<読んだ本 2015年4月>
わたしは首(頸椎)、腰、膝に爆弾を抱えていて、時にそれが炸裂する。予兆なしで。
今月のある日曜日の朝に起きたら、右膝に激痛が走った。
六、七年前にも経験した馴染みがある痛みである。いわゆる膝に水が溜まったのだ。前のときにはパンパンに膨れ上がっていて、痛すぎてピクリとも動かせず、病院に行ったら心の準備も一切ないままいきなり、麻酔なしで馬に打つような注射器を突き刺され溜まった水を抜かれた。膝の水も痛いが、注射器も失神するくらい痛かった。
今回の膝の膨れ具合は半分くらいで、痛みを堪えて足を引きずればなんとか歩けそうである。病院へいって注射器を突きたてられるのも厭なので、自力で治すことに決めた。
日曜、月曜と冷たい湿布を都合三回して、月曜の夜から温湿布に切り替えた。ついでに風呂の湯船の中で、「散れ、散れ」と念をこめて、溜まった水を散らすように右膝あたりのマッサージも始めたのである。
月曜から水曜までは階段系はまるで無理なので、駅とかでもエスカレーターとかエレベーターを使わざるを得なかった。
木曜あたりからマッサージと温湿布の効果が徐々にあらわれて、金曜ごろから快方に向かい日曜には完治したのである。
ある日突然、膝に水が溜まる原因は不明らしく、前回の病院では、「まっ、加齢でしょう」と情無用一刀両断のご託宣でこちとらはぐうの音も出なかった。
もしも同病に遭われたときには、ぜひ参考にしていただきたい。
足が不自由だから職場のビルのコンビニの昼食ばかり食べたのだが、さすがに飽きて雨の日、崎陽軒の弁当「横濱チャーハン」にしてみた。
一月に「おべんとう冬」、二月に「おべんとう春」、「いなり寿司」、「しょうが焼弁当」と食べたのだが、一番「ん?」という感じである。
朝、駅で買ったときには温かかったのだが昼まではもたない。駅弁に電子レンジは似合わない。やはりチャーハンは出来たてのをなるべく早く食べたほうがよろしいようだ。
ぼけーとコマーシャルをみていたら、なんと「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」の金言を使っていた。憎いね。
作家の井上靖の言葉だが、なんとも味わい深い。不満だけではなく声高に「権利」も語る人も周りを見渡せばなんと多いこと。
さてと、4月に読んだ本ですが、今月は低調の6冊、累積で26冊です。
1. ○奨金狩り 夏目影二郎始末旅(十四) 佐伯泰英 光文社文庫
2.○神君狩り 夏目影二郎始末旅(十五) 佐伯泰英 光文社文庫
3. ○関所破り定次郎目籠のお練り 佐藤雅美 文芸春秋
4. ○黒の狙撃者 ジャック・ヒギンズ ハヤカワ文庫
5. ○願かけ 新・酔いどれ小藤次二 佐伯泰英 文春文庫
6. ◎ゴースト・スナイパーズ ジェフリー・ディーヴァー 文芸春秋
やっぱり「リンカーン・ライムシリーズ」は掛け値なしに面白い。
会話のいたるところにライムの明晰な頭脳が現れるが、その断片を二つばかり書き抜いておこう。
密告時に、珈琲チェーンを利用した観光客が写した写真に偶然に写りこんでいる謎の密告者らしい画像が手に入った。
『ライムは写真を見ながら言った。「スーツのサイズが合っていない。安ものだな。
それにテーブルに甘味料のパックがある。スプーンもだ。間違いないな、これが密告者だ」
「どうしてわかる?」セリットーが訊いた。「俺だってカロリーゼロの甘味料を使うぞ」
「決めては甘味料そのものではない。テーブルにあるという事実だよ。たいがいの客は
ミルクステーションで砂糖や甘味料を加えて、空のパックはそこで捨てる。かき混ぜ用のスプーンもだ。
そうすればテーブルによけいなものを持っていかずにすむ。ところがこの男は、ごみを持ち帰るつもりでいるらしい。
指紋が付着したものを置いていきたくないからだ」
食事をする場所では、紙を含め、多くの物体に鮮明な指紋が残る。食品に含まれる脂が指に移るせいだ。』
ライムは手術による四肢麻痺からの改善より、自分の現在の頭脳を選択する。
『トムが言った。「つまり、今後はいっさい手術は受けないないという話ですか」
「そうだ、あの映画のセリフは何といった? ほら、きみに無理やり見せられた映画があったろう?
