でてくるお化けが一つ目だったり、たくさんの目がついていたり、のっぺらぼうなど、昔話に出てくるお化けもいそがしい。
・一つ目一本足の山んじい(日本の民話7 妖怪と人間/瀬川拓男・松谷みよ子・編/角川書店/1973年初版)
四国地方の昔話。
一つ目一本足というキャラクター。身の丈は7尺あまりというから2mをこえる。しかし、今ではあまりびっくりする大きさではありません。
漁師の佐衛門と山んじいが、どちらが大きな声をだせるか競い合います。
山んじいが大きな声をだすときは、佐衛門が耳をふさぎます。
佐衛門は山んじいに目に手をあてるようにいい、耳元で鉄砲をドーンとぶっ放すと山んじいはびっくり。
たき火に白いものをみた山んじいが、餅をやいているのかときくと、佐衛門はそうだとこたえ、真っ赤に焼けた石を山んじいの口の中に放り込みます。
山んじいは崖から転げ落ち、山姥に怪我の手当てをしてもらいます。
くやしがった山んじいが佐衛門の家の自在を伝って蜘蛛に化けて忍び込みますが・・・・。
この山んじいのおくさんが山姥。夫婦ででてきて、じいさまのほうが主役というのには、なかなお目にかかれない。
この話は<読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話 下/筑摩書房/2002年>にもありました。
・こんな顔(日本の昔話3/ももたろう/おざわとしお・再話/福音館書店/1995年)
「紀伊半島の昔話」(京都女子大学説話文学研究会/日本放送協会/1975年)の再話です。
むかし、お化けが出るといううわさの山がありました。ある若者が「化けの皮をひんむいてやる」と、夕方やまをのぼっていきました。すると前を歩いていく男がいました、
若者が「おれひとりかとおもったら、おまえもきていたのか」と声をかけ近くにいきます。
「お化け、お化けというが、いったいどんなお化けなんだ」と話しかけると、男が「そりゃあ、こんな顔じゃないか」と、ひょいとふりむくと、それはひとつ目の顔。
おどろいた若者が山を駆け降りると、おおぜいの男たちが集まっているのが見えました。
「助けてくれ、おばけがでたぞう」「いったい、どんなお化けだったんだ?」と男たちがふるむくと、みんな目が一つだけの顔。