小学校が市PTA協議会と対立 背景に任意のはずの保険
さいたま市PTA協議会(岡野育広会長、市P協)を退会した同市立浦和別所小学校PTA(同市南区)の澤口博会長を、南区の約半数の小中学校PTAが支持して、市P協との対立が続いている。浦和別所小Pはなぜ退会まで進んだのか。PTA活動の課題を探った。
5月の同小Pの総会で、退会理由の筆頭にあがったのは「児童・生徒ワイド補償制度」の保険だった。損害保険会社が提供する「団体保険」だが、販売窓口である市P協が、各学校の入学説明会などの際に、保護者にDVDを見せるなどの説明の機会を設けるよう求めるという。
市P協の決算によると、保険料収入は2015年度の約8千万円から毎年増え、19年度は4割増の1億1千万円超になった。保険会社が市P協に払う「事務手数料」も同期間に約440万円から約600万円に増えた。市P協は別途、制度運営のための「制度維持費」を集めるが、19年度に1契約当たり100円から200円に「値上げ」し、前年の約168万円が約313万円に増えた。
保険会社によると、事務手数料はまとまった加入者がいる窓口の団体に支払われるもので、保険料の5%相当は一般的だという。一方、制度維持費は団体が常識的な範囲で決められるとしている。
こうした収入から人件費や通信費などの諸費用を引いた約190万円が、事業費などをまかなう「一般会計」に繰り入れられた。
澤口会長は「保険はPTAの本来の目的とは関係ないし、特定の保険会社の商品を扱う理由もわからない。PTAをビジネスに利用するべきではない」と批判する。市P協にはファクスと電子メールで取材を申し込んだが、10日現在、回答がない。