無症状感染にも予防効果、 イスラエル大規模接種で 見えてきた終息への希望
2021年3月1日(月)MITテクノロジーレビューが入手したイスラエル保健省とファイザーの報告書によると、新型コロナ・ワクチンは現実世界でも感染を大幅に抑制できることが分かった。全人口の3割が接種済みのイスラエルは、世界で最初に集団免疫を獲得する国になる可能性がある。
イスラエル保健省とファイザーが共同で作成した未発表の科学報告書によると、ファイザーの新型コロナウイルス・ワクチンは90%近くの感染を防ぎ、イスラエルは3月までに集団免疫に近づく可能性がある。
イスラエルにおける数十万人分の健康記録に基づくこの研究は、ファイザーのワクチンが新型コロナウイルスの感染を大幅に抑制する可能性を示している。「ワクチンを積極的に投与することで、パンデミック(世界的な流行)を有効に抑えられます。ワクチン接種プログラムが他の国々でも増えてくれば、最終的にパンデミックを制御できる希望が見えてきます」と執筆者は述べている。
イスラエル全土を対象としたこの研究は、イスラエルのニュースサイト「Yネット(Ynet)」が2月18日に報じ、MITテクノロジーレビューも報告書のコピーを入手した。
この調査結果が重要なのは、イスラエルが世界に先駆けて国民にワクチン接種を実施しているからだ。いまやイスラエルは、ワクチンがパンデミックを終結できるかを知るための現実の実験場になっている。
現在までにイスラエルにおける全人口の32%がワクチン接種を完了しており、全員がファイザーのワクチンを接種している。新型コロナウイルス・ワクチンの接種率は、現時点で世界一だ。
この報告書は、ファイザーのワクチンが新型コロナウイルス感染症の発症と死亡を93%以上減らせることを裏付けている。そして、無症状を含むほとんどの感染をワクチンで防ぎ得るという、最初の大規模なエビデンスを提供するものだ。