<新型コロナ>4人に1人が後遺症...8、9割が脱毛の悩み 後遺症外来の越谷の病院「悩まずに相談を」
新型コロナウイルスに感染し、後遺症で悩む人が後を絶たない。国立国際医療研究センターの報告では、発症半年が経過後、約4人に1人が何らかの症状が残り、軽症者でも後遺症の長引くケースがあるとしている。埼玉県は県内7医療機関を後遺症外来に指定し、4月以降は100程度の医療機関に拡充する。順天堂越谷病院(越谷市袋山)は昨年10月から、コロナ後遺症外来を始めた。脳神経内科専門の頼高朝子副院長に取り組みについて聞いた。
―県の取り組みとの違いは。
頼高副院長 メンタルクリニックや脳神経内科、皮膚科もあり、各科で乗り合わせての治療対応ができると思い、始めた。県の取り組みと大きな違いはない。脳神経内科外来ブースの隣で皮膚科をやっているなど、横のつながりというか、お互いに分からない点を気軽に相談し合うことができる。現在は皮膚科と脳神経内科の患者さんがほとんど。うつ的になっている人も出現し、メンタル科でもわずかながら拝見している。
―受診の流れは。
頼高副院長 かかりつけ医で紹介を受けて、患者さんの一番困っていることが何かによって第一歩の科が決まる。一番つらいことを(分かりやすくするため)ポイント制にして、症状ごとに振り分けて、それぞれの科で対応する。
―主な患者の症状は。
頼高副院長 患者さんの中で圧倒的に多いのは脱毛の悩み。8、9割くらいを占め、年齢層は10~50代(3月末現在)。20代の中には「学校へ行きたくない」「抜け毛がひどいので、早く見てもらいたい」など切実な訴えもある。皮膚科の先生によると原因は皮膚の血流が落ちること。休止期脱毛と呼ばれ、妊娠期と同じような感じ。後遺症の脱毛は(コロナ発症後)2~3カ月後に出現し、途中から脱毛のスピードが加速するらしい。早い人では1カ月ぐらい、時間がかかっても8カ月後には徐々に良くなるのではないかと。
―その以外の症状は。
頼高副院長 次に多いのはだるさや記憶障害、集中力がない、やる気が出ないなど。脳神経内科に来られる患者さんは症状が本当にさまざま。
―どのようなことを行うのか。
頼高副院長 神経症状がないかをチェックして、味覚や嗅覚が落ちていることが多かったり免疫が異常であることがあるので、血液検査を行い、MRIと脳血流シンチグラフィーで脳に病変が起こってないかを見る。
―ワクチンの後遺症もあるのか。
頼高副院長 手足のしびれや手が勝手に動いてしまう不随意運動などの症状の方もいらっしゃる。ワクチンも後遺症がないわけではない。血小板が下がると(通常は)血が固まりにくくなるが、逆に固まりやすくなり、脳梗塞症状を起こす場合もある。しびれに関しては末梢(まっしょう)神経の障害が出ているかを調べる。患者さんは(ワクチン2回接種後の)8月や秋ごろから訪れ始め、40代くらいの人が多い。(当院が)後遺症外来を開始したため、相談してくれるようになったのだと思う。
―コロナ後遺症で悩む人へアドバイスを。
頼高副院長 悩まずに一回とにかく受診してほしい。たとえ治療法がないとしても、受診して異常がないことをチェックすることも大事。こちらから必要な情報も提供できると思うので、ご相談を。