青森のむかし話/青森県小学校国語研究会・青森児童文学研究会/日本標準/1975年
短い話二つ。
・下北の下風呂に、ひとりの親孝行なおなごわらしがいだっと。あるとき、チョウがクモの巣に羽をくっつけていたとこ、助けてやったど。すると二、三日たったある朝、大きなチョウが、おなごわらしっこの上から、「ビガラ、ジャガラ、ビガラ、ジャガラ」って、ひかったものば落としたと。見たらば大判、小判だったそうだ。
それで、おっちゃのケガも直して 幸せに暮らしたと。
・恐山に、おっかねえ鬼がいて、毎日、一ぴきずつ、生き物を食うていた。たぬきが食われる番になって、たぬき、鬼の前に出て、「われのおどりっこば、見てください」と、腹をたたいて、「ポンポコリン、ポンポコリン、ポンポコリンのポン」と、おどった。たぬきのおどりが、あんまりおもしろくて、自分の腹を、「ポンポコリン、ポンポコリン、ポンポコリンのポン」とたたいて、おどりながら山の奥へ いってしまったそうだ。
再話するともっと長くなりそうだが、昔話の原型は、こんなものにちがいない。