防げ受動喫煙 小さな街でも条例効果 脳卒中抑制も
喫煙者の周りの人がたばこの煙を吸い込む受動喫煙を防ぐため、罰則つきで規制する改正健康増進法が4月に全面施行した。多くの人が使う施設は原則禁煙。屋内で喫煙できる場所は大きく制限される。喫煙室を認めるなど「抜け穴」は多いが、熱心な自治体は独自の条例で対策をさらに進めようと動き出している。今週は5月31日の世界禁煙デーから始まる禁煙週間。
条例で先行 北海道美唄市
人口約2万1千人の北海道美唄(びばい)市は4月、学校や公園、児童福祉施設の敷地100メートル以内で受動喫煙させないよう求めた。3月までは子どもが登下校時に使う校門から100メートル以内の路上や公園が対象だったが、条例を改正して広げた。歩行中や自転車走行中も、屋外の公共の場所で喫煙しないよう努めることとした。
市が条例をつくって受動喫煙対策を始めたのは2016年7月。学校や病院、公共施設は努力義務で原則禁煙とし、事業所や店舗の一部も禁煙や分煙に努めるとした。影響は、飲食店や事務所への調査で見て取れる。受動喫煙を防ぐ対策をしている事業所は昨年の調査で78%。条例施行の前年から30ポイント増えた。
「条例ができて、受動喫煙という言葉が当たり前のように知られるようになった。健康被害への理解も増し、受動喫煙を不快に感じる市民が増えている」と日本禁煙学会評議員の井門明・市医師会長は話す。「街の中で歩きたばこをする人も見なくなった。街の規模が小さいこともあるが、罰則がないから守らなくていいとは受けとめられていない」
井門さんは市、旭川医科大の西條泰明教授(公衆衛生学)と、施行前後のそれぞれ2年間で、心臓を動かす筋肉に血液が十分届かなくなる急性心筋梗塞(こうそく)と、脳卒中の発症数を調査。月平均の入院数が、近隣地域と比べて有意に抑えられていることがわかった。