市町村別の感染状況把握を 全数把握簡略化で知事会
全国知事会の作業部会は16日、新型コロナウイルス感染者の全数把握の簡略化を先行実施した6県の状況に関する報告書を公表した。簡略化が26日から全国一律で適用されるのを前に、市町村別の感染状況を把握できる仕組みが必要だと指摘。20日に山際大志郎経済再生担当相と意見交換する。
報告書は、9日までに実施した6県の状況をまとめた。うち三重県では全ての感染者の居住市町を報告させているが、国は高齢者や基礎疾患のある人を除き、年代しか求めていない。そのため市町村ごとの感染動向が分からず「地域によっては、実態に即した対応の遅れにつながる可能性がある」と訴えた。
旅行などで県外から来た人の陽性が判明した場合、報告手続きに混乱が生じているとも強調。県をまたぐ感染者に関する統一ルール策定も求めた。
上皇さま、白内障手術 東大病院、25日も
上皇さまは19日、左目の白内障手術を受けるため、東大病院(東京都文京区)を訪問された。宮内庁によると、手術は無事終わった。25日には右目の白内障と緑内障の手術を受ける予定。
宮内庁によると、上皇さまはこれまでの健康診断で白内障の所見である水晶体の濁りが確認されていた。小さな字が読みづらそうな様子で、侍医の判断で手術を決めた。
この日午前9時半ごろに病院に入った。その後、上皇后美智子さまが別の車で付き添いに訪れた。ご夫妻は正午ごろ、一緒に病院を後にし、上皇さまは眼帯をしていた。
右目の緑内障は、検査で所見がみられ、併せて手術することにした。これまでは点眼治療をしていた。
上皇さまは7月には、右心房と右心室の間にある血液の逆流を防ぐための弁が十分に閉じない「三尖(さんせん)弁閉鎖不全」による右心不全と診断された。
看護職の一部賃上げ「不公平」 道内有志がSNSで訴え 政府措置の対象は救急医療など3分の1
看護職の一部を対象にした政府の賃上げ措置を巡り、道内の医療現場から「不公平だ」との批判が上がっている。新型コロナウイルス感染者を扱う救急対応の医療機関で働く人に限定され、看護職全体の3分の1しか恩恵を受けられないためだ。道内の看護師有志は18日に交流サイト(SNS)を活用して呼び掛けを行い、全ての看護職の賃上げを求めて機運を高める。
看護師や保健師ら看護職の賃上げは、介護職や保育士、幼稚園教諭らと併せた処遇改善策として昨年11月に決まった。今年2月分から看護師の平均月収の1%程度(4千円相当)を引き上げ、10月分からはさらに3%程度(1万2千円相当)を増額する。
ただ賃上げの対象は、年200件以上の救急搬送を受け入れている医療機関や救命救急センターで働いている人に限られる。厚生労働省によると、全国の看護職約165万人のうち約61万人にとどまるという。
【コロナ詳報】島根で171人感染、鳥取で144人 2人死亡 医療機関などでクラスター 19日
島根県と鳥取県は19日、171人、144人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。いずれも18日確認分。島根で1人、鳥取で80代1人の感染者が死亡した。鳥取の死者の死因はコロナ以外の疾患。累計死者数は島根92人、鳥取71人となった。島根で2件、鳥取で3件のクラスター(感染者集団)が発生した。
島根県の居住地別内訳は、出雲市75人、松江市36人、益田市12人、江津市10人、海士町8人、浜田市と邑南町各6人、大田市4人、安来市と吉賀町各3人、雲南市2人、奥出雲町と隠岐の島町各1人、県外3人、調査中1人。
クラスターは松江市内の医療機関で5人、益田保健所管内(益田市、鹿足郡)の高齢者福祉施設で7人が感染。累計は628件。
鳥取県の保健所管内別は、鳥取市103人、米子26人、倉吉15人。
クラスターは鳥取市立さつき保育園で8人、米子市の淀江小学校で12人、私立高校で11人が感染。累計は421件。
累計感染者数は島根7万9584人、鳥取6万495人。19日午前0時時点の確保病床使用率は島根(371床)24・3%、鳥取(351床)32・2%。宿泊療養は島根9人、鳥取30人。自宅療養は島根2169人、鳥取は全数把握していない。重症者は島根1人、鳥取はいない。
(片山皓平)
