バイオマスの資本関係は不知,その余は認否の必要性を認めない。


 即ち、知事大澤が、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業として計上し、同年9月14日から開始された群馬県議会の定例会期間中、9月25日(金)の県議会本会議、一般質問までは補助金交付を受けるための事業主体ではなかった。

【被告の答弁】第2段落について
 被告が平成27年度9月補正予算案として本補助金を計上したこと,同月14日から群馬県議会の定例会が開催されたこと,同月25剛こ県議会本会議で一般質問が行われたことは認め,その余は認否の必要性を認めない。


 また、甲第4号証によれば、㈱前橋バイオマスの定款には「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と記されており、本来、㈱トーセンは、廃棄物中間処理の許可が必要な廃材や木くずなどを間伐材に紛れ込ませて発電燃料として受け入れることを想定していた。そして、平成27年9月28日に関電工らが出資参加した際、「間伐材等を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と定款を変更したが、依然として「間伐材“等”」というふうに表現しており、放射能汚染された木くずや廃材などを間伐材に紛れ込ませようとする意図が強く感じられる。
 さらに甲第6号証及び甲第7号証によれば、平成27年6月22日に関電工とトーセンによって設立された㈱前橋バイオマス発電では、定款で「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と明記されており、㈱前橋バイオマスの定款のコピペであることがわかる。このことは、㈱前橋バイオマス燃料の現在の定款に記されている「間伐材等」の“等”の意味が、廃材も含む可能性を示唆しており、極めて危険である。
 このような行き当たりばったりで未成熟な事業にたいして、補助金の交付をすることは、「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを要請している地方自治法第2条第14項及び「経費は、その目的を達するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」 とする地方財政法第4条第1項の各規定に違反するものである。

【被告の答弁】第3段落乃至第5段落について
 否認ないし争う。


(3)地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること
 甲第10号証に示すように、本事業については、平成27年5月の連休中に、事業計画予定地の電力中央研究所の敷地に隣接している赤城ビュータウンの住民らが、関電工が施工主として密かに掘削作業をしていた騒音に驚き、原因を調べてはじめて本事業の存在が発覚した。その後も、関電工は、本事業に関して、近隣住民に対する個別説明方式にこだわり、現在でも、「赤城ビュータウン以外の住民は原則として事業説明の対象としない」とする立場を取り続けている。
 関電工による平成27年10月、12月、平成28年3月に開かれた地元住民説明会では、口コミで本事業の存在を知った赤城ビュータウン以外の参加住民らが、「放射能汚染された木質資源を燃やすという違法行為による広範囲の放射能汚染の拡散のリスク」をアピールして、県内に広く事業の周知徹底を要請する声を上げても、本事業主体のリーダーである関電工は「我関せず」という態度をとり続けている。
 こうした関電工による本事業に関する極めて消極的な説明責任を見るにつけ、地元及び周辺住民らは関電工など事業主体に対して、一層不信感を募らせざるを得なくなっている。
 さらに、同じく本事業の事業主体である㈱トーセンに至っては、住民らの強い出席要請にもかかわらず平成27年10月3日の第1回地元説明会や平成28年3月27日開催の第3回地元説明会には全く顔を出さず、唯一平成27年12月20日開催の第2回地元説明会に出席したが、本事業について一言も語ることはしなかった。このため、監査請求人らをふくむ住民らは、肝心の本事業に関わる木質燃料チップ工場の施設の内容についての説明を事業主体から受けられずにいる。

【被告の答弁】第1段落乃至第4段落について
 不知。
 被告は,個別の説明会における具体的な様子について関知するものではない。


 このような事業内容の不透明性と、情報開示への消極性は、本事業の目的である「都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現する」こととは、相容れない。したがって、そのような社会性に欠ける企業が進める本事業には、我々の血税である補助金という公金を支出することは絶対に許されない。

