検査してもいないのに…受託業者から「全員陰性」の通知「頼んで大丈夫か心配になる」
神奈川県が新型コロナウイルス対策として、福祉施設職員らに実施している集中検査を巡り、一部の受託業者が、検査をしていない施設に対して「全員陰性」と通知するなどしていたことが分かった。19日の県議会厚生常任委員会で自民党県議が指摘し、県は事実関係を調査する方針を示した。
集中検査は、重症化リスクの高い高齢者や障害者と接する施設職員らを対象としており、県は今年度補正予算に民間4業者への委託費など32億4000万円を計上している。これまでに延べ約2500施設9万4000人に検査が行われたという。
県内のある高齢者施設の施設長によると、2月下旬に突然、職員約200人分の検査キットが送られてきた。業者側に「申し込んでいない」と連絡し、不使用のままキットを返送したが、翌日に「全員陰性でした」との〈結果〉がメールで届いたという。
この業者は読売新聞の取材に、「県や多くの施設とやりとりするなかで混乱があった。当該施設にはすぐに訂正、謝罪をし、県にも報告した。再発防止に努めたい」と説明した。
施設長は「利用者と職員の安心を担保するのが目的なのに、検査を頼んで大丈夫なのかと心配になる」と訴えた。
厚生常任委で県医療危機対策本部室の篠原仙一室長は「事実であればかなり重大な問題。早急に調査する」と答弁した。