保育士の基本給アップ優遇 人材確保に予算重点配分 4月の待機児童2万3千人 厚労省が追加対策
2016年8月25日 (木)配信共同通信社
厚生労働省は25日、待機児童の解消に向け、来年度に追加対策を実施する方針を固めた。不足している保育士確保のため、毎月の収入増につながるよう、賞与ではなく、基本給引き上げ(ベースアップ)を実施する事業者に予算を重点的に配分することなどが柱だ。
今年4月時点の全国の待機児童数は、昨年とほぼ同じ約2万3千人だったことも厚労省の調査で判明。同省は9月の調査結果公表に合わせて追加対策を打ち出すとともに、自治体を交えた「待機児童対策会議」を開き、各地の課題や取り組みの先進事例を共有する。
政府は来年度から保育士の給与を月額平均で約6千円、経験を積んだ場合には約4万円引き上げる方針を既に打ち出している。ただ事業者が賃上げのために経費を受け取っても、基本給ではなく、賞与の引き上げに回すケースが予想される。賞与の方が必要に応じて水準を下げられ、人件費を抑制しやすいからだ。
保育士の基本給が上がらないと長期的な生活設計を立てづらく、離職につながりかねないとの指摘がある。新たな仕組みの導入で、基本給を引き上げる事業者に経費を多く配分し、保育士の定着につなげたい考え。
保育士の平均月給(2015年)は約22万円で、全職種の平均より約11万円安い。政府は来年度末までに待機児童ゼロを目指しているが、待遇面がネックで保育の担い手が不足し、施設整備が進まない一因となっている。
さらに追加対策では、保護者が1年間の育児休業を取った後に、年度途中からでも子どもを保育所に預けられるよう「入園予約制」の導入を自治体に促す。0歳から預けないと定員が埋まってしまうため、育休を早めに切り上げる保護者は多い。こうしたケースを減らすのが狙いで、0歳児より1歳児の方が保育士の配置が少なくて済み、人手不足を補うこともできる。
0~2歳児向けの小規模施設に子どもを預けた場合、3歳になった時に新たな預け先が見つからない「3歳の壁」をなくすため、3歳児以上向けの保育所に切れ目なく移れる体制も整える。
※国の待機児童対策
政府は待機児童解消加速化プランに基づき、2017年度末までの5年間で50万人分の保育の受け皿整備を進めている。今年3月には、小規模保育所での受け入れ定員の拡大といった規制緩和を緊急対策として発表した。6月に閣議決定された1億総活躍プランには、人手不足が深刻となっている保育士の待遇改善などが盛り込まれた。15年4月時点での待機児童数は2万3167人だったが、育児休業中などで除外されている「潜在待機児童」がさらに約6万人いる。
2016年8月25日 (木)配信共同通信社
厚生労働省は25日、待機児童の解消に向け、来年度に追加対策を実施する方針を固めた。不足している保育士確保のため、毎月の収入増につながるよう、賞与ではなく、基本給引き上げ(ベースアップ)を実施する事業者に予算を重点的に配分することなどが柱だ。
今年4月時点の全国の待機児童数は、昨年とほぼ同じ約2万3千人だったことも厚労省の調査で判明。同省は9月の調査結果公表に合わせて追加対策を打ち出すとともに、自治体を交えた「待機児童対策会議」を開き、各地の課題や取り組みの先進事例を共有する。
政府は来年度から保育士の給与を月額平均で約6千円、経験を積んだ場合には約4万円引き上げる方針を既に打ち出している。ただ事業者が賃上げのために経費を受け取っても、基本給ではなく、賞与の引き上げに回すケースが予想される。賞与の方が必要に応じて水準を下げられ、人件費を抑制しやすいからだ。
保育士の基本給が上がらないと長期的な生活設計を立てづらく、離職につながりかねないとの指摘がある。新たな仕組みの導入で、基本給を引き上げる事業者に経費を多く配分し、保育士の定着につなげたい考え。
保育士の平均月給(2015年)は約22万円で、全職種の平均より約11万円安い。政府は来年度末までに待機児童ゼロを目指しているが、待遇面がネックで保育の担い手が不足し、施設整備が進まない一因となっている。
さらに追加対策では、保護者が1年間の育児休業を取った後に、年度途中からでも子どもを保育所に預けられるよう「入園予約制」の導入を自治体に促す。0歳から預けないと定員が埋まってしまうため、育休を早めに切り上げる保護者は多い。こうしたケースを減らすのが狙いで、0歳児より1歳児の方が保育士の配置が少なくて済み、人手不足を補うこともできる。
0~2歳児向けの小規模施設に子どもを預けた場合、3歳になった時に新たな預け先が見つからない「3歳の壁」をなくすため、3歳児以上向けの保育所に切れ目なく移れる体制も整える。
※国の待機児童対策
政府は待機児童解消加速化プランに基づき、2017年度末までの5年間で50万人分の保育の受け皿整備を進めている。今年3月には、小規模保育所での受け入れ定員の拡大といった規制緩和を緊急対策として発表した。6月に閣議決定された1億総活躍プランには、人手不足が深刻となっている保育士の待遇改善などが盛り込まれた。15年4月時点での待機児童数は2万3167人だったが、育児休業中などで除外されている「潜在待機児童」がさらに約6万人いる。