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たたかれ、かみつかれ… 障害者施設の職員、絶えぬ傷

2016年08月21日 21時55分36秒 | 行政
たたかれ、かみつかれ… 障害者施設の職員、絶えぬ傷
2016年8月19日 (金)配信朝日新聞

 東北地方の重度障害者施設に勤める40代の男性の腕にはいくつも傷がある。右前腕部が多く、取材した日は赤い傷が五カ所ほど。暴れる利用者が爪を立てたり、たたいたりした痕だ。かみつかれて血が出たこともある。

 「反応すればさらに興奮するから、平然と対応するように教わった。押さえつけるわけにはいかず、他の利用者にけがをさせてもいけない。職員がけがをしてでも盾になるしかない」

 約50人の利用者が暮らす入所施設で働く。担当するのは約20人いる最重度の人たち。利用者が暴れるのは毎日のことだ。

 福祉を志して、今の施設に勤め始めて1年近く。理想を持ってはいるが、24時間を超える宿直が明けるとぐったりする。疲労でケアが乱雑になる日もある。

 「保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳」

 津久井やまゆり園で起きた事件で逮捕された植松聖(さとし)容疑者(26)は、衆院議長に宛てた手紙にそう書いた。その内容は、理解できる面もあるという。

 利用者にとって本当は自宅に居るのが一番落ち着くだろうと思う。だが家族の負担は大きい。確かに疲れ切った家族はいる。身寄りのない人や、家族がほとんど会いに来ない人もいる。

 「生気の欠けた瞳」という言葉には、とっさにある同僚を思い浮かべた。トラブルが続いて疲れ切った日は、自分だってそんな目をしているかもしれない。

 植松容疑者は、福祉の仕事に前向きな言葉を述べたこともあったとされる。

 「きれいな言葉とそうでない面と、この仕事をしていれば、ひとりの中で同居することはあるんじゃないでしょうか」

 現場には、給料や労働条件からたまたま福祉を選んだ人もいる。上司は「福祉を志してきた人と、そうでない人の差が大きい」と言った。仕事は低賃金ながら責任は重く、体力と使命感が要る。

 「人員がもう少しほしいというのはどこの現場でも感じていると思う。少人数の共同生活のほうが利用者も落ち着くとも、誰もが思っているのではないか」

 入所者はそれぞれに強い個性を持っている。他の入所者との相性もある。だが大きな入所施設では、効率的な集団生活を重視せざるを得ない。「障害が重ければ重いほど、大きい施設は悪い環境」とまで言う。

 こうした環境では、自傷や他害などの問題も増えやすい。働く人のストレスも多くなる。

 少数の利用者と支援者が共同生活する「グループホーム」なら、一人一人に合わせたより手厚い支援ができる。「暴れたりパニックになったりするのも理由がある。自傷や他害のある人でも、グループホームならはるかに落ち着くはずだ」

 事件をきっかけに、こうした障害者福祉のあり方も問い直してほしいと、男性は考えている。(太田泉生)



■「施設から地域へ」転換めざす

 重い障害がある人たちの生活の場をめぐり、政府は2002年の計画で「施設から地域へ」と掲げた。津久井やまゆり園のような入所施設の数を最小限にとどめ、グループホームなどでの地域生活への転換を目指したものだ。

 神奈川県もこの理念に沿って計画を策定。13年度末の施設入所者は5053人だが、15年3月の第4期計画では、17年度末までにこのうち535人(11%)を、グループホームや一般住宅での地域生活に移行させるとの目標を掲げた。

 だが現実には、障害が重い人ほど地域生活への移行も難しいという。新たに施設に入る人も一定数見込まれ、県は、入所者数が17年度末で2%減の4935人程度になるとみている。
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光で免疫活性化、がん退治 転移にも効果、マウス実験

2016年08月21日 21時04分57秒 | 医療情報
光で免疫活性化、がん退治 転移にも効果、マウス実験
2016年8月18日 (木)配信共同通信社

 【ワシントン共同】光の一種の近赤外線を当てる方法で、がん細胞を攻撃する免疫細胞のリンパ球を活性化させ、がん細胞を退治する治療法を開発したと、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆(こばやし・ひさたか)主任研究員らが、17日付の米医学誌に発表した。マウスの実験で転移がんにも効くと確認したという。

