島根県は2月10日、2021年度当初予算案を発表した。一般会計の当初予算額は4670億円で前年度比1.7%減(80億円減)となるが、前年度2月補正予算をあわせた総額は4944億円となり、前年度比1.3%増(62億円増)となった。
予算は四つの柱として『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策』『人口減少に打ち勝つための総合戦略の推進』『生活を支えるサービスの充実』『安全安心な県土づくり』を掲げており、COVID-19対策と「島根創生」推進の両立を図る予算編成となっている。なお、COVID-19対策には147億円が充てられており、国の補正予算および当初予算を活用し、前年度2月補正予算を組み込むことで切れ目のない財政運営を行うこととしている。
医療の推進を担う健康福祉部医療政策課における予算のうち、COVID-19対策においては、「感染症入院患者等病床確保事業」に35億1816万円を充てる。COVID-19患者等を受け入れる医療機関において、入院用の病床をあらかじめ確保してもらうための空床確保料や、病床を確保する際に感染防止対策などによりやむを得ず病床を休止するための費用などを助成する。
また、「無症状者等の療養体制確保事業」として7億9786万円を計上している。COVID-19の無症状者・軽症者の療養施設を民間ホテル等で確保するとともに、専用のプレハブ施設を整備し、療養者の受け入れを実施。クラスターの発生などで患者の増加が見込まれる場合に、医療のひっ迫につながらないよう対策を講じる。「感染症患者の入院医療費公費負担事業」には1111万円。COVID-19患者の入院医療費について、医療保険適用後の自己負担分を公費で負担する。ほかにも、COVID-19により、養育者が入院等で不在となった児童等を一時的に養護するための受け入れ施設を確保する「入院患者家族等支援事業」には、1036万円を充当する。
健康福祉部の予算のうち、島根県の医療従事者に対する支援事業としては以下のようなものがある。
■医療従事者の宿泊施設確保事業:3713万円
COVID-19患者の対応にあたる医療従事者の宿泊施設確保にかかる経費を助成する。
■医療従事者への危険手当補助事業:4500万円
COVID-19患者の治療等に従事した医療従事者へ手当を支給した医療機関に対して、手当の一部を助成する。
■医療従事者PCR検査実施事業:740万円
医療体制維持のため、COVID-19患者が入院する医療機関の医療従事者に対し、定期的なPCR検査等を実施する。
■看護職員等研修事業(新規):1662万円
COVID-19の拡大に伴い、負荷が増加している看護師の負担軽減や看護体制の維持・強化のため、看護職員等を対象とした研修を実施する。
また、予算の4つの柱のひとつである『生活を支えるサービスの充実』では、前年度に引き続き保険・医療・介護を充実させるとともに、生きがいをもって安心して暮らせる地域共生社会づくりを推進する。
医師や看護師の不足が懸念される中においては、医療確保対策を含む「医療介護総合確保推進事業」(医療分)に15億5960万円を計上し、引き続き地域医療を支えるマンパワー確保への取り組みを続ける。また、新規の取り組みとして、勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備を支援する。
「地域医療を支える医師確保養成対策事業」では11億6087万円を計上。人口減少が著しい中山間地域・離島および産科、小児科等の特定診療科における深刻な医師不足に対応するための医師確保養成対策を実施する。
「看護職員等確保対策事業」では6億8964万円を計上。必要な医療提供体制を確保するため看護職員の確保対策を実施する。