県内 低体重児11% 19年 40年超ほぼワースト 県「体形、喫煙要因か」
2019年に沖縄県内で生まれた子どものうち、体重2500グラム未満の低出生体重児の割合が全体の11・2%に上り、全国1位であることが17日までに分かった。低体重児の割合は1975年から40年以上にわたって全国1~2位の高さで推移、97年以降は県内で生まれた子どもの1割を占めている。
低出生体重児の中でも体重千グラム未満を「超低出生体重児」、千グラム~1500グラム未満を「極低出生体重児」、1500グラム~2500グラム未満を「低出生体重児」と呼ぶ。
2019年に県内で生まれた低出生体重児は1662人。地域別に見ると中部保健所管内が608人で最も多く、南部保健所管内が521人、那覇市保健所管内が305人と続く。
県が2017年に出した低出生体重児の要因分析では、37週未満の出生や妊娠前の体格指数(BMI)が18・5未満とやせ型であること、妊娠中の喫煙、低身長の妊婦で、低体重児が生まれる割合が高いことが分かっている。
県は分析の中で長年低体重児が一定数生まれていることについて「長期にわたって解決できない課題」との認識を示している。県地域保健課の担当者は「体形や喫煙などが要因の場合は保健指導をすることで改善が見込める」と対応の余地があるとしている。
一方で、母体への医療的な介入が必要で、低体重児が生まれることもある。2018年度に厚生労働省の事業の一環でまとめられた「低出生体重児保健指導マニュアル」では、母体側に妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剥離、子宮頸管無力症、前置胎盤などの問題がある時や、多胎妊娠、胎児発育不全などにより、早く出産し子どもを治療したほうが良い場合などが上げられている。
(嶋岡すみれ)
新型コロナ「第8波」に備え、接種加速へ…インフルと同時流行想定・来月にも対応策
政府は早ければ今冬に新型コロナウイルス流行の「第8波」が予想されるとして、10月にも対応策を取りまとめる。今年は季節性インフルエンザの感染拡大も懸念されており、コロナとの同時流行も想定した医療提供体制の構築を急ぐ考えだ。変異株「オミクロン株」対応のワクチン接種加速も対策の柱となる。
加藤厚生労働相は18日のフジテレビの番組で、「これまで年末から年始にかけて感染が増えてきた。次があることを十分に想定しないといけない」と述べ、第8波対策を急ぐ考えを示した。16日の政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)では、第7波までの経験を踏まえた新たな対策の議論を始めた。
第8波対策の特徴となるのは、インフルエンザとの同時流行を念頭に置く点だ。検査するまではどちらに感染しているか不明なケースも想定され、コロナ患者を診断する発熱外来の混雑や混乱をどう抑制するかが課題となる。高齢者を中心にインフルエンザの重症患者が増えれば、コロナと病床を分けつつ数を確保する必要にも迫られる。
厚労省は主に重症化の恐れがある高齢者を対象に、新型コロナとインフルエンザのワクチンの同時接種に向けた体制づくりも進めることにしている。
新型コロナの感染や重症化の予防のカギを握るのが、オミクロン株対応の新ワクチンの普及だ。20日から接種が順次、始まる。
ただ、高齢者の3回目のワクチン接種率が9割を超えているのに対して、全体では65%にとどまっている。政府は新ワクチンの効果を説明し、若者の接種促進を図る方針だ。
また、これまでの感染拡大時には、コロナ患者を多く受け入れる医療機関がある一方で、ほとんど受け入れない医療機関もあるという課題が残った。
政府が秋の臨時国会で目指す感染症法などの改正が実現すれば、比較的大規模の病院は病床確保や訪問診療などの医療提供が義務化される。
ただ、義務化規定の施行は来年以降の見込みで、医療提供の内容も事前に都道府県と医療機関が結ぶ協定次第の面がある。さらに、多くを占める中規模以下の医療機関は法改正後も、医療提供の義務を負わない。
このため、政府は当面は現行法で可能な範囲で医療機関に協力を要請し、第8波が第7波以上の感染拡大となった場合も医療逼迫(ひっぱく)を防ぎたい考えだ。