あれはなかなかおもしろかった。当時は素直に認めなかったかもしれないが」
「どの映画です?」
「刑事物だ。かなり古い。主人公がこんなようなことを言う。“人間は己の限界をわきまえなければならない”」
「クリント・イーストウッド。『ダーティーハリー2』」トムはしばらく考えてから言った。
「たしかにハリ―の言うとおりですね。でも、こうも言えますよ。“人間は己の強みを知らなくてはならない”」』
わたしはダーティハリーは十回くらいみてるのだが、2はそれほどみていない。今度テレビでやったら確認してみよう。
関所破り・・・は佐藤雅美の八州廻り桑山十兵衛シリーズの一冊である。たまに呑みにいったりする馬喰町あたりの描写がなんとなく気になった。
江戸時代、馬喰町には旅人宿という旅籠屋が多く軒を並べていて、堂社物詣(どうしゃものもうで=観光)や訴訟関係者はそこに泊った。旅籠屋はおよそ百軒あって競争がはげしく、昼でも客引き合戦をやっていたという。
『 馬喰町人の喧嘩で家を建て
馬喰町諸国の理非の寄る所
諸国からふくれた顔は馬喰町
馬喰町おさばき誉めて酒を買い
などと川柳にあるように馬喰町の宿には諸国から公事訴訟を抱えた者がやってくる。』
『 公事宿に昼夜枕がごろつかあ
公事が長引いて暇を持て余している連中が昼間っから宿にごろごろしていた。』
『 西の内をくんなはいと泣いてくる
目安などは西乃内紙という証文紙に書く。
五郎兵衛証文紙の売れる所
西乃内紙などは馬喰町一丁目の「五郎兵衛」という紙屋で売っていた。』
川柳での説明は味わい深く、実になんともわかりやすい。
→「読んだ本 2015年3月」の記事はこちら
わたしは首(頸椎)、腰、膝に爆弾を抱えていて、時にそれが炸裂する。予兆なしで。
今月のある日曜日の朝に起きたら、右膝に激痛が走った。
六、七年前にも経験した馴染みがある痛みである。いわゆる膝に水が溜まったのだ。前のときにはパンパンに膨れ上がっていて、痛すぎてピクリとも動かせず、病院に行ったら心の準備も一切ないままいきなり、麻酔なしで馬に打つような注射器を突き刺され溜まった水を抜かれた。膝の水も痛いが、注射器も失神するくらい痛かった。
今回の膝の膨れ具合は半分くらいで、痛みを堪えて足を引きずればなんとか歩けそうである。病院へいって注射器を突きたてられるのも厭なので、自力で治すことに決めた。
日曜、月曜と冷たい湿布を都合三回して、月曜の夜から温湿布に切り替えた。ついでに風呂の湯船の中で、「散れ、散れ」と念をこめて、溜まった水を散らすように右膝あたりのマッサージも始めたのである。
月曜から水曜までは階段系はまるで無理なので、駅とかでもエスカレーターとかエレベーターを使わざるを得なかった。
木曜あたりからマッサージと温湿布の効果が徐々にあらわれて、金曜ごろから快方に向かい日曜には完治したのである。
ある日突然、膝に水が溜まる原因は不明らしく、前回の病院では、「まっ、加齢でしょう」と情無用一刀両断のご託宣でこちとらはぐうの音も出なかった。
もしも同病に遭われたときには、ぜひ参考にしていただきたい。
足が不自由だから職場のビルのコンビニの昼食ばかり食べたのだが、さすがに飽きて雨の日、崎陽軒の弁当「横濱チャーハン」にしてみた。
一月に「おべんとう冬」、二月に「おべんとう春」、「いなり寿司」、「しょうが焼弁当」と食べたのだが、一番「ん?」という感じである。
朝、駅で買ったときには温かかったのだが昼まではもたない。駅弁に電子レンジは似合わない。やはりチャーハンは出来たてのをなるべく早く食べたほうがよろしいようだ。
ぼけーとコマーシャルをみていたら、なんと「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」の金言を使っていた。憎いね。
