<続・西の河原露天風呂>
目覚めると、快晴の朝だった。
小さく気合いをかけて布団から出ると、煙草に火を点ける。
時計をみると予定の時間にまだ間があるので、テレビのニュースで時間を潰すことにした。四月の中旬というのにこの朝の気温はマイナス六度、昨日の最低気温よりも低い。
よし、そろそろ行くとするか。浴衣を脱ぎ、着替えるとタオルとカメラと小銭入れを持って宿の玄関に向かう。
部屋の鍵を預けて露天風呂の割引券をもらい、靴を出してくれるのを待った。
「今朝は霜がおりていて下駄では滑りますので、どうぞ草履のほうをお使いください」
なかなか靴が出てこないので、眼の前に置いてあった下駄のほうで行こうとするわたしに大旦那がすかさず声をかけてくれる。
宿の玄関から階段を降りて、右に少しあるけばもうそこが「西の河原園地」だ。
脇を流れる小川には、涌き出した温泉がたっぷり流入しているようである。
朝の冷気のせいだろう、噴出する温泉が無数の湯気を立ち昇らせている。
さすがに平日なので、露天風呂に向かうひとは少ないようだ。
できれば、今日は最初の客になりたいものだ。そうすれば露天風呂の画像が撮れるからである。先客がいると、カメラ撮影はまずい。いままで何度もいったのだが、いつも先客が大勢いて画像が手に入らなかったのだ。
すこし急ぎ足になってしまう。
こんなところに稲荷神社があったのか。西の河原には何度も来ているのだが、いつも露天風呂のことで頭がいっぱいなのだろう気がつかなかった。
露天風呂に到着する。
料金所で入浴料を割引券を使って払い、石段を昇って脱衣室に入る。靴箱に視線を走らせると、一足の靴があった。
ということは、わたしは二人目の客か。微妙である。
露天風呂の入り口の扉を引き、池のように広い風呂を見回すがどうやら先客はいないようである。トイレに入っているのかもしれない。
これは、めったにない千載一遇のチャンスだ。靴下が濡れるのにも構わず、後ろにひとの気配を感じるまでに三枚ほど撮った。
一番客が露天風呂にいき、新客も二人ほど入ってきたので撮影はここまでとして、わたしも温泉を楽しむことに専念することにした。
手早く衣類を脱ぐと、タオルを手にガラス戸を引いた。
かなり寒い。
いつもより入念に掛け湯をしてから露天風呂に足を沈めていく。
ぬるい・・・。奥に向かって歩き、大石があるところで止まると身を沈めた。高めで、丁度いい温度である。
この大露天風呂は奥にいくほど温度が高くなっていくのだ。
奥飛騨にいくと、ここと同じように池のように大きな露天風呂が多いのだが、あまりに広すぎてどこら辺に位置取りをするのかと悩む。大石が配置されているこの露天風呂だと迷わずにすんでありがたい。なんとも、バカバカしいほどの贅沢な悩みといえる。
「あのぅ・・・、そこはぬるいので、もうすこし奥のほうにいったほうが丁度いいと思いますよ」
たっぷり温泉を楽しみ、上がり際に、更衣室を出たすぐのところで入浴しているひとに、ついついお節介なひと声をかけてしまった。
→「西の河原露天風呂」の記事はこちら
目覚めると、快晴の朝だった。
小さく気合いをかけて布団から出ると、煙草に火を点ける。
時計をみると予定の時間にまだ間があるので、テレビのニュースで時間を潰すことにした。四月の中旬というのにこの朝の気温はマイナス六度、昨日の最低気温よりも低い。
よし、そろそろ行くとするか。浴衣を脱ぎ、着替えるとタオルとカメラと小銭入れを持って宿の玄関に向かう。
部屋の鍵を預けて露天風呂の割引券をもらい、靴を出してくれるのを待った。
「今朝は霜がおりていて下駄では滑りますので、どうぞ草履のほうをお使いください」
なかなか靴が出てこないので、眼の前に置いてあった下駄のほうで行こうとするわたしに大旦那がすかさず声をかけてくれる。
宿の玄関から階段を降りて、右に少しあるけばもうそこが「西の河原園地」だ。
脇を流れる小川には、涌き出した温泉がたっぷり流入しているようである。
朝の冷気のせいだろう、噴出する温泉が無数の湯気を立ち昇らせている。
さすがに平日なので、露天風呂に向かうひとは少ないようだ。
できれば、今日は最初の客になりたいものだ。そうすれば露天風呂の画像が撮れるからである。先客がいると、カメラ撮影はまずい。いままで何度もいったのだが、いつも先客が大勢いて画像が手に入らなかったのだ。
すこし急ぎ足になってしまう。
こんなところに稲荷神社があったのか。西の河原には何度も来ているのだが、いつも露天風呂のことで頭がいっぱいなのだろう気がつかなかった。
露天風呂に到着する。
料金所で入浴料を割引券を使って払い、石段を昇って脱衣室に入る。靴箱に視線を走らせると、一足の靴があった。
ということは、わたしは二人目の客か。微妙である。
露天風呂の入り口の扉を引き、池のように広い風呂を見回すがどうやら先客はいないようである。トイレに入っているのかもしれない。
これは、めったにない千載一遇のチャンスだ。靴下が濡れるのにも構わず、後ろにひとの気配を感じるまでに三枚ほど撮った。
一番客が露天風呂にいき、新客も二人ほど入ってきたので撮影はここまでとして、わたしも温泉を楽しむことに専念することにした。
手早く衣類を脱ぐと、タオルを手にガラス戸を引いた。
かなり寒い。
いつもより入念に掛け湯をしてから露天風呂に足を沈めていく。
ぬるい・・・。奥に向かって歩き、大石があるところで止まると身を沈めた。高めで、丁度いい温度である。
この大露天風呂は奥にいくほど温度が高くなっていくのだ。
奥飛騨にいくと、ここと同じように池のように大きな露天風呂が多いのだが、あまりに広すぎてどこら辺に位置取りをするのかと悩む。大石が配置されているこの露天風呂だと迷わずにすんでありがたい。なんとも、バカバカしいほどの贅沢な悩みといえる。
「あのぅ・・・、そこはぬるいので、もうすこし奥のほうにいったほうが丁度いいと思いますよ」
たっぷり温泉を楽しみ、上がり際に、更衣室を出たすぐのところで入浴しているひとに、ついついお節介なひと声をかけてしまった。
→「西の河原露天風呂」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます