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すてきな三にんぐみ/トミー・アンゲラー・作 いまい よしとも・訳/偕成社/1969年初版
ちょっぴりこわくて、やさしく皮肉のきいた一冊。文句なしに楽しい絵本。
黒マント、黒帽子の三人組のこわーい泥棒が、みなしごのテイファニーをさらってきたのはいいが、この子に、宝の山を発見され「このたからどうするの」と聞かれて、それまでなんにも考えていなかった泥棒が考えたのは、すてごやみなしごをあつめること。
城をまるごと買い取るとそこにあつまってきたこどもがどんどんふえます。こどもたちはすくすく育ち、やがて結婚。城の周りに家をたて、村をつくります。
小さな村はどんどん大きくなり、みんなは、三人組を忘れないための、三人にそっくりの塔をたてます。
眼だけをかすかにのぞかせている黒いマントと黒い帽子の泥棒と赤いぼうしと赤いマントのこどもたちの絵がなんともかわいらしい。
泥棒が行き場のなくなった子どもたちに手をさしのべる(さしのべざるをえない)あたりが、そうした社会にした者たちへのやんわりした告発にもなっているようです。