ワクチン接種、郡山で電話相次ぎ診療に影響「通常業務にしわ寄せ」
全国的に65歳以上の高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種が本格化する中、10日の県内では予約が殺到してトラブルや混乱があった。個別接種の受け付けが始まった郡山市の診療所では相次ぐ電話で通常診療に影響が出るなど、課題が浮き彫りとなった。
130カ所の診療所などで高齢者向け個別接種の予約受け付けが始まり、診察開始から電話が鳴り響いた。
小児科の菊池医院では午前中、事務員が電話の前に付きっきりだった。普段のかかりつけ医では接種できない人からの問い合わせが多く、基礎疾患などの確認に時間を要したという。「事務的な負担が重く、通常業務にしわ寄せが出ている」。菊池信太郎院長はため息をついた。さくまファミリークリニックでは電話に加え、独自にホームページでも受け付けたが、電話予約290件に対し、ネット予約はわずか2件だった。
市は個別接種を行う医療機関をホームページで公表しているが、予約開始時期が決まっていない施設も含まれる。このため、予約を始めていない施設にも電話が相次いだ。
ある病院には普段だと考えられない数の電話があり、担当者は「小さなクリニックは対応し切れないのでは」と心配する。市には個別接種会場の医療機関から「電話が殺到している」との声が複数寄せられたが、担当者は「市が各医療機関の予約開始時期まで把握するのは難しい」としている。
高齢者のワクチン接種計画 新型コロナウイルス感染で重症化のリスクが高いとして、一般住民のうち、約3600万人いる65歳以上を優先対象に4月12日からワクチン接種を始めた。政府は6月末までに、米ファイザーのワクチンを約5000万人分調達し、全高齢者分を各市区町村に配送する計画を明らかにしている。当初、接種の開始時期を3月下旬と想定していた。ワクチンの供給不足などで時期がずれ込んだ。政府は7月末までに希望者全員の接種を終えたい意向を示している。