<青函連絡船記念館 摩周丸(1)>
函館駅界隈をぶらぶら歩いていると、街路樹のナナカマドに、赤いつやつやした果実がたわわになっているのに気がついた。
いかにも美味しそうで、子どものころだったら間違いなく試しに口に入れていたことだろう。ツグミなどの野鳥たちが食べるらしいが、人間にはとても苦くて不味く、微量の毒(シアン化化合物)が含まれているそうだから、絶対にやめておいたほうがいい。
ナナカマドは火除け、落雷除けの木としての縁起木とされ、俗説だが「大変燃えにくいことから、七度竈(かまど)にくべても燃え残る」ことから名付けられたといわれる。
なかなか燃えにくいところから「慎重」、「賢明」、「私はあなたを見守る」という花言葉があるそうだ。ところが材質は硬いが、実際にはよく燃えるそうである。
函館駅での時間潰しは、なんといっても、“徒歩一分、わずか160メートル”とすぐそばにある“函館朝市”だろう。
敷地一万坪に250の店舗が集う、北海道でも随一といわれる大市場であるので、客層は観光客ばかりでなく地元客も多い。
朝も早く、五時頃から営業をスタートする(1月~4月は六時)。だから、フェリーで早朝に函館港に到着しても利用できるのでジツに便利だ。
“朝市”という名前だが午前中では終わらず昼過ぎ(14時過ぎ)まで営業しているので、宿をチェックアウトしたあとでも充分楽しめる。
“どんぶり横丁”では、生ウニ、カニ、帆立、甘海老、いくら、サーモンを使った新鮮な海鮮丼、寿司、ラーメン、定食などが食べられる。
どんぶり横丁の裏手にいけば毛蟹やイクラなどの海産物、ホッケやキンキなどの干物とか珍味、函館土産、お菓子なども買える。
函館名物といえば、なんといってもイカである。そうそう、活イカ釣り広場で、イカ釣って刺身にしてもらうというテもある。
仲通りも、時間のせいか人通りが少なかった。
初めて函館朝市に来たときに、この仲通りをすこし歩き、巴通りと交わったところを左に曲がってすぐの店の、店舗前に置かれた椅子に坐って“活イカ”の刺身を食べて衝撃をうけたことを思いだす。
皿に盛られた、生まれて初めて食べる<透明なイカ刺し>はコリコリとした食感で、いつもの白いイカ刺しとはひと味もふた味も違う圧倒される旨さと甘みで、思わず唸ってしまったものだ。車でなければ間違いなく酒を頼んでいたところだったはずだ。
それ以来の数年間、白いイカ刺しが素直に食べられなくなってしまったほど強烈な経験だった。
イカ刺しにぜんぜん箸を伸ばさないのを訝しがって、「あれっ、イカ嫌いなの」と訊かれても、縷々説明するのは相当に厭味なことであるし、面倒なので好き嫌いの激しい人間になりきることに決めたのだった。
北の函館で「隠れ活イカ好き」になってしまったわたしは、やがて南の佐賀・呼子まで出掛けてしまうことになるのである。旅の醍醐味のひとつである美味しいもの(名物)は、旅の功罪のひとつでもあるのだ。無論、イカに罪はまったくないけど。
そんな魅力たっぷりな朝市であるのだが、いま腹はいっぱいだし、これ以上土産物も不要のわたしである。まあ、何度も来てるしね。函館駅界隈の喫茶店はいまや完全禁煙てな店も多いし。
おお、そうだ。青函連絡船があったことをフト思いだした。一時間ちょいの無聊の時を過ごすには丁度良さそうである。いずれいってみようとずっと思っていたが、いまだな。
よし、行ってみるか。
― 続く ―
→「呼子でイカ三昧(1)」の記事はこちら
→「呼子でイカ三昧(2)」の記事はこちら
函館駅界隈をぶらぶら歩いていると、街路樹のナナカマドに、赤いつやつやした果実がたわわになっているのに気がついた。
いかにも美味しそうで、子どものころだったら間違いなく試しに口に入れていたことだろう。ツグミなどの野鳥たちが食べるらしいが、人間にはとても苦くて不味く、微量の毒(シアン化化合物)が含まれているそうだから、絶対にやめておいたほうがいい。
ナナカマドは火除け、落雷除けの木としての縁起木とされ、俗説だが「大変燃えにくいことから、七度竈(かまど)にくべても燃え残る」ことから名付けられたといわれる。
なかなか燃えにくいところから「慎重」、「賢明」、「私はあなたを見守る」という花言葉があるそうだ。ところが材質は硬いが、実際にはよく燃えるそうである。
函館駅での時間潰しは、なんといっても、“徒歩一分、わずか160メートル”とすぐそばにある“函館朝市”だろう。
敷地一万坪に250の店舗が集う、北海道でも随一といわれる大市場であるので、客層は観光客ばかりでなく地元客も多い。
朝も早く、五時頃から営業をスタートする(1月~4月は六時)。だから、フェリーで早朝に函館港に到着しても利用できるのでジツに便利だ。
“朝市”という名前だが午前中では終わらず昼過ぎ(14時過ぎ)まで営業しているので、宿をチェックアウトしたあとでも充分楽しめる。
“どんぶり横丁”では、生ウニ、カニ、帆立、甘海老、いくら、サーモンを使った新鮮な海鮮丼、寿司、ラーメン、定食などが食べられる。
どんぶり横丁の裏手にいけば毛蟹やイクラなどの海産物、ホッケやキンキなどの干物とか珍味、函館土産、お菓子なども買える。
函館名物といえば、なんといってもイカである。そうそう、活イカ釣り広場で、イカ釣って刺身にしてもらうというテもある。
仲通りも、時間のせいか人通りが少なかった。
初めて函館朝市に来たときに、この仲通りをすこし歩き、巴通りと交わったところを左に曲がってすぐの店の、店舗前に置かれた椅子に坐って“活イカ”の刺身を食べて衝撃をうけたことを思いだす。
皿に盛られた、生まれて初めて食べる<透明なイカ刺し>はコリコリとした食感で、いつもの白いイカ刺しとはひと味もふた味も違う圧倒される旨さと甘みで、思わず唸ってしまったものだ。車でなければ間違いなく酒を頼んでいたところだったはずだ。
それ以来の数年間、白いイカ刺しが素直に食べられなくなってしまったほど強烈な経験だった。
イカ刺しにぜんぜん箸を伸ばさないのを訝しがって、「あれっ、イカ嫌いなの」と訊かれても、縷々説明するのは相当に厭味なことであるし、面倒なので好き嫌いの激しい人間になりきることに決めたのだった。
北の函館で「隠れ活イカ好き」になってしまったわたしは、やがて南の佐賀・呼子まで出掛けてしまうことになるのである。旅の醍醐味のひとつである美味しいもの(名物)は、旅の功罪のひとつでもあるのだ。無論、イカに罪はまったくないけど。
そんな魅力たっぷりな朝市であるのだが、いま腹はいっぱいだし、これ以上土産物も不要のわたしである。まあ、何度も来てるしね。函館駅界隈の喫茶店はいまや完全禁煙てな店も多いし。
おお、そうだ。青函連絡船があったことをフト思いだした。一時間ちょいの無聊の時を過ごすには丁度良さそうである。いずれいってみようとずっと思っていたが、いまだな。
よし、行ってみるか。
― 続く ―
→「呼子でイカ三昧(1)」の記事はこちら
→「呼子でイカ三昧(2)」の記事はこちら
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