作家の井上靖の言葉だが、なんとも味わい深い。不満だけではなく声高に「権利」も語る人も周りを見渡せばなんと多いこと。
さてと、4月に読んだ本ですが、今月は低調の6冊、累積で26冊です。
1. ○奨金狩り 夏目影二郎始末旅(十四) 佐伯泰英 光文社文庫
2.○神君狩り 夏目影二郎始末旅(十五) 佐伯泰英 光文社文庫
3. ○関所破り定次郎目籠のお練り 佐藤雅美 文芸春秋
4. ○黒の狙撃者 ジャック・ヒギンズ ハヤカワ文庫
5. ○願かけ 新・酔いどれ小藤次二 佐伯泰英 文春文庫
6. ◎ゴースト・スナイパーズ ジェフリー・ディーヴァー 文芸春秋
やっぱり「リンカーン・ライムシリーズ」は掛け値なしに面白い。
会話のいたるところにライムの明晰な頭脳が現れるが、その断片を二つばかり書き抜いておこう。
密告時に、珈琲チェーンを利用した観光客が写した写真に偶然に写りこんでいる謎の密告者らしい画像が手に入った。
『ライムは写真を見ながら言った。「スーツのサイズが合っていない。安ものだな。
それにテーブルに甘味料のパックがある。スプーンもだ。間違いないな、これが密告者だ」
「どうしてわかる?」セリットーが訊いた。「俺だってカロリーゼロの甘味料を使うぞ」
「決めては甘味料そのものではない。テーブルにあるという事実だよ。たいがいの客は
ミルクステーションで砂糖や甘味料を加えて、空のパックはそこで捨てる。かき混ぜ用のスプーンもだ。
そうすればテーブルによけいなものを持っていかずにすむ。ところがこの男は、ごみを持ち帰るつもりでいるらしい。
指紋が付着したものを置いていきたくないからだ」
食事をする場所では、紙を含め、多くの物体に鮮明な指紋が残る。食品に含まれる脂が指に移るせいだ。』
ライムは手術による四肢麻痺からの改善より、自分の現在の頭脳を選択する。
『トムが言った。「つまり、今後はいっさい手術は受けないないという話ですか」
「そうだ、あの映画のセリフは何といった? ほら、きみに無理やり見せられた映画があったろう?
あれはなかなかおもしろかった。当時は素直に認めなかったかもしれないが」
「どの映画です?」
「刑事物だ。かなり古い。主人公がこんなようなことを言う。“人間は己の限界をわきまえなければならない”」
「クリント・イーストウッド。『ダーティーハリー2』」トムはしばらく考えてから言った。
「たしかにハリ―の言うとおりですね。でも、こうも言えますよ。“人間は己の強みを知らなくてはならない”」』
わたしはダーティハリーは十回くらいみてるのだが、2はそれほどみていない。今度テレビでやったら確認してみよう。
関所破り・・・は佐藤雅美の八州廻り桑山十兵衛シリーズの一冊である。たまに呑みにいったりする馬喰町あたりの描写がなんとなく気になった。
江戸時代、馬喰町には旅人宿という旅籠屋が多く軒を並べていて、堂社物詣(どうしゃものもうで=観光)や訴訟関係者はそこに泊った。旅籠屋はおよそ百軒あって競争がはげしく、昼でも客引き合戦をやっていたという。
『 馬喰町人の喧嘩で家を建て
馬喰町諸国の理非の寄る所
諸国からふくれた顔は馬喰町
馬喰町おさばき誉めて酒を買い
などと川柳にあるように馬喰町の宿には諸国から公事訴訟を抱えた者がやってくる。』
『 公事宿に昼夜枕がごろつかあ
公事が長引いて暇を持て余している連中が昼間っから宿にごろごろしていた。』
『 西の内をくんなはいと泣いてくる
目安などは西乃内紙という証文紙に書く。
五郎兵衛証文紙の売れる所
西乃内紙などは馬喰町一丁目の「五郎兵衛」という紙屋で売っていた。』
川柳での説明は味わい深く、実になんともわかりやすい。
→「読んだ本 2015年3月」の記事はこちら
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