温泉クンの旅日記

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オリーブのガーリック・ピラフ

2009-02-22 | 食べある記
  <オリーブのガーリック・ピラフ>

 旅をする、それ自体が贅沢なことだから、メシにはできるだけ金をかけないこと
にしている。
 だから、どうしても手打ちの笊蕎麦やうどんが多いのだが、海岸線を走るとどう
しても魚介類でちょっと贅沢をしてしまう。 

 最近、ナポリタンとかサンドイッチとかピラフなどの軽食を食べさせる喫茶店を
とんとみかけない。とくに旅先ではそう思う。



 伊豆半島の帰り道、いつも食べたくなってしまうのが喫茶店「オリーブ」の
ガーリック・ピラフだ。
 横文字だと大層に聞こえるが、なあに平たく言えばただの焼き飯である。どう
みても自宅でつくる焼き飯で、ニンニクのスライスがはいっているだけが違うくら
い。



 ところが、ところがである。これが絶妙至極に旨いのだ。
 旅は「非日常」であり、家の残りごはんでつくれる焼き飯は「日常」そのもので
ある。旅の帰り、非日常から日常に戻る簡単な儀式にはふさわしい。

 喫茶店「オリーブ」は、中伊豆の月ヶ瀬温泉のほど近くにある。女性のスタッフ
だけで営業している、十名ちょっとでいっぱいになってしまう小さな喫茶店だ。
 常連のお客さんは、近所の温泉病院の入院患者や、慶応大学の施設があるところ
から大学生が多いようだ。



 珈琲とカレーライスがイチ押しのメニューで、わたしも最初はそうしていたのだ
がある日ガーリックピラフというメニューに食指がわいて、試したら、これがハマ
ッたのである。
 それ以来、伊豆からの帰り道には月ヶ瀬温泉あたりでガーリック・ピラフが食べ
られそうなくらいの、腹状態を調整するようになった。



 わたしがここを訪れるのは、年に一回か二回である。
 前回訪れたときは「本日休業」で、ひどくガッカリしたものだ。この店は休業日
が多いのと、営業時間が短いのである。

 今回、駐車場に車が数台あるのをみて「ヤッタァ、今日はやってるぜ」と車を
駐車場にいれるや、「ガーリック・ピラフ、ガーリック・ピラフ・・・」と呪文の
ように呟きながら、店に走ったものだ。

「ぐわわわあーん!」



 なんと「本日、貸し切り」の掲示が入り口ドアの脇にあるのをみて、思わず
ギャグ漫画ふうに大声で叫んでしまった。まったくもって「オーマイガアーッド」
である。覗くと、たしかに大学生から中学生くらいの若者たちが十数名盛り上がっ
ていた。

 打ちひしがれて肩を落としてトボトボと車に戻り、エンジンをかけたところで、
車の窓ガラスのところに女性が現れた。

「あのぉ・・・、もしカウンターの席でよければ狭いですがどうぞお寄りくださ
い」

 なんと、ありがたい。どうやら、わたしの叫びを聞いたお客が厨房のスタッフに
気を利かせて御注進してくれたのが真相のようである。
 店にはいって、一瞬静まった若者たちに目礼をしながらカウンター席にすわると
「ガーリック・ピラフを」と注文し、煙草に火をつけ、ひたすら盛り上がった雰囲
気を壊さぬことに気を使う。



 カウンターの席でガーリック・ピラフを一気に平らげたわたしが、帰りに若者た
ちにお礼を申しあげたのは言うまでもないことだ。
 


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