弥栄の地域医療を支えた前診療所長に県が感謝状
高齢化が進む浜田市弥栄町で、25年半にわたり地域医療を支えた市国民健康保険弥栄診療所の阿部顕治前所長(65)が7日、県の感謝状を受けた。限られたマンパワーで市民の健康を守るため、複数の医師で市内の診療所をカバーし合う仕組みを作り、若手医師の育成にも力を入れた。
阿部前所長は1996年10月に市町村合併前の旧弥栄村の診療所に赴任し、今年3月まで勤務。2005年の合併時には、計5人の医師で市内に点在する4カ所の診療所の診察を担当する「診療所連合体」の結成に尽力。市中心部から離れた地域住民への医療提供と、医師の休暇取得を両立する体制を構築した。
高齢化が進行する地域ならではの課題に目を向ける医師を育てようと、医学部生や研修医の医療実習を積極的に受け入れた。4月以降も市参与として医師教育や診療所支援に取り組む。
県庁で感謝状を受けた阿部前所長は「いろんな人に支えてもらったおかげだ」と感謝。赴任前に30%台だった弥栄町の高齢化率は50%を越えており「地域課題を踏まえて必要なことを考えられる医師が必要。そんな人材を育てる体制をつくってほしい」と求めた。
表彰制度は中山間地域や離島に長年勤務した医療関係者を対象に、県が本年度創設した。