【被告の答弁】第5段落について
 否認ないし争う。


(4)事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと
 関電工は事あるごとに、環境への基本姿勢を強調しているが、これを遵守するためには、本事業はまったく馴染まない。だからただちに本事業を白紙撤回しなければならない。
 参考までに、関電工の環境方針を以下に示す。
 【関電工環境基本方針】
理念
株式会社関電工は、循環型経済社会の構成員として、豊かな人間環境づくりに取り組み、絶えざる自己革新によって、地球環境の保全活動に貢献します。 
行動方針
地球環境の保全活動を、経営の重要課題の一つとして位置づけ、環境マネジメントシステムの改善を図るとともに継続的向上に努めます。
省資源、省エネルギー、資源リサイクル、汚染防止を、目指した活動を展開するとともに、廃棄物の減量化を推進します。
法規制及び協定書を遵守するとともに、環境に関する自主基準を制定し、環境保全に取り組みます。
社員への環境教育を徹底し、環境保全意識の向上に努めます。
地域社会との協調連帯を図り、社会との調和に努めます。
 関電工の環境方針は絵空事であり、木質バイオマス燃料や発電の事業による環境破壊は免れないであろう。例えば、放射能に汚染されたチップは、トーセンが新開発をしたという世界初を標榜する巨大な木質チップ脱水用のプレス機(このような実績もない製品に補助金が支給されること自体、通常ではありえない)で脱水される計画(だが、その廃液は、放射能除去を一切せず、地下に垂れ流しされる計画となっている。推定するに、年間1万トン程度は地下に捨てられる。排ガスについては、バグフィルターで放射性物質は、多少気休め程度の除去は期待できるかもしれない。ちなみに、住民からバグフィルターに加えてさらに電気集塵機や、排ガス中の残留セシウムの除去に有効なスクラバーとよばれるガス水洗装置の増設要請が説明会で提案されたが関電工はこれも一顧だに検討せず、拒否していた。しかし、廃液については、全く意識が無く、第二の豊洲になることは間違いない。それは、放射能を土壌が溜め込み、あっという間に、その土壌は、特定廃棄物(8000ベクレル/kg以上)になってしまうからである。また、廃液の放射能除去は、上記のスクラバー装置のほか、ゼオライトやRO膜が有効とされている。だが、関電工はこうした放射能汚染防止技術の採用について、検討さえしようとしなかった。

【被告の答弁】
 認否の必要性を認めない。
 本訴訟は補助金交付決定の違法性を争うものであるところ,事業主体の出資者の社是や環境方針との不一致は,これ自体,同決定の違法性を根拠づけるものではないため,主張自体失当である。


(5)安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること
 事業主体である関電工は、当初のうち群馬県内の間伐材を100%使用すると言いながら、まもなく、万が一足りなければ、近県の間伐材も入れることを可能性として仄めかす発言に転じている。このように、言っていることが最初に比べ、あれもこれも変わること自体、信用できない。

【被告の答弁】第1段落について
 関電工が事業主体であることは否認し,その余は不知。
 事業主体は前橋バイオマス燃料である。
 また,被告は,関電工による個別的発言について関知するものではない。

 本事業により発電用に使われるチップの年間生産量7万トン、原料である間伐材等の受入量8万4100トンの安定した確保が、事業実現の基本の一つであるが、群馬県内における森林バイオマスの賦存量の実態をみれば、年間間伐材等の受入量8万4100トンもの確保は到底現実的ではない。

【被告の答弁】第2段落について
 否認ないし争う。


 このため、事業主体は上述のとおり、群馬県以外の周辺の栃木県、長野県、埼玉県等から必要に応じて間伐材等を調達する必要があると認識しているのである。そうなると、福島県の製材所で保管されていた大量の放射能汚染木くず・バーク(樹皮)チップなどの特定廃棄物相当の産廃が、東電から依頼を受けた元官僚で自称コンサルタントの男により、福島県外に持ち出され、滋賀県の琵琶湖西岸に不法投棄された放射能汚染木くず・バークチップが、群馬県民のしらないうちに前橋市内の産廃中間処理業者の破砕施設に持ち込まれ、他の廃材等と眞挫合わされて、オガクズとして群馬県内外に販売された事件と同様な手口で、群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる。
 とりわけ、関電工は、絶対安全だとしていた福島第1原発の重大事故の責任を取らないまま、多額の税金を政府につぎ込ませても平然としている東京電力のグループ会社である。本事業が、東電の思惑で立案されたことは、こうした背景から容易に想像できる。
 もし、本事業に補助金が交付されると、東電の除染責任を我々の税金で尻拭いされることになる。東電の息のかかった関電工は、本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたないとしているが、そのような不採算事業を強引に推進する背景には、東電の思惑が見え隠れしているのである。つまり、発電という名の「壮大な除染事業」である。

