AIロボットで高齢者支援 看護師が24時間遠隔見守り 「ベンチャーの勝算」
2018年11月29日 (木)配信共同通信社
政府が医療費削減を図ろうと患者の在宅化を進める中、自宅で暮らす高齢者などが必要な医療サービスを受けにくい現状が指摘されている。福岡市のベンチャー企業「ワーコン」は、こうした課題を解決しようと人工知能(AI)搭載のロボットが自宅で問診し、必要に応じて看護師に連絡する24時間体制の見守りサービスを本格始動する。
青木比登美(あおき・ひとみ)社長は「ロボットを活用し、支え手が少なくなっても高齢者に安心できる医療、介護環境を提供したい」と新サービスの意義を強調した。最新技術を活用しようと、NTTドコモなどの大企業を巻き込んだ。
厚生労働省によると、2025年には全ての団塊の世代が75歳以上になるなど高齢化が加速する見通し。介護が必要になった場合、自宅で過ごすことを希望する人が7割を超えたとの調査結果もある。ただ、看護師として長年キャリアを積む中で、通院患者が自宅で孤独死するなど現状の課題にも直面した。「患者が病院から家に戻った後は何もできていない」とケア拡充の必要性を実感し、起業を決意した。
在宅での医療・介護現場へのAI導入拡大に関し、青木氏は「高齢者の望む生き方の実現だけでなく、支える側の負担軽減にも貢献できる」と利点の大きさを指摘する。
会話で利用者の異変を察知するAIロボットのほか、室内に体調を把握するセンサーも設置。異常があればロボットを通じて看護師が声を掛けることもでき、自宅にいながら質の高い見守りサービスを受けられる体制を構築できるという。福岡市で12月に始め、機能を追加しながら、来春以降順次エリアを拡大する。
最新技術を活用して看護師が自宅でコールセンター業務を行える仕組みを導入するといった働き方改革の構想も温める。「住み慣れた自宅で家族と過ごしたいとの思いをかなえたい」と確かな需要に手応えを感じている。
× ×
あおき・ひとみ 九州大医療技術短期大学部卒業後、九州大病院などを経て16年に現在のワーコンを創業。52歳。
※在宅医療
厚生労働省は、増大する医療費の抑制を図るため、2025年までに全国の病院ベッド数を削減する方針。患者30万人程度の受け皿が必要となることから、在宅医療の体制整備が急務となっている。訪問看護師や地域のかかりつけ医による往診などで在宅患者を支える仕組みだが、医療従事者の不足に加え、夜間や休日に及ぶ勤務の負担軽減が課題だ。
2018年11月29日 (木)配信共同通信社
政府が医療費削減を図ろうと患者の在宅化を進める中、自宅で暮らす高齢者などが必要な医療サービスを受けにくい現状が指摘されている。福岡市のベンチャー企業「ワーコン」は、こうした課題を解決しようと人工知能(AI)搭載のロボットが自宅で問診し、必要に応じて看護師に連絡する24時間体制の見守りサービスを本格始動する。
青木比登美(あおき・ひとみ)社長は「ロボットを活用し、支え手が少なくなっても高齢者に安心できる医療、介護環境を提供したい」と新サービスの意義を強調した。最新技術を活用しようと、NTTドコモなどの大企業を巻き込んだ。
厚生労働省によると、2025年には全ての団塊の世代が75歳以上になるなど高齢化が加速する見通し。介護が必要になった場合、自宅で過ごすことを希望する人が7割を超えたとの調査結果もある。ただ、看護師として長年キャリアを積む中で、通院患者が自宅で孤独死するなど現状の課題にも直面した。「患者が病院から家に戻った後は何もできていない」とケア拡充の必要性を実感し、起業を決意した。
在宅での医療・介護現場へのAI導入拡大に関し、青木氏は「高齢者の望む生き方の実現だけでなく、支える側の負担軽減にも貢献できる」と利点の大きさを指摘する。
会話で利用者の異変を察知するAIロボットのほか、室内に体調を把握するセンサーも設置。異常があればロボットを通じて看護師が声を掛けることもでき、自宅にいながら質の高い見守りサービスを受けられる体制を構築できるという。福岡市で12月に始め、機能を追加しながら、来春以降順次エリアを拡大する。
最新技術を活用して看護師が自宅でコールセンター業務を行える仕組みを導入するといった働き方改革の構想も温める。「住み慣れた自宅で家族と過ごしたいとの思いをかなえたい」と確かな需要に手応えを感じている。
× ×
あおき・ひとみ 九州大医療技術短期大学部卒業後、九州大病院などを経て16年に現在のワーコンを創業。52歳。
※在宅医療
厚生労働省は、増大する医療費の抑制を図るため、2025年までに全国の病院ベッド数を削減する方針。患者30万人程度の受け皿が必要となることから、在宅医療の体制整備が急務となっている。訪問看護師や地域のかかりつけ医による往診などで在宅患者を支える仕組みだが、医療従事者の不足に加え、夜間や休日に及ぶ勤務の負担軽減が課題だ。