 リンパ球の中には、誤って自分自身を攻撃するのを防ぐブレーキ役の細胞がある。がんの免疫療法は、リンパ球の働きを全身で活性化させるため、健康な細胞も攻撃してしまう「自己免疫反応」が起きる恐れがあるが、活性化の度合いを弱めると効果も弱まるのが課題だった。開発したのは、がん細胞だけでブレーキ役を壊す方法。小林さんは「このジレンマを解消した強力な薬剤となり得る」と話している。

 小林さんらは、特定の波長の近赤外線を当てると近くにある細胞を破壊する化学物質を利用した。この物質と、ブレーキ役の「制御性T細胞」に結びつきやすい分子を組み合わせた複合体を作製。がんを移植したマウスに注射して、がんの部分にだけ光を当てた。すると制御性T細胞が破壊されてリンパ球が活性化し、がん細胞が減少して生存期間が伸びた。

 同じがんを別々の部位に移植し、転移したがんを想定した実験では、一方だけに光を当てると、光を当てなかった方でもがん細胞が減った。光を当てたがん細胞内でリンパ球が活性化され、それが血流に乗って全身に回り、特徴が似た転移がんだけを攻撃相手と認識したと考えられるという。

 米医学誌はサイエンス・トランスレーショナル・メディシン。
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保育に土地貸与、非課税に 相続・贈与税で要望

2016年08月21日 20時43分47秒 | 行政
保育に土地貸与、非課税に 相続・贈与税で要望
2016年8月19日 (金)配信共同通信社

 内閣府と厚生労働省、文部科学省は18日、保育受け皿の用地確保に向け、土地所有者に対する税制優遇策の創設を2017年度税制改正で要望する方針を決めた。保育所や幼稚園の敷地として貸し出している土地を親族から受け継ぎ、引き続き貸与する場合に相続税と贈与税を非課税とする。

 安倍政権が重要課題と位置付ける待機児童の解消では、都市部を中心に用地確保がネックとなっており、税制を見直して施設整備を促進する。

 父母や祖父母らから土地を相続したり贈与されたりした場合、現在は土地の評価額に応じて10~55%まで8段階の税率がかかる。非課税になれば保育所などへの貸与が増え、施設整備が進むことが期待される。自治体などから税制面での後押しを求める声が出ていた。

 また、企業が従業員向けに設ける「事業所内保育所」を増やすため、固定資産税などの非課税措置の対象を拡大。定員6人以上の施設に限られているが、5人以下でも対象とするよう求める。

 本年度から始まった「企業主導型保育事業」の施設についても、認可保育所並みの税制優遇を要望する。

 政府は17年度末までに50万人分の保育の受け皿確保を目指している。
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男女区別しない呼称提案 英オックスフォード市議会

2016年08月21日 09時15分40秒 | 地域
男女区別しない呼称提案 英オックスフォード市議会
2016年8月19日 (金)配信共同通信社

 【ロンドン共同】ミスター(MR)、ミセス(MRS)、ミス(MISS)などに併せて、男女を区別しない英語の呼称として「ミックス(MX)」を公文書で使ってはどうか―。名門オックスフォード大のお膝元、英南部オックスフォードの市議会がこうした議論を行い、話題を呼んでいる。英メディアが18日までに伝えた。

 心と身体の性が異なるトランスジェンダーの人々に配慮することが目的。英メディアによると、英国南部ブライトンでは既に公文書で「ミックス」が使われているほか、政府機関の一部でもミックスの使用が受け入れられている。

 オックスフォード市議会では、性的少数者(LGBT)は自分の性別を答えたがらないことが多いとの調査結果が出たことを受けて、委員会が提案した。

 公文書からミスター、ミセスなどの敬称を一切省くことも選択肢の一つとして検討され、オックスフォードのLGBT団体の関係者は「一歩前進で歓迎だ」と話すが、地元有力者からは「時間と金の無駄遣い」との声も上がっている
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悔しい銀、悲痛な涙 謝り続ける吉田  