【被告の答弁】第3段落乃至第5段落について
 原告らの本事業に対する評価や原告らの推測する事業主体らの主観については不知,その余は否認ないし争う


 群馬県は、群馬県森林・林業基本計画を中間年である平成27年3月に改定し、初めて皆伐という文言を明示し、その規模を、東京ドーム64個分の面積の森林の皆伐計画とした。つまり、燃やすことありきの皆伐計画であり、明らかに前橋バイオマス燃料及び発電のためだけの森林伐採である。このことを見ても、今回の事業で被告が事業のために用意しようとしている間伐材は森林を破壊しない限り、確保できないことを物語っている。

【被告の答弁】第6段落について
 否認ないし争う。


 本来の木質バイオマス発電は、間伐材のカスケード利用のはずである。つまり、木材から得られる産物はきわめて多様であり、見栄えのする建築部材や家具材を筆頭に、見えないところに使われる各種の構造用材があり、紙パルプやボード類の製造に使われる低質材、そして最後に燃料用の木質バイオマスがあるべきである。木材の使い方として理想的なのは、良いものから順々に取っていって、最後まで余すことなく使い尽すことが本来の形である。こうした使い方が木材の「カスケード利用」であり、このことにより、本事業に関係する全ての人が、また地域住民までがその恩恵を受けられることになる。木質バイオマス発電事業の理念は、地域住民にとって裨益をもたらすものでなければならないはずである。しかし、前橋バイオマス燃料や発電は、燃やしてしまうだけの間伐なので、その恩恵を受ける地域住民は殆どいないに等しい。

【被告の答弁】第7段落について
 前橋バイオマス燃料及び同発電の恩恵を受ける地域住民は殆どいないに等しいことは否認ないし争い,その余は認める。


 群馬県の誇る安心・安全な生活環境、営農環境、自然環境を厳守し、次世代に引き継ぐためにも本事業を助長する補助金の交付は、県民への裏切り行為であり、直ちに停止しならない。

【被告の答弁】第8段落について
 否認ないし争う。


(6)事業主体の信頼性に瑕疵があること
 群馬県に提出された事業計画を情報公開で入手したが、近隣住民への説明経過によると、甲第8号証により、「反対者ゼロ」などと事実と全くかけ離れた文言が続き、虚偽の記載をし、不正に補助金の支給を受けようとしている。

【被告の答弁】第1段落について
 近隣住民への説明経過(甲8)の中に「反対意見は無し」と記載された箇所があることは認め,その余は不知。


 また、同資料によると、「間伐材を乾燥させるのに9ヶ月を要するので、補助金交付を早めることが必要だ」などとする虚偽の記載がある。実際には、本事業における乾燥期間として2~3ヶ月程度が想定されているのである。しかも、計画には、自然乾燥ではなく、巨大なプレス機による強制乾燥方式で、これを使用すれば乾燥時間は殆どいらなくなるからである。仮に、このことについて群馬県が知っていたとすると、明らかに官業癒着のデキレースにもとづき、被告の代表者である大澤知事は査定したことになる。他方、被告がこのことについて知らなかったとするならば、関電工やトーセンら事業者による詐欺に近い虚偽である。

【被告の答弁】第2段落について
 否認ないし争う。


 さらに、『森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領』には、第2の事業計画等の中の6で、都道府県知事は、全体事業計画及び年度事業計画を作成するに当たっては森林・林業基本法(昭和39年法律第161号)第11条第1項の規定に基づく森林・林業基本計画、森林法(昭和26年法律第249号)第4条に定める全国森林計画、同法第4条第5項に定める森林整備保全事業計画、同法第5条に定める地域森林計画、同法第10条の5に定める関係市町村の市町村森林整備計画、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(昭和54年法律第51号)第2条の2第2項の規定に基づく林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本構想、木材の安定供給の確保に関する特別措置法(平成18年法律第47号)第4条第3項の規定に基づく木材安定供給確保事業に関する計画、林業労働力の確保の促進に関する法律(平成8年法律第45号)第4条第1項の規定に基づく林業労働力の確保の促進に関する基本計画、関係する流域において策定されている流域林業活性化実施計画及び地域振興に関する基本的な計画又は方針との調和を図るとともに、関係行政機関、民間非営利団体及び地域住民等との必要な調整を図るものとする。と明記されているが、群馬県知事は全くその責任を果たしておらず、実施してはならないのではないか。早急に調査し、指導すべきである。
 また、第5の基金事業の実施の中で、「3 都道府県知事等及び事業主体は、地域の実情に鑑み、過剰と見られるような施設等の整備を排除する等、徹底した事業費の低減に努めるものとする」と明記されているが、これも本事業の実態を反映していない。例えば、関電工やトーセンらが出資する前橋バイオマス燃料は「世界初」を標榜する木質チップの乾燥期間短縮方法の導入を計画している。これはチップの乾燥のためにトーセンが世界に先駆けて開発したという大型プレス機による脱水設備であるが、この設備調達のための補助金が交付されるというのである。再生エネルギーの一環として位置づけられるバイオマス発電においては、できるかぎり自然エネルギーによるシステムの構築が優先されなければならない。そのため、世界的にみてもバイオマス燃料は自然乾燥による乾燥方式となっている。油圧プレスの稼働のために使用されるエネルギーとして、隣接するバイオマス発電施設で作られる電気の一部が無駄に費消されることは、バイオマス発電本来の理念から逸脱するものである。しかも、木質チップ中の水分を強制的に減少させる脱水設備はわが国ではまだ実績がない。こうした実績のない新規開発製品へ高額な補助金を野放図に交付することは地方自治法に定めた最小の費用で最大の効果を定めたルールに違反しており、脱水設備への交付は、即刻中止すべきである。

