温泉クンの旅日記

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松江、古曽志蕎麦

2016-08-17 | 食べある記
  <松江、古曽志蕎麦>

 開店前に「古曽志(こそし)」の店の前に立った。



 日本三大蕎麦といわれる戸隠蕎麦(長野)、わんこそば(岩手)に並ぶ出雲蕎麦を、わたしが初めて食べたのがこの店なのだ。
 建物をみていると懐かしさが胸に込みあげてくる。
 昭和四十三年(1968年)創業の老舗「古曽志そば」が閉店したのは平成九年(1997年)だった。それから十六年の休業を経て、三年ほど前に先代の娘さん母娘が復活させたのだ。難しく読みづらい店名の「古曽志」だがこれは名字である。



(どれくらいになるだろう・・・ざっと二十年ぶりになるか・・・)
 数分待って時間になると、店主らしい年配の女性が暖簾を持って出てきて、
「あ、いらっしゃいませ。お待たせしました、どうぞ」
(このひとが電話で話した女性だな・・・)





「予約をしたいのですが」
 松江の蕎麦屋へ珍しく予約の電話をかけてしまったのは、一日三十食ほどしか蕎麦を打たず<売り切れ御免>で店を閉めてしまうからだ。横浜から遠路はるばる出かけていって「申し訳ありません本日は終わりました」は厭である。
「開店してすぐの時間なら予約がなくても絶対にだいじょうぶですから」
「・・・そうですか。わかりました」
 店主にきっぱり断言されては引きさがるしかない。復活をテレビで取り上げられてせいで爆発的に繁盛したようだが三年の月日で落ち着いたのだろうか。
 土日は休み、開店時間は十一時半だ。となると、前日には松江入りするスケジュールを組みたてなければいけなくなった。そうしての、今なのだ。



 小上がりの席に座ると、メニューをちらりと見て「割子蕎麦」を注文した。



「先代はお茶ではなく蕎麦湯を出していましたね」
 蕎麦を運んできた娘さんに言ったら、「あら!(あなた様は先代からのお客さんですのね) ?」というふうに顔をまじまじと見られてしまう。
「はい、すぐにお持ちしますね」

 割子蕎麦は三段の丸い漆器に蕎麦を盛って出される。
 昔は正方形やら長方形、菱形と種々な形があったが、四隅が洗いにくいことから丸型に淘汰されたようだ。





 そして、蕎麦つゆに入れて食べる一般的な方式ではない。
 三段重ねの一番上の割子に蕎麦つゆ(出汁汁)をかけて食べて、終わると残った蕎麦つゆを二段目にかけて食べる。
 いわゆる蕎麦つゆを使いまわして上の割子から食べていく方式である。
 蕎麦の実を皮ごと石臼で挽くため色は濃く、香りが強い。ちょうど、わたしが好きな田舎蕎麦に似た味わいである。
 最後の割子は七味唐辛子でちょいと味を変えて食べ切った。 



 山陰で食べる蕎麦だが出石そばといい、出雲そばといい、ジツに旨い。
 数多の蕎麦通が満足できるのは、江戸期の国替えで信州から山陰に藩主が代わるときに連れてきた腕のいい蕎麦職人のせいかもしれない。わたしはそう思っている。



  →「出石皿そば」の記事はこちら
  →「出石へ(1)」の記事はこちら
  →「出石へ(2)」の記事はこちら




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