どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

運命の王子・・エジプト

2015年12月12日 | 絵本(昔話・外国)
運命の王子  

    運命の王子/作・絵:リーセ・マニケ 訳:大塚 勇三/岩波書店/1984年初版

 

 古代エジプトのパピルス文書にかかれたものを、エジプト学者である作者が再話?したものという。
 もっとも、もとのパピルス文書は途中でやぶれていて、最後のほうは作者が、当時のエジプトを再現しているというのですが、とにかく今から3千年以上も前の話というので興味津々でした。

 絵は横向きの人物が特徴で、まるで古代エジプトの壁画をみているようです。             
 途中、あれっと思うところもあるのですが、昔話のおなじみの要素がでてきます。

 子どもがいない王さまがでてきて、神さまにおねがいして、子どもがさずり、七人の女神が運命をさだめるのですが、「この子は、ワニかヘビかイヌにころされることになっている」といいます。

 この出だしは、よく目にする昔話のパターン。

 息子の先行きを心配した王さまは、王子を石の家に閉じ込め、いつも召使に監視させますが・・・。

 しかし、運命がさだめられているなら、それまでは自分のやりたいようにさせてほしいと王子は、旅に出ます。

 昔話は、若者が必ずといってもいいほど、旅に出るのが特徴。

 やがて王子は、30メートルもの窓に飛びつき、王さまのむすめと結ばれます。
 反対する王さまをなんとかときふせたむすめですが、心配なのは王子の運命です。

 王子をころしたのは?

 ハスの花から王子が再生するという幻想的なラストです。


 数多くの昔話の一つとうけとめると新鮮味はないのですが、これが何より3千年前の話をもとにしているというので、昔話のルーツにつながっているかもしれないと思うと、大人にとっては興味がわくところです。