【被告の答弁】
第3段落及び第4段落について
 『森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領』の引用部分については認め,その余は否認ないし争う。


(7)放射能汚染対策に重大な不備があること
 放射能対策が全く盛り込まれていないことは明らかである。放射能汚染物質対策の不備による放射性物質の流出が懸念される理由と、関連する施設の場所・工程を次の①~④に示す。
 ①事業主体の関電工は、地元説明会での配布資料(甲第9号証)では「間伐等を受入する際、トラックスケールで検査する」としているが、メーカーは技術面から「管理基準値(40ベクレル/㎏)は、到底できない」と発言している。その時のやり取りを次に示す。
(質問)走行しながらの測定ということで、トラック全体の総ベクレルが370kBqということではなく、ある一定の塊の線源が370kBq以上ないと測定不可能という解釈でよろしいでしょうか。
(回答)その通りです。【回答者:株式会社テック・デル高畑】
また、関電工自身も、3月26日の話し合いや3月27日の説明会の場で、住民からの質問に対して「できない」と答えている。したがって、放射能のかなり高い間伐材が持ち込まれても、その実態について全く把握できないということになり、それによる危害は甚大である。
つまり、その約1万分の一である40ベクレル/㎏など測定できるはずもない。
 ②貯木スペースは間伐材の乾燥のため野天に保管されるが、風等により放射性物質の敷地外への拡散防止策が講じられていない。また、雨等による放射性物質の排水口や敷地外への流出対策が講じられていない。
 ③チップ加工時の放射性物質の空気中への拡散防止策が講じられていない。
 ④チップの脱水時の排液を、放射性物質を未処理のまま地下浸透させてしまうことになり、関東平野の地下水資源に対する重大な脅威となる。
 以上のことより、近隣住民の生活保全環境はもとより、田畑への営農環境、河川への自然環境への放射性物質の流入による重大な環境破壊の危険性はかなりの確率で高くなることは必至である。

【被告の答弁】否認ないし争う。

(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること
 事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、今だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の静観環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。

 これまで関係機関に再三火事の対策を訴えてきたが、ついに、群馬県において、平成28年12月14日の午前6時に近隣住民が出火していることを発見し、119番通報し、事務所と作業棟を全焼させてしまった(甲第35号証)。

【被告の答弁】
 株式会社卜-センが事業主体であることは否認し,その余は認否の必要性を認めない。


(9)環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること
 本事業では、年間8万トンの木質チップを発電用燃料として製造する計画だが、それを全量発電施設で使用した場合の排ガス量について、きちんとした計算手順と結果について、被告群馬県からも事業主体からも全く説明がなされていない。被告群馬県は当該木質バイオマス発電所の制度設計前の平成27年3月に総排気量が4万ⅿ³/hr以上あるかどうかの詳細審査を実施せず関電工に環境アセスメント対象外として事業者に通告しており、本事業は法令違反であることが明白である。その癒着の実態と根拠を原告らの見解とともに、以下に示す。

