どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ほしのおんがくかい

2022年03月23日 | 絵本(日本)

     ほしのおんがくかい/齋藤 槙/世界文化社/2022年

 

 空に星がどんどん増えていくころ、はりねずみがお茶を 飲んでいると もぐらくんがやってきました。いっしょに お茶を飲みながら星を眺めていると、とつぜん、流れ星が いきおいよくふってきました。音がしたところに行ってみると、きらきらひかる いきものがいました。

 それは、星の子ポッチで、音楽会のために、楽器の練習をしていて、うっかり 落ちてきたのでした。

 空にもどれないと 泣き出したポッチ。はりねずみくんともぐらくんは ポッチが空にもどる 手伝いをすることに きめました。

 山のてっぺんからなら 空に もどれるかもしれないと思いましたが、山の入り口には川があって わたれそうにありません。

 もぐらくんが 地面の下をほって、山に行くことを提案し、みんなで どんどん 先に進んでいきました。

 山登りをはじめようとするところで、ポッチが 音楽会で うまくできるか心配と いいだします。

 もぐらくんは「ぼくはね、めがみえないから みんなの おとを よーく きくんだ。ポッチも そうしてみたら どうかな? めを つむってごらん。きっと みんなのおとがよくきこえるよ」とアドバイスします。

 地中を掘り進み、山の頂上につくと、大きな月が いました。ポッチは お月さまに空に戻してもらい空中にうかびました。

 それから、お月さまが、空の明かりをひとつ残らず消し 音楽会のはじまりを 宣言すると 暗闇から 音楽隊が 登場し 指揮者の星が 指揮棒をふります。

 「なんて きれいな おとなんだろう。もぐらくん、ぼくにも ほしの おとが きこえるよ!」

 ポッチも 目をつむって みんなの 音を聞き、おなかいっぱいに いきをすって じゃーん!! じゃじゃじゃーん! と シンバルを ひびかせます。それを合図に星のバレリーナたちが おどりだしました。

 太陽が 顔を出すころ、星はみえなくなっていきました。

 

 夜空一ぱいの星たちの音楽会という幻想的な光景がひろがっています。よーく空を眺めて、目を閉じ、耳をすますと、音楽がきこえてくるのかも。見えるものだけがすべてではありません。