心不全の治療装置導入 島根県立中央病院 心臓にポンプ、患者負担少ない
2022年9月29日 (木)配信山陰中央新報
島根県立中央病院(出雲市姫原4丁目)が急性心筋梗塞などによる重症心不全の治療装置「IMPELLA(インペラ)」を県内で初めて導入する。心臓にポンプ付きのカテーテルを通し、ポンプを作動させて血液を全身に送る仕組み。従来より心臓への負担が少ない。職員研修を経て年内に使い始める。
急性心筋梗塞、劇症型心筋炎などで全身に十分な血液が送れなくなり、死亡率が70~80%と高い「心原性ショック」は、薬物治療で効果がない場合、心臓の動きを補助する装置を使って治療する。
従来、中央病院で使用されてきたバルーン型のカテーテル(IABP)は心臓に圧力をかける。もう一つの人工心肺装置(エクモ)は大腿(だいたい)動脈から全身に血液を送る仕組みで、本来の血流と逆行。ともに心臓への負担が大きい。
インペラは足の付け根の大腿動脈から心臓の左心室にカテーテルを通し、動かなくなった心臓の代わりに血液を全身に送る。ポンプの作動により心臓を休ませて負担を減らし、救命率の向上、術後の早期の機能回復が期待できる。
年100件の心臓血管手術を行う同病院ではIABPやエクモの治療実績からインペラの使用認定基準を満たした。既に導入している鳥取大医学部付属病院(米子市西町)との連携も進める。小田強医療局長は「心臓への負担を軽減し、早期に心機能を回復させることで後遺症が残りにくくなる。患者が社会復帰しやすい治療につなげたい」と話した