平成27年1月 群馬県と環境アセスメントの実施の必要性について協議を開始
 ⇒【原告らの見解】群馬県環境影響評価条例によれば協議の必要性はないのに、なぜ関電工は協議を求め、群馬県はそれに応じたのか?群馬県は、終始一貫して、環境アセスメントの実施の判断は、事業者に委ねられていると言っているが、だとしたら、なぜ、群馬県環境影響評価条例の運用を変更する必要があったのだろうか?
 平成27年3月 群馬県より環境アセスメント実施は不要との回答あり
  ⇒【原告らの見解】なぜ、結論が出るのに2ヶ月かかったのか。何が協議されたのか。また、実施前に、関電工だけが運用の変更を知らされるのは、違反行為である
平成27年3月31日決裁 群馬県環境影響評価条例の運用を変更し、木質バイオマスの排ガス量の計算を2割減とした(実施は同年4月1日)。
⇒【原告らの見解】しかし、本当に起案及び決裁日時に相違はないのか極めて疑問である。なぜならその後、次の経緯をたどっているからである。
 平成28年4月22日 原告小川賢が被告に対して、被告の主張する「環境アセスメントをしなくてもよい」という根拠を確かめるべく情報公開を求める
同年5月8日 被告から原告小川に不存在処分決定通知が発出される
同年9月13日 原告羽鳥昌行がこの件で別途、あらためて情報公開を求める
同年10月4日 被告から原告羽鳥に情報開示決定通知が発出される
 ⇒【原告らの見解】なぜ不存在だった書類が公開されたのか?・・・それは、同年5月8日以降、平成27年3月30日起案、同月31日決裁の書類をでっち上げた可能性が高いからだ。したがって、平成27年3月に関電工に対し、環境アセスメントの実施をしなくても良いという根拠は何もないということになる。
同年10月14日 原告羽鳥が被告に対して、同10月4日に情報公開された上記情報の電子文書に係る情報公開を求める
同年10月28日 被告から原告羽鳥に情報開示決定通知が発出される
 ⇒【原告らの見解】同年10月4日に公開された文書と、今回公開された文書は明らかに違う文書であり、同じ文書が2通あること自体が有り得ないことであり、しかも、作成日や印刷日が人為的に偽造されている。なぜ、被告群馬県は、ここまでしなければならないのか、それは、作成年月日を隠すためであり、関電工への環境アセスメントの実施をしなくてもよいという根拠を隠すためだけとしか想像できない。
なお、上記の一連の原告らによる情報開示請求に対して被告の不誠実な対応については、原告らは別途法的対応措置をとることにしている。

【被告の答弁】否認ないし争う。
(6)第10段落(12頁)について
  否認ないし争う。


 以上のさまざまな観点から、現在のところ森林内に隔離されている放射能汚染物質だが、本事業が実施されれば、これらの危険物質が人家の近くに大量に持ち込まれることになる。しかも焼却をすることにより、さらに放射線レベルが高くなり、一層危険度が増すことになる。この結果、放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民がひろく晒されるのである。このため、憲法に定める多数の住民の生存権が脅かされているのであるから、被告知事大澤には、本事業に対する補助金の交付による財政支出を停止する措置をとる義務がある。

【被告の答弁】第10段落(12頁)について
 否認ないし争う。


              証 拠 方 法

甲第1号証 群馬県職員措置請求書
甲第2号証 (事実証明書1)平成27年度9月補正予算検討案(知事査定)
甲第3号証 (事実証明書2)㈱前橋バイオマスの履歴事項全部証明書(平成27年9月27日以前)
甲第4号証 (事実証明書3)㈱前橋バイオマスの定款(平成27年9月27日以前)
甲第5号証 (事実証明書4)㈱前橋バイオマス燃料の履歴全部証明書(平成27年9月28日以降)
甲第6号証 (事実証明書5)㈱前橋バイオマス発電の履歴全部証明書
甲第7号証 (事実証明書6)前橋バイオマス発電の定款
甲第8号証 (事実証明書7)近隣住民への説明経過(林業振興課 開示資料)
甲第9号証 (事実証明書8)地元説明会で関電工が配布した説明資料の一部「環境対策(放射能測定)」
甲第10号証 (事実証明書9)その他、事業主体の説明不足やルール違反の経緯等を示す証拠
甲第11号証 (事実証明書21)渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について」
甲第12号証 (事実証明書22)渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施設計書について」
甲第13号証 (事実証明書23)渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材 産業再生緊急対策事業補助金の内示について」
甲第14号証 群馬県職員措置請求書の補正書
甲第15号証 (事実証明書24)平成27年後(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付申請書
甲第16号証 (事実証明書25)平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の交付決定について(通知)
甲第17号証 陳述用原稿及び追加の証拠
甲第18号証 (事実証明書10)甲状腺がん異常多発津田論文と国際環境疫学会の書簡の意義
甲第19号証 (事実証明書11)明白な甲状腺がん異常多発と健康障害の進行
甲第20号証 (事実証明書12)小規模な木質バイオマス発電の推進について
甲第21号証 (事実証明書13)群馬県森林・林業基本計画
甲第22号証 (事実証明書14)森林整備加速化・林業再生事業費補助金等交付要綱
甲第23号証 (事実証明書15)森林整備加速化・林業再生事業実施要項
甲第24号証 (事実証明書16)森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領
甲第25号証 (事実証明書17)前橋木質バイオマス発電事業計画について
甲第26号証 (事実証明書18)平成27年12月の関電工による説明会における説明用の提示資料
甲第27号証 (事実証明書19)群馬県とのメールのやりとりの綴り
甲第28号証 (事実証明書20)平成28年3月31日の環境政策課とのヒヤリングメモ
甲第29号証 (事実証明書26)平成27年3月30日付起案、翌31日飯塚幸生課長決裁の環境政策課内部文書
甲第30号証 (事実証明書27)平成28年5月22日付の公文書不存在決定通知書0
甲第31号証 (事実証明書28)林野庁・再生可能エネルギーを活用した地域活性化の手引き
甲第32号証 (事実証明書29)第3回信州しおじり木質バイオマス推進協議会・発電部会 調査結果報告(抜粋)
甲第33号証 (事実証明書30)関電工の平成28年3月期決算短信(抜粋)
甲第34号証 監査結果通知
甲第35号証 群馬県藤岡市にあるトーセンの木材工場で平成28年12月14日午前6時に発生した全焼火災を報じた上毛新聞記事
**********

