どうぐはなくても/ビアンキ・原作 N・チャルーシナ・絵 田中友子・文/福音館書店/2007年
「道具をつかわないで たてられた 家もあるんです」と はじまるので、どんな家かとおもったら?
鳥の巣でした。
カササギ、ヨタカ、ツリスガラ、ツバメ、ウタツグミ、キツツキ、ワシの巣が 枝のいっぽんいっぽん、綿毛、草の細部まで 丁寧にえがかれています。
写真や図鑑と違った 鳥の描き方も興味深い。
ワシの巣に、ノコギリ、ハンマー、カンナなどが描かれ 道具はこんな使い方もあるというのは、人間に対する皮肉でしょうか。
鳥は自然のもので巣作りし、人間は自然を壊して家を作ります。
人間が人間となったのは、火や道具をつかうということですが、自然を破壊するというのは、人間の おごりでしょうか。
V・ビアンキ(1894-1959)はロシアの作家。第一次世界大戦、第二次世界大戦を経験されてスターリンの死後、6年後に亡くなっています。スターリンの時代も大変だったと思いますが、いまのウクライナへの侵攻で、街がめちゃめちゃに破壊されているのを見たら何を考えるでしょうか。