ワクチン開発司令塔を設置 実用化まで国内で迅速に
内閣府は22日、国のワクチン開発の戦略を決める司令塔となる「先進的研究開発戦略センター」を設置した。感染症の大流行が起きた際に、国内でワクチンの開発から実用化まで迅速に進められる体制をつくるのが目標。国内外から最新の研究に関する情報を集めつつ、研究機関や企業の開発を支援する。
まずは新型コロナウイルスを含めた「コロナウイルス感染症」を対象とした開発を優先。その他の重視すべき感染症は、厚生労働省で議論しており2021年度中に決まる見通し。
新型コロナでは、欧米の企業が「メッセンジャーRNA」という新技術を使ったワクチンを早期に実用化した。一方で、国産ワクチンは出遅れている。ワクチンは医薬品の中でも開発費用や大規模な臨床試験の実施など困難が多く、企業が投資をためらってしまう。政府は、平時から開発や生産体制の整備を支援する仕組みが必要と考えた。
同センターは英語表記の頭文字からSCARDA(スカーダ)と呼ばれ、日本医療研究開発機構(AMED)の中に設置した。主要な開発拠点の整備に21年度補正予算から515億円を充てる。重点的に対応すべき感染症向けのワクチンや、関連する新技術を生み出す取り組みの支援には1504億円を充て、研究機関や企業から公募をして選んだテーマに最長5年間、予算を配分する。
また、国内外の情報を集め、各省庁とも連携しながら優れたワクチンを作るための戦略を策定する。