■上記のとおり、群馬県は、我々県民の安全、安心な生活環境と暮らしを守る義務を完全に放棄し、群馬県のシンボルでもある赤城山のふもとに、さらなる放射能汚染施設を当選グループに作らせて、その安全担保責任を放棄していることが分かります。

 こうして、ようやく出直し裁判の第1回口頭弁論が2017年3月15日(水)午前10時30分に開催されることになりました。地裁が配慮してくれたように、前橋バイオマス発電施設を巡る群馬県環境影響評価条例に定めた排ガス量がこの東電グループの亡国事業にルール通りに適用されているかどうかを確認するための公文書が不存在とされた事件(平成28年(ワ)第24号 公文書不存在決定処分取消請求事件)とちょうど同じ日時のタイミングです。

 ぜひ県民の皆様には都合をつけて、来週3月15日(金)午前10時30分の10分ほど前に、前橋地裁本館2階の21号法廷の傍聴席においでいただきたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告とお願い】

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大同有毒スラグ問題を斬る!・・・上武道路に不法投棄された不純物について群馬県議会での報告書を入手③

2017-03-05 23:32:00 | スラグ不法投棄問題
“いかがわしい建設資材が納入された現場をリストアップせよ!”
2017年3月19日に全線開通することになると国交省が発表した上武道路は、さながら「有毒スラグ街道」の異名をほしいままにしています。この上武道路に2016年10月スラグが不法投棄された事件について、群馬県議会で調査結果の報告が行われたようです。この報告書を前回、前々回と見てまいりましたが、立入り調査の結果(株)佐藤建設工業の関係する土地から有害スラグがゴロゴロしているのを確認されているのに、群馬県はほとんど責任追及していません。有害スラグが残っていることは、その場所から工事現場に有害スラグが建設資材に混合され、工事現場へと不法・不正に投棄されている証です。群馬県議会議員の皆様は疑問を抱いたりしないのでしょうか?


**********PDF ⇒ tcnhs.pdf
                   平成28年12月7日
                   環境森林部廃棄物・リサイクル課
                   産業廃棄物係

  国道17号上武道路工事現場から鉄鋼スラグに類似する
  不純物が発見された件に関する調査結果について

 平成28年10月20日付け国土交通省関東地方整備局高崎河川工事事務所は、国道17号上武道路の工事現場で鉄鋼スラグに類似する不純物約10個が発見されたことを発表しました。これを受けて、当該工事の建設材料の納入業者等に対し廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づく調査を行ってきたところ、その結果は次のとおりです。

