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「介護離職ゼロ」は、実現可能か?

2018年02月22日 01時16分39秒 | 介護福祉高齢者
「介護離職ゼロ」は、実現可能か?
土地も資金も人手も不足
オピニオン 2016年1月6日 (水)配信鎌田實(諏訪中央病院名誉院長)

 介護離職ゼロを目指すという。一見、心地よい目標だが、どうやって実現するのか疑問だ。
 厚生労働省は2015年を地域包括ケア元年とし、施設に頼らず地域で介護が必要な高齢者を支えようと構造改革を始めたところだ。
 「施設に頼らない」とはいうが、実際には施設では対応しきれない現実がある。都道府県別の最新データをみると、東京では在宅死が16.7%を占める。
 東京では施設が少ないため、終末期をすでに在宅ケアに頼る人が増えていることを示している。しかも、首都圏では質の高い訪問看護ステーションができ、若いドクターたちが往診にも乗りだしている。
 地方がやっていたことを、大都市でもやるようなったのだ。とてもいいことである。
 しかし、新三本の矢の一つとして、介護離職ゼロを掲げた安倍さん。どうやって、介護離職ゼロを実現するつもりなのだろうか。
 もっと特養をつくるという安易な方法は、実現不可能だし、地域包括ケアと矛盾する。 いま特養に入所希望する、要介護3以上の待機者は東京圏で1万5000人と言われる。2025年には、今より175万人の後期高齢者が増える東京圏ではおそらく、さらに3万人の待機者が増える。
 東京で100床の特養を300か所もつくれるとは思えない。土地も資金も人手もない。
 毎年、介護のために仕事を辞める人は10万人いるといわれる。この介護離職がゼロになるなら、ぜひ、そうしてもらいたい。問題は、どうやって実現するか、だ。
 むしろ、無理やり介護離職ゼロにするのではなく、介護をしながら働きやすい環境をつくったり、いったん介護離職しても希望すれば再び正社員として働くことが容易になるなど、働き方のスタイルを多様にするほうが、よほど現実的だ。
※本記事は、2015年12月28日に鎌田實『八ヶ岳山麓日記』で掲載した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。
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「介護就職」で両得 県内施設が入居者の家族雇用

2018年02月22日 01時12分51秒 | 介護福祉高齢者
「介護就職」で両得 県内施設が入居者の家族雇用
2018年2月21日 (水)配信山梨日日新聞

 介護のために仕事を辞める「介護離職」が全国的な問題になる中、山梨県でサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を運営する企業が入居者の家族を正社員として雇う取り組みを始めた。家族は入居者の近くで働くことができ、企業は介護人材と入居者が確保できる利点があるという。介護施設関係者は「県内も介護が理由の離職者は相当数いて、現場の人手不足も深刻」と指摘。すべての団塊の世代が後期高齢者となる超高齢化社会を控えた新たな動きといえそうだ。
 「おばあちゃん、調子はどう?」。笛吹市八代町北の早川恵美さん(41)は同市春日居町鎮目のサ高住に出勤すると、真っ先に祖母の小山昭子さん(89)の部屋に顔を出す。祖母の要介護度は3。脳梗塞を患い、移動は歩行器が欠かせない。
 早川さんは2015年11月、祖母を自宅で介護するためにパートを辞めた。正社員として働く母親に頼まれ、親代わりとして育ててくれた感謝の気持ちから引き受けた。約1年間の自宅介護では「二人きりだと疲れやストレスがたまり、強く当たってしまうことがあった」という。
 「息抜きになれば」と、週1、2日働ける場所を探していたところ、県内でサ高住を運営する新日本通産(甲府市落合町)で祖母の入居と正社員勤務を勧められた。早川さんと祖母は相談し、「適度な距離で祖母に関わり、フルタイムで働ける。精神的にも経済的にも安心できる」と入居と就職を決めた。
 県建築住宅課によると、集合住宅に安否確認や生活相談サービスが併設されたサ高住の県内登録数は76施設(1月末現在)。15年4月から特別養護老人ホーム(特養)の入所条件が原則「要介護3以上」と厳しくなるため、要介護度が比較的低い人や自立した高齢者、特養待機者の受け皿となっている。
 同社は7年前からサ高住の運営を始めた。同社経営の介護事業所「あいグループ・ケアステーション新日本」によると、現在は県内で25施設を運営、7施設が建設中。需要は高いがスタッフの確保が難しく、入居者の家族を雇用する方針を打ち出した。
 同事業所によると、採用条件に年齢制限はなく、無資格でも入社後の資格取得を支援する社内制度を設けた。早川さんも入社後に介護福祉士の資格を取得。家族が入居する正社員はほかに2人いる。
 同事業所の山口和彦総合介護事業部長は「介護者を孤立させずに精神的、経済的に支える意味でも働くことは大事。人手不足を補う方法としてもモデルケースにしたい」と話す。
 総務省の就業構造基本調査によると、12年9月までの5年間で介護や看護を理由に離職した人は全国で約48万7千人、県内は約1万400人に上る。デイサービスに勤務する山梨市の男性(42)は「介護者や施設職員の負担を減らすには、地域や個人の実情に合った仕組み作りは重要な課題だ」と話している。
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