どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

魔よけみそマメ・・兵庫

2024年11月02日 | 昔話(関西)

     兵庫のむかし話/兵庫県小学校国語教育連盟編/日本標準/1978年

 

 一夜の宿を頼み込んだ女の巡礼が、そのままおじいさんのところに居ついてしまった。

 女は、毎日よく働いていたが、そのうち、おじいさんは、米がびっくりするほど どんどん減っていくことに気がついた。おじいさんは、ある日町へ行ってくると家を出るふりをし、そっと家の裏側に回り、かくれるようにして窓から中をのぞくと、やさしい顔をした女の顔が、それはおそろしい顔にかわって、それだけでなく、おひつにいっぱいはいっていた飯をあっというまに平らげてしまった。

 おじいさんのふるえはとまらない。あてもなく歩き回って、「町のほうへ移り住むことになったから、あんさんもどこかにいってもらわん・・」というと、にっこりわらった女は、「大きな袋を一つ作ってほしい」という。おじいさんはやれやれ助かったと思ったが、袋が出来上がると、女は袋に入れという。みょうなことをいうと思ったが、またいすわられるとこまると思うて、おじいさんは袋の中に入った。すると女は袋の口をしめ、「こら、じじいめ!わしの正体を見抜きよったな。山へ帰って、お前の生き血をすうたる!」と言って、袋を担いで走り出した。こりゃ、しもうたと思ったが、もうおそい。ところが道の途中で袋を下ろして小便をしよった。今だと思ったじいさんは、もういちどもがくと、うまいこと口がとけて、抜け出すことができた。おじいさんがぬけだすと、きがついた魔物も、いっしょうけんめい追ってきた。

 ふもとの茶店までにげのびると、ちょうど茶店のあるじが、みそマメをたいて味をみていた。おじいさんもあるじに頼んで、知らん顔をして、あるじとふたりでしゃべりながら、みそマメを食べていた。まもなく魔物がやってきたが、そのひとりがおじいさんと気づかず、「いない!いない!」と叫んで、別の方向へかけだした。おかげでおじいさんは、あぶないところを助かった。

 このあたりで、みそマメをたべる風習が残っているのは、こんな話があったからという。

 

 「食わず女房」では、菖蒲が魔よけになりますが、なぜ「みそマメ」を食べるのが魔よけになるのか もうすこし説得力がほしいところ。