1.調査経過等
①立入検査(廃棄物処理法第19条第1項)
・平成28年10月21日(株)佐藤建設工業
②報告の聴取(廃棄物処理法第18条第1項)
・平成28年11月28日(株)佐藤建設工業
           大同特殊鋼(株)
2.調査結果
①(株)佐藤建設工業は、平成22年頃、同社の通称「村上採石場」(渋川市村上地内)において、場内作業道路のぬかるみ補修のために仮設道路材として鉄鋼スラグを使用した。採石場内での鉄鋼スラグの使用状況及び天然砕石等の採掘・積込場所の調査結果から、仮設道路材として使用された鉄鋼スラグが場内で掘削した天然砕石(山砕300-0)に混入し、出荷された可能性が高い。
 なお、天然砕石(山砕300-0)の出荷先については、平成26年2月から平成28年10月までの間、上武道路工事のみで、それ以外には出荷されていない。
②(株)佐藤建設工業が出荷品を一時保管していた通称「石合資材置場」(渋川市小野子地内)入口付近に鉄鋼スラグが散在していたことから、県職員立会いの下、同資材置場に保管中の砕石を撤去させ元の地盤まで掘削したが、鉄鋼スラグは確認できなかった。このため、同所で出荷品に鉄鋼スラグが混入した可能性は低い。
③ 同様に、(株)佐藤建設工業が出荷品を一時保管していた通称「中央橋資材置場」(東吾妻町大字箱島地内)を調査したところ、敷地外周の側溝外側等で少量の鉄鋼スラグが確認されたが、同所における出荷品の一時保管の状況から、同所で出荷品に鉄鋼スラグが混入した可能性は低い。
④(株)佐藤建設工業は、平成24年12月、本社駐車場(渋川市小野子地内)において敷き砂利として鉄鋼スラグを使用したが、同所における出荷品の積卸し作業はなく、同所において鉄鋼スラグが混入した可能性は低い。
⑤(株)佐藤建設工業又は同社の役員等が所有又は使用権原を有するその他の土地についても調査したが、他に鉄鋼スラグは確認できなかった。
3.事業者に対する指導
(1)(株)佐藤建設工業に対する指示
① 撤去した鉄鋼スラグを含む土砂・砕石(約304㎥)について適正に処分し、その結果を報告すること。
② 村上採石場の鉄鋼スラグ使用箇所付近からは、県が指示するまで採石等の出荷をしないこと。
③(株)佐藤建設工業が使用し、又は使用していた土地の総点検を行い、未確認の鉄鋼スラグの使用箇所又は未使用の鉄鋼スラグの保管等がないか確認し、その結果を報告すること。
(2)大同特殊鋼(株)に対する指示
①(株)佐藤建設工業が鉄鋼スラグを使用した箇所の環境調査を実施し、その結果を報告すること。
4.使用箇所の解明及び環境への影響について
① 鉄鋼スラグが発見された上武道路の工事箇所が前橋市内であったことから、廃棄物処理法及び土壌汚染対策法を所管する前橋市に対し、県から調査結果等の情報を提供した。
② 今後とも鉄鋼スラグの使用箇所の解明を進める、あらたに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
③ 判明した使用箇所はすべて県がリスト化し、今後も継続して、地下水等の常時監視のなかで、環境への影響について監視を行っていく。
**********

 前回、前々回の当会の報告ブログは次の通りです。
〇2017年2月5日:大同有毒スラグ問題を斬る!・・・上武道路に不法投棄された不純物について群馬県議会での報告書を入手①
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2231.html#readmore
〇2017年2月12日:大同有毒スラグ問題を斬る!・・・上武道路に不法投棄された不純物について群馬県議会での報告書を入手②
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2234.html#readmore

■引き続き調査結果③も見ていきましょう。

「③ 同様に、(株)佐藤建設工業が出荷品を一時保管していた通称「中央橋資材置場」(東吾妻町大字箱島地内)を調査したところ、敷地外周の側溝外側等で少量の鉄鋼スラグが確認されたが、同所における出荷品の一時保管の状況から、同所で出荷品に鉄鋼スラグが混入した可能性は低い」

と群馬県議会に報告されています。


当会に寄せられた昨年11月3日文化の日の元中央橋混合所の怪しい動き。「同所における出荷品の一時保管の状況から、同所で出荷品に鉄鋼スラグが混入した可能性は低い。」となぜ言い切れるのでしょうか?二台もの建設重機を使用して作業されては、「可能性は低い」と言われても、怪しいな?と疑ってしまいます。


不法投棄特別調査チーム「リットン調査団」が2016年3月に通称「中央橋資材置場」を調査した時の様子。


入り口のバリケード付近を見ると、サビ浮き・角張った有害スラグがゴロゴロしていた。 あれ~!そういえば、群馬県廃棄物リサイクル課はこの東吾妻町箱島の資材置き場の有害スラグを適正に処分するよう指示していましたよね。優秀な廃棄物リサイクル課が全量処分を指示したのですから、入り口に落ちているハズはありませんよね。なんで再びこの地にスラグが落ちているのでしょうか?