2016年08月21日 09時02分09秒 | 医療情報
悔しい銀、悲痛な涙 謝り続ける吉田
2016年8月19日 (金)配信共同通信社

 「金メダルを取れなかった。ごめんなさい」。レスリング女子53キロ級の決勝で敗れた吉田沙保里(よしだ・さおり)(33)は、悲痛な表情で謝り続けた。試合後はしばらく立ち上がれず、号泣した。悔しい銀メダル。その姿は、2008年1月に連勝が「119」で止まった時に重なる。当時は負けた悔しさで涙を流したが、今回は違う。応援し、期待してくれた人々への思いがとめどない涙となって頬を伝った。

 五輪3連覇や世界選手権での活躍で12年に国民栄誉賞を受賞するなど、スポーツ界の顔となった。テレビ番組やコマーシャルにも出演する人気者。それでも父の栄勝(えいかつ)さんからは「レスラーであることを忘れるな。練習を怠るな」と諭されてきた。その父は14年3月に亡くなったが、いまも教えは守り続ける。

 昨年限りで05年春から所属してきたALSOKを退社した。自身にとって「心のオアシス」という芸能活動などを幅広くできるようにフリーの立場を選んだ。練習拠点のある愛知県大府市と東京を行き来する回数は増えたが、練習時間は確保するように心掛けた。時には真夜中にトレーニングすることもあった。

 33歳となり、けがも増えた。五輪4連覇へ「恐怖心」を感じるようになった。それでも、期待に応えたかった。鏡に映った自分の顔が疲れていると「しっかりしろ、吉田沙保里」と心の中で唱え、笑顔をつくる。

 日本代表の栄和人(さかえ・かずひと)チームリーダーの妻怜那(れな)さんは、吉田と15年以上懇意にしている。吉田のことを「普通の女性だけど、『みんなの吉田沙保里』という立場を理解している」と話す。五輪の日本選手団主将を打診された時も「わたしが断るわけにはいかない」。選手団主将はメダルすら取れないとのジンクスにもかまうことなく、就任を決断した。

 大きな重圧と期待を背負った五輪で、期待された4連覇は実現できなかった。敗因を問われると、「自分の気持ちが、最後は勝てるだろうと思っていたが、取り返しのつかないことになってしまって...」と言葉を詰まらせた。涙は止まらない。だが『みんなの吉田沙保里』が泣いてばかりはいられない。「30年間レスリングをやってきて、ここまで来られた。本当によく頑張ったと思う」。必死で言葉を絞り出した。(共同=森本任)
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講演会:水俣と原発考える 立教大で来月11日 /東京

2016年08月21日 08時20分27秒 | 地域
講演会:水俣と原発考える 立教大で来月11日 /東京
2016年8月19日 (金)配信毎日新聞社

 講演会「水俣と福島の間。何故、水俣に学べなかったのか」が9月11日、豊島区西池袋の立教大で開かれる。今年は水俣病の公式確認から60年、東京電力福島第1原発事故から5年の節目に当たる。二つの惨事の共通点を探り、日本社会の在り方を考える。

 講師は長年、水俣病を研究してきた岡本達明さん。1957年に東京大法学部を卒業後、水俣病の原因企業チッソに入社。水俣工場第一組合委員長を務めた。現地調査をもとに患者や地域の現状などを伝えた「水俣病の民衆史」、毎日出版文化賞を受賞した「水俣病の科学」(いずれも日本評論社)などを執筆している。

 講演では、水俣病、福島原発事故で、ともに予兆はあったのに、それを生かすことができなかった背景や、産学官で守ろうとした産業が衰退し地域社会が崩壊した経緯に迫り、何を教訓にすべきかを考える。

 講演会は午後2~5時。資料代500円。申し込みは共催する日本環境ジャーナリストの会のホームページ(http://jfej.org/)から。

 問い合わせは事務局の地球・人間環境フォーラム(03・5825・9735)。
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