悔やまれるPCR検査の遅れ「本当に出勤していいんですか」- 永寿総合病院看護部幹部に聞く
――当時、「こうすれば、もっとより良く対応できたのではないか」というものはありますか。
武田 それはただ一つです。「あの時、もう少しPCR検査の基準を緩めてくれたら……」という思いは、今でも強くあります。
けれども、あの当時、ものすごくPCR検査のハードルが高かった。「37.5℃以上の熱が4日間以上継続」のほか、中国の帰国者との接触歴なども問われた。
高野 武田さんも当時「おかしい」「おかしい」と言っており、私もスタッフから、「熱の出方がおかしいと相談しても、PCR検査はできないと言われました。本当に出勤していいんですか」との問い合わせを結構受けました。「これは絶対にインフルエンザではない」と思っていても、検査ができない状況だったのです。
武田 本人たちに話を聞くと、「こんなに長引く頭痛は初めてだった」「今まで感じたことがないくらいだるかった」といった自覚症状がありました。けれども、「新型コロナ陽性」と確認されていないので、インフルエンザと同じ扱いで熱が下がって48時間経てば、出勤が可能だった。世間でも新型コロナの流行が言われており、「自分もかかっているのではないか」という思いが本人たちにはあり、自分で保健所に問い合わせたスタッフもいました。それでもPCR検査の対象にならなかった。