 詳しくは次のブログをご覧ください。↓↓
〇2016年5月24日:大同有毒スラグ?を斬る!・・・シリーズ赤い水⑨「有害スラグ混合所」
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2010.html#readmore

■なぜ通称「中央橋資材置場」にスラグがゴロゴロしているのでしょうか?この中央橋資材置場に対し、過去に群馬県廃棄物リサイクル課は指示書を発出しています。


2014年(平成26)年 4月22日群馬県廃棄物・リサイクル課が出した廃棄物に関する指示書です。

 この指示書の内容は次のとおりです。

(1) 有害スラグを「鉱さい」という分類の産業廃棄物と認定していること。
(2)「鉱さい」であるスラグの再生処理及びその運搬を中止すること、
(3)スラグ混合路盤材など天然石にスラグが混入していることが確認された資材について、その出荷を中止し、その全量を適正に処理すること。
(4)「鉱さい」であるスラグの再生処理を行っていた「中央橋混合場」について、生活環境の保全上支障のおそれの有無を確認するため、土壌汚染の調査を行い、その結果を報告すること


 群馬県廃棄物リサイクル課は、スラグの全量を適正に処理つまり撤去の上、遮断型最終処分場への廃棄を指示しているのです。その上「中央橋混合場」について、生活環境の保全上支障のおそれの有無を確認するため、土壌汚染の調査を行い、その結果を報告すること。としたのです、廃棄物リサイクル課は結果の報告を受けているので、実際に現地に赴き確認作業をしているはずですので、報告の時点でこの地に有害スラグがある訳ありません。資材置場のゴロゴロしているハズは無いのです。

 『通称「中央橋資材置場」(東吾妻町大字箱島地内)を調査したところ、敷地外周の側溝外側等で少量の鉄鋼スラグが確認された』

 この事は、群馬県廃棄物リサイクル課の全量の適正処分指示の後、またしても外部から有害スラグがこの場所に持ち込まれ、天然石に混入の上、いかがわしい建設資材として、国土交通省や群馬県、渋川市などの市町村の公共建設工事に使用されたと考えるしかありません。

■ついでに調査結果④⑤も見ていきましょう。

④(株)佐藤建設工業は、平成24年12月、本社駐車場(渋川市小野子地内)において敷き砂利として鉄鋼スラグを使用したが、同所における出荷品の積卸し作業はなく、同所において鉄鋼スラグが混入した可能性は低い。

 何と本社駐車場にも有害スラグが発見されています。周りに住む住民は有害スラグの砂ホコリを何年も吸い込み生活していることになります。このことに廃棄物リサイクル課は思いを巡らすことはないのでしょうか?地域住民など下々の者は、公害と言っても良い有害物質被害に、黙って下を向いているしかないのでしょうか?


佐藤建設工業本社にはフレコンパックに積み込まれたスラグが大量に保管されていた。資材置場などを掘削指示されてここに置かれたものとは、日時から考えられない?

■報告では、通称「中央橋資材置場」からも、敷地外周の側溝外側等で少量の鉄鋼スラグが確認されたとなっています。また本社駐車場にも有害スラグが存在していたことが報告されています。

 ここまでくると今回調査した場所からは全て有害スラグが発見されていることになります。

 “何たることでしょう”

 佐藤建設工業はその持てるすべての土地を活用して、有害スラグを建設資材に混合し、詐欺的に人を欺き、販売していたと断定してよいのではないでしょうか?

 群馬県議会に報告された、(株)佐藤建設工業の天然石採取場・二つの資材置場、本社駐車場これら、社有地から出荷されたいかがわしい建設資材は、国・県・市町村を問わず、有害スラグの混入の恐れがある建設資材として全てリストアップし、群馬県お得意の水質調査をする必要があるのではないでしょうか?いや、ぜひそのように行動してほしいものです。またリストアップ費用や水質検査費用などは、我々が納めた血税から支出するのではなく、いかがわしい建設資材を販売した業者から徴収しなければならないでしょう。

 また佐藤建設工業には、未だどこかに有害スラグが隠し持たれている可能性?が否定できません。この群馬県民の不安をどうやって解消していただけるのでしょうか?群馬県内における廃棄物の監督官庁である群馬県は毅然たる方針を示してほしいものです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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