がちょうのペチューニア/ロジャー・デュポワザン・作 まつおかきょうこ・訳/富山房/1999年
がちょうのペチューニアが 散歩の途中で地面に落ちている本を見つけました。
ペチューニアは、パンプキンさんが、「本をもち これに したしむ ものは かしこくなる」といっていたことを思い出し、本を家に持ち帰り、本といっしょに眠り、本といっしょに泳ぎました。こうしたことしていると、自分は とても賢いと 思い 大変得意になり、くびがどんどん のびました。
まわりの動物たちも、そんな自信満々のペチューニアを見て、本当に賢いと思いはじめ、なにかこまったことがあるとペチューニアに相談を持ち掛けたり、意見をもとめるようになりました。ペチューニアは、よろこんで みんなを助けます。
ここからは どんなことをしでかすのかと興味を抱かせる展開。
・おんどりのキングのとさかが赤いのは、お百姓さんが、めんどりと区別するため、さしこんだもの
・めんどりのアイダから、ひよこが全部いるか数えてほしいといわれ、三×三は 六とこたえます
・犬のノイジーがうさぎのあなに頭を突っ込み、ぬけなくなったら けむりで いぶし
・歯が痛いという馬には、ぜーんぶ抜いちゃえばいい
まだまだ相談はつづきます。なにしろ頼まれないときもアドバイスしますからね。
さて、草地でみつけた箱。「きけん」「はなび」とかいてありました。ペチューニアが、あらキャンデーってかいてあるわ というので くいしんぼうの 動物たちは 一斉に箱にとびかかり、つつみをあけて がぶりと かぶりつくと・・。
自分が賢くないとさとったペチューニアは、花火が爆発し、本のなかのページに、なにかかいてあるのを みつけました。
「ほんは、つばさのしたに はさんで もちあるくだけじゃ だめなのよ。なかみを あたまや こころに いれなくちゃ。そして、そのためには じを おぼえなくちゃ いけないのよ」と、きがついたぺチューニアは、すぐさま 勉強に とりかかりました。いつの ひか 本当に賢くなれるように・・。そうなれば きっと みんなを しあわせにしてあげられるように。
ぺチューニアは、本当に賢くなったでしょうか?。
「おばかさんの がちょう」と はじまり 動物どうぶつたちは ひどい目にあいますが、どうやら憎んではいません。
原著は1950年の初版で、モノクロが中心ですが、その分、色使いのページが鮮やか。ぺチューニアは とぼけた感じで憎めないキャラクター。
いつか読もうとおもっても、買うだけで満足し、そのままお蔵入の本も多くありますから、ぺチューニアを笑ってばかりいられません。
コメンテーターとよばれる人間が、あちこちのテレビにでまくり、自分の意見が正しいと主張するのは、自分を賢いと思っているのかな。もしかするとコメンテーターの意見に同調するのは、ここででてくる動物と同じかも。ご用心、ご用心。