どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ばらいろのかさ

2019年09月28日 | 絵本(外国)

    ばらいろのかさ/アメリー・カロ・文 ジュヌヴィエーヴ・ゴブドー・絵 野坂悦子・訳/福音館書店/2019年

 

 アデルのカフェ「みずたまエプロン」は、風が吹きつける海辺の村の真ん中にあって、まわりには家が何軒かならんでいます。

 アデルのカフェは、このへんでただ一つの店。

 水曜日は、八百屋のリュカが、ちかくの人たちが買えるように果物や野菜をならべます。土曜日は、映画をみせる日、ほかの日も、面白い集まりがあります。

 リュカは水曜日と日曜日、カフェに花をとどけていました。店のテーブルには、いつも花束が。

 カフェは顔なじみのお客さんばかり。そしてこのへんにすんでいる人たちにとって、小さなあかりがいつもと灯っているのは、いってみれば、もう一つの家。アデルは店にやってくるお客さんのひとりひとりのことを、よく覚えていて、みんなに声をかけていました。

 みんなのくらしのなかで、アデルは太陽そのもの、きらきら輝いています。

 アデルがこまっていること、それは雨。なんにもやる気になれず、さむくて気持ちがしずみます。

 ある日、店をしめる時間に床掃除をしていると、アデルはコートかけの下に、ばらいろの長靴をみつけます。長靴の底には、太陽。

 一週間お客さんにきいても、だれのものかわかりません。

 次の水曜日、店を閉めるときに入り口のコートかけに バラ色のレインコートがかかっていました。

 次の水曜日、こんどは ばらいろのかさが。

 水曜日といえば、リュカがやってくる日。雨の日、ばらいろのかさ、レインコート、長靴でリュカをおいかけると・・・。

 アデルのカフェは、このへんでなくてはならないお店。若い二人のロマンスなのですが、こんなお店が過疎地にあったら、みんな元気